2010-02-05 Fri  [ 鳥類 ]

雪が降ればドラマがはじまる

by gaku


立春を前にして、重たい雪が降った。
この雪で、ニワトリ小屋が大打撃を被った。
修理不能なので、新しく造りなおさなければならないと考えている。

ニワトリといっても、もう卵も産まなくなった特養ホームのボランティア飼育のようなもの。
餌代だけがかかってしまうが、ヒヨコから育てたので、まあ、ここで余生を送らせたいと思っている。
そのニワトリの餌を狙って、日ごろからスズメが60~100羽くらいやってきている。
ニワトリよりも、スズメに餌をやっているような、ものだ。



雪で潰れそうな小屋に、スズメが入っていた。
そのスズメを狙ってこんどはモズが入った、ようだ。
小屋の前を通りかかったときに、モズがスズメを足に掴んだままニワトリ小屋の隅に飛ぶのが見えた。
それを目撃して瞬間的に、お腹をすかせたスズメが小屋にいるのを見つけて、モズが飛び込んで捕獲したものだと思った。
以前には、小型のタカのツミが入った小屋なのでモズも入ることにはなんの不思議もないのだが、それにしてもモズがスズメを捕獲するとは驚いた。



で、モズは、そのスズメを地面に置いたまま、ボクが3mほどのところで見ているのにも関わらずさらに次なる獲物であるスズメを追いまわしはじめたのである。
獲物に夢中になっていたのでボクの存在には気づいてなかったらしく、そして、見事な足さばきで、2羽目のスズメを捕獲して地面に降りた。
スズメはもがきながら逃げようとするが、足指でモズが締め上げているのには、まさにタカと同じ作業をしていることにもビックリした。
そのあと、モズは嘴でスズメの後頭部を何回か攻撃して、ついに絶命させた。
見事な捕獲ぶりであるが、モズもタカの部類に充分はいる野鳥だと感心すると同時に、この行動にすっかり惚れこんでしまった。



そのあと、モズは、いま捕まえたスズメから足を離して放置したまま、先に捕まえたスズメに乗り移り、スズメの目と頭蓋骨を食べてしまった。
これも、タカと同じ食事作法である。
獲物を食べたこの時点でモズは我に返ったのか、ボクを見つけてニワトリ小屋のすき間からあわてて野外に逃げていった。

ボクは、モズの捕食シーンの一部始終を観察できたが、撮影はできなかった。
モズの動きを知っているから、ボクがカメラを持ちに自宅に帰っていたら、たぶんモズは捕獲をあきらめてニワトリ小屋から逃げて行くであろうと感じたからだ。
だから、ここはしっかり観察だけにとどめようと思った、のだった。



死んでいた2羽のスズメのうち、頭のない1羽だけをモズが再び帰ってきたら食べられるようにニワトリ小屋に残しておいて、もう一羽は頭のダメージを見るためにボクはスズメの羽毛をむしってみた。
後頭部だけにわずかなキズがあるものの、ほかにはいっさい致命傷となるものはなかった。
それでも、スズメはモズに捕まって死んでしまったのだから意外と弱い生命である。

羽毛をむしったところで、やはりここは「寒スズメ」。
美味しいらしいから、モズからのプレゼントということにして、このスズメをボクは食べてみることにした。
羽毛をむしった段階で、スズメには皮膚病といおうか疥癬のようなものがあることに気づいた(上の写真の矢印先)。
まあ、野鳥にはよくあることなので、気にすることなく焼き鳥にしたのだった。



季節が寒中だけあって、スズメにはほとんど脂はなかった。
うなぎのタレをつけて焼いてみたが、味は期待するほどのものでもなかった。
やはり、寒中のスズメより、秋以降のスズメのほうが味はいいと感じた。

こうして、思いがけず「寒スズメ」を味わってみることができたが、老ニワトリたちでも飼っていればいろんなことを教えてくれるものである。
だから、自然はオモシロイ。



2010-02-04 Thu  [ 旅・取材・人 ]

「カラスのお宅拝見」でラジオ出演

by gaku


写真集「カラスのお宅拝見」(新樹社)は、昨年末の出版。
この辺で、ジワジワと話題になってきてほしい写真集だと思っていた。

そして、街中の反応をみれば、興味は両極端に分類されはじめている。
関心のないヒトにはさっぱりだし、興味のあるヒトには「めちゃくちゃ面白い」と言ってもらえる。
まあ、これでいいのだ。
ボクは、いつもこのような路線で仕事をしてきているから、興味のないヒトにまで振り返ってもらわなくてもいいからである。
写真集のなかには、オモシロさを自分自身で密かにちりばめているのだから、それに気づいて「面白い」といってくれるヒトがいい視点をもっている読者だと思う。
そういう読者を大切にしながら、これまでもやってきているし、これからもやっていくつもりだからである。

そんな「カラスのお宅拝見」でラジオ番組に出演してきた。
首都圏エリアの文化放送「大村正樹のサイエンスキッズ」。
タレントの大村正樹さんがオイラの写真集にえらく関心を示してくれたからだ。
ラジオやテレビ出演を積極的に引き受けていないオイラだが、今回ばかりはそのために上京してきた。
スタジオに入るなり目にとまったのは、「カラスのお宅拝見」の写真集が付箋だらけ、だったこと。
そのくらい、じっくり読み抜いてくれていたのには驚いた。

大村正樹さんは、とても気さくでセンスのいいタレントさんだった。
時代をしっかり見据えていて、タレントをしながらきちんと発信しているところがすばらしいと思った。
だから、このような人にボクの写真集を見てもらえるのがいちばんうれしく思う。
こういう人なら友人としても付き合っていけそうだ。

その番組が、すでに1月30日に第一回めが放送され、第二回目が今月の6日17時30分からある。
まあ、カラスの隠された助平的なオモシロさで話題満載なので、首都圏エリアの方はぜひお聞きください。



写真:
1)東京都庁で騒ぐカラス。
2)巣のなかのカラスのヒナたち。



2010-02-01 Mon  [ 旅・取材・人 ]

久しぶりのアイススケート

by gaku


「オジちゃん、スケートできる?」

「あったりめぇーよ、こうみえてもオジちゃんは子供のころは選手だったんだぞぅー
 むっかしはなぁー どこの田んぼにも氷が張ってたから、オジちゃんたちはみんなスケートができたん、さぁー
 いまじゃあ、池にも氷が張らないし、薄くなってしまったから、遊べない子供たちはかわいそうだ、なぁー」

「わたしスケートやりたいんだけどぅー
 オジちゃん、どこか滑れるところない?」

「おお、そういえば、諏訪地方までいけば室内リンクもあるから、滑れるぞぅー」

「ねえー ねぇー つれてってぇーー」

小学校5年生になる近所の女の子とこんな会話のあげくに、遂にスケート場へ行くハメ、に。
スケートといえば、ほんと50年間も滑ってこなかったから、オイラもたまにはやってみたかったからだ。

で、室内リンクへ行ったんだけど、スキーにくらべてもマイナーなのか人出はビックリするくらい少なかった。
まあ、練習をするにはちょうどよい人出なので、まさにチャンス!

はじめのうちはスピードスケートで滑っていたが、そこは昔取った杵柄…
まあ、オリンピック選手まではいかないけれど、難なく滑ることができた。
このあと、フィギャーの貸し靴で滑る。
初めてフィギャースケートというものを履いたが、これがなかなかに難しいものだった。
刃先のギザギザが慣れないと氷に突き刺さっていきなりストップがかかってしまうではないか。
そこで、急ブレーキが利いてしまうから、ドテーンと転ぶのである。

気分だけは、ミキティーか真央ちゃんのつもりになってしまうのがどうやらいけないらしい。
気ばかりが焦るから、コケまくり、なのである。
おかげさまで、尾てい骨やら大腿部をしこたま打ってしまった。
その痛いこと、いたいこと。。

女の子はといえば、初めてなのにいきなりフィギャーで立ち、なんとか滑ることができるではないか。
そして、少しコツを教えてあげたら、そのままリンクを一周してしまった。
呑み込みの早さには感心するやら、さすがに柔軟性があるものだ。



こうして、都合2時間ばかりを氷上で遊んできたが、周囲には上手な人もいるものだった。
小学2~5年生ほどの女の子たちが数人、それはそれはスイスイと回転やらバックやらジャンプもどきをやっている。
まるで、将来の浅田真央ちゃんを見る思いだった。
連れて行った近所の女の子は、最後にはリンクを5周も6周もできるようになりすっかり病みつきになってしまったようだ。
そして、次も連れてきてほしいと約束させられたが、オイラのカラダは打ち身だらけでもうギシギシ、だった。

写真:
1)フィギャーの先端のギザギザをうまく利用すれば回転やジャンプもできるのだろうが、還暦オジサンにはキケンな道具にもなる。
2)子供なのに、ほんとうに上手な子がいるものだ。滑れる子供は自信からくるオーラが全身から出ていた。


2010-01-29 Fri  [ 旅・取材・人 ]

定期診断で人と獣害を思う

by gaku


諏訪中央病院の名誉院長の鎌田實さんは、いまや超有名人。
診察に、著作に、講演に、そして世界各地での医療ボランティアに、超多忙だ。
鎌田實さんは、若い青年医師時代から強力なリーダーシップを発揮して病院運営をやってきたから、諏訪中央病院は名実共にすばらしい病院になっている。

そんな鎌田さんに、オイラのカラダを預けて12年。
親友である画家の原田泰治さんと共に、
「gakuさんなぁー 俺がカラダを背負うから…」
そう言ってくれて、以来ずっとオイラたちのカラダの面倒をみてくれている。
2~3ヶ月に一度は血液検査をして、体内チェック。
前回は酒の飲みすぎを指摘されたが、今回の検査では正常値。
とりあえず、オイラの口の悪さ意外はすべて正常だった。

こうした定期健診のたびにオイラは諏訪中央病院まで出かけているのだが、忙しいときは高速道路で時間短縮をしている。
そして、たまに時間ができると、伊那市の高遠町から杖突峠をのんびりと越えて行くことにしている。
今回は、たまには杖突峠を越えてみてもいいかなと思い、往復同じコースをたどって出かけてきた。

杖突峠は国道152号線ながら、周辺の集落は急激な過疎化に見舞われている。
道路を走っていても、立派な住宅が4~5軒も連続的に空家になっているのがよくわかる。
そのくらい、高齢化と過疎化が進んでいるから、これも社会ウオッチングとしてオイラの欠かせないテーマでもあるところ。
この地域は戦国時代には武田信玄の領地でもあり高遠城下町として昔は栄えていたであろうところが、いまではほんとうに人口減にあえいでいるといった感じで元気がない。
まさに、「…兵どもが夢のあと」、といったカンジなのである。



こんなところだからすでに、人間より野生動物のほうが勢いが増している。
集落全体に加齢臭が満ちれば、それを敏感に感じとるのが野生の力であり、地域住民の覇気のなさを読んで動物たちが強くなるのは当然だ。
まるで集落全体を大きくすっぽりと囲むように獣害フェンスが張り巡らされてはいるが、シカたちはそれを難なく突破して人家脇までやってきて作物を奪っていくからである。
こうした土地を、人間はやがて野生動物たちに明け渡すのも時間の問題であろう。

そう思いながら、ボクは車を運転しながら、そこに暮らす人々の心理をまさぐるのであった。
そして思うことは、ここには、地域を見張り引っ張っていくリーダーがすでにいなくなってしまっていると感じた。
野生動物の獣害対策には斬新で強力なリーダーシップのもとでの網掛けがなされないと失敗に終わる。
そのことにこの地域は気づいてないから、動物たちにナメられてしまっているのだ。
強力なリーダーが出てこないかぎり、もう手遅れだと思った。
いまや、そのくらい野生動物が強くなっている地域もあるのだから、これは全国的に意識も新たに、現代人は対策を考えていかなければならないところにきているからである。



そんなことを感じた今回の定期健診だった。

写真:
1、2)企業看板の廃物利用で獣害フェンスを作ってあった民家。それほど獣害は深刻なのだが、看板を使われたほうはい迷惑だと思う。関係企業の人間もここをそれほど通らないから、気づかないのかもしれない。
3)杖突峠を越えて茅野市側に下ればもうそこは20万人近い地方都市。そのすぐ脇までも獣害が深刻化しているから防波堤となる農家も必死の様子でマネキンの「かしら」まで動員していた。



2010-01-26 Tue  [ 哺乳類・野生動物 ]

死ねば人間だって動物に食われる…

by gaku


冬山から下山してきた知り合いの山男から電話があった。

「gakuさんよう、大ニュースだぞ!
 中央アルプスの稜線に冬でもキツネが棲んでいることがわかった、ぞ
 山小屋に居てなぁー 10mほどまで近づいてきた姿をみると、間違いなくキツネだった
 標高2800mの寒風吹きすさぶ稜線だ、ぜ
 何を餌にして生きているのだろう…か?
 餌なんて、あるのかなぁー …」

夏のシーズンには、中央アルプスのハイマツ帯の尾根にもキツネがいることは知っていた。
冬は、ノネズミはみんな雪の下で生活しているから、キツネは食べるものがなくて生きてはいられないので、下界に降りてくるものとボクは信じていた。
しかし、このニュースはこれまでの認識を変えてくれたから、確かに「大ニュース」だと思う。

そういえば、3年ほど前の厳冬期に稜線で遭難者の遺体が見つかった。
遭難して5日ほどしか経ってなかったが、発見時には雪の上に出ていた手と顔が何者かに食べられて無くなっていた…
そんな話題が、実際に捜索にあたった救助隊員から伝えられたものだった。

このときボクは、オコジョだって冬になれば山麓まで降りてくるのだから、あんな稜線にキツネは絶対に棲めないと思っていた。
だから、遺体を食べたのは、翼のあるイヌワシかクマタカの仕業しか考えられなかった。
しかし、今回のキツネ目撃談を知ると、遭難者を「食べた」のはキツネの可能性がでてきた。
いや、まちがいないだろう…



人間だからといって、魂のなくなった物体は肉食性の野生動物には単なる「餌」でしかない。
人間社会でどんなに地位のあった人でも、肉食動物たちからみれば、それがご馳走か否かの判断しか下さないからだ。
それが自然界に生きる生物の役目であって、こういう世界のあることも現代人は記憶の隅に留めておいたほうがいいだろう。
こういう世界のあることを知らないより知っていたほうが、自然界を的確に見つめることができるから、である。

写真:
1)中央アルプスの稜線は寒風と雪が深く、そして急峻だが、そこにキツネが厳冬期でも生息していることが分かった。
2)雪の夜を徘徊するキツネだが、肉食性の彼らは生物の死体処理も担うスカベンジャーなのだ。



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