2010-06-19 Sat  [ 鳥類 ]

ハンディキャップに負けずに歌うホオジロ

by gaku


小枝の上で、ホオジロが囀っていた。
どこにでもいるホオジロだから、それほど写欲がそそられなかった。
それでもと思ってファインダーの中に入れれば、なんとそのホオジロは片足にハンディーがみられた。
左足が、どうもいうことを利かないらしく、枝をつかむことができない。
右足だけで体を支えて、さかんにナワバリ宣言を歌っていた。

こうしてソングポストにとまって囀っているということは、このホオジロには嫁さんがいるハズだ。
そして、その嫁さんは、近所の藪の中の巣で抱卵中なのである。
そのメスには「安心して卵を抱くように…」という歌であり、周囲にいるであろうホオジロ仲間に対しては「ここは俺のナワバリだぁー」と誇示する囀り、なのである。



しかし、このホオジロには片足というかなりのハンディキャップがついている。
どこかで、脚を傷めたにちがいない。
こんな体になってしまっても、野生の世界には病院もなければ福祉もない。
だから、すべて自分の力だけで生きていくしかないのだ。

このあと、ハンディーを背負っているがために天敵に襲われるかも知れない。
抱卵中のメスがヒナをかえしたら、ナワバリ宣言をつづけながらも餌も捕らえて子育てもしなくてはならない。
メスにとっても、オスが生きていさえすれば子育てにはなんとか努力もできる。
しかし、オスの身になにかが起きれば、その時点でメスだけは助かってもヒナは助からない。
たがいに、試練の連続だろうが、彼らには自殺という二文字はない。
生命をまっとうするまで、とにかく前に向かって生きつづけるだけなのだ。

それが、野生の世界だからである。
けなげな姿、である。
いろいろと、教えられる姿であった。



2010-06-18 Fri  [ 鳥類 ]

まだ渡りつづけているヒヨドリ

by gaku


丹後半島で海岸線を見つめていたら、野鳥の群れが海を渡っていた。
その群れは、ヒヨドリだった。
300~400羽のヒヨドリの群れが、団子になって海に飛び出す。
そのまま渡ると思いきや、すぐに引き返してくる。
何回も、何回も、同じことを群れ全体で繰り返していた。
テイクオフを試みながら、海上の風向きを見ていたのである。

この行動は、やはり、北を目指してなるべく早く渡っていきたいからだ。
丹後半島から越前岬までの最短コースで若狭湾横断をはかろうとしているのだった。
陸まわりで若狭湾を迂回していけば、いつでも途中で休めてラクだろうにと思うのだが、やはり海上ルートの最短距離を狙っているのはそれだけ先を急いでいるからなのだろう。
まさにこの行動は、ハヤブサの営巣地である内懐を躊躇飛翔しているのだから、野鳥狙いのハヤブサにとっても格好な標的に映るだろう。



それにしても6月中旬だというのに、まだ北国を目指して渡りをしているヒヨドリたちがいることに驚いた。
この時期に渡っていっても、子育てに充分間に合うのだろう。
そして、こうして渡り続ける野鳥たちがいることで、ハヤブサにとっても食いざかりの子育てがしやすいのである。
自然界とは、ほんとうに絶妙な季節バランスで生物たちがコントロールされていることに改めて気づかされる。
ヒヨドリの群れにとっては気の毒だが、そんな姿を見て、なんだか清々しい気分になった。



写真:
1)海に向かうヒヨドリの群れ。
2)海上へ出るも、100mほどで引き返してくることが多い。
3)地付きのヒヨドリが、「ご苦労様のことです」といわんばかりに群れをみつめていた。



2010-04-11 Sun  [ 鳥類 ]

700km鳩レース中なのに…

by gaku


今日の昼ころ、畑作業をしていたら、いきなりハトが舞い下りてきた。
美しい、ハトだった。
見るからにそれは、レース鳩と思えるものだった。
昔、ハト少年だったボクは直感的に、このハトはレース中に違いないと思った。
だけど、お腹がすいているのか、水が飲みたかったのか、レース中なのに途中下車してしまったのだ。

すぐに飛び立つだろうと思ったけれど、2~3mほど離れたところで作業をしていても一向に飛び立つ気配がない。
じゃあ、水と餌を与えようと、ニワトリの餌を畑に撒いた。
すぐについばみはじめたから、もっと栄養価の高い麻の実を与えてみたら夢中になって食べはじめた。
やっぱり、お腹がすいていたのだった。



可哀相に、いったいどのくらいの距離を飛んできたのだろう。
この時期なら、400km、500kmのレースがふつうに行われているハズだ。
麻の実なら、手から食べることがわかったので、脚につけているリングの番号を読むべきいろんな角度から写真を撮った。
その写真を拡大してみれば、苗字と電話番号が記されたネームリングもはめていた。
市外局番は、0791。
ネットで調べてみると、兵庫県の龍野市だった。

飼い主に電話をかけると、このハトは昨日(10日)の早朝に、山形県の新庄市を放たれたものだった。
700kmの鳩レースにエントリー中だったのだ。
そして、ほぼ半分ほどの距離を飛翔して、信州の伊那谷に舞い下りたのだった。

疲れていた、のだろう。
その後ハトは夕方まで、ボクの畑にたたずんでいた。
やがて、暗くなりはじめると、2回ほど上空を旋回して近所の住宅の屋根に舞い下りてしまった。
たぶん、この辺で今夜は眠るのだろう。



一晩ゆっくり休んで明日の朝には、龍野市をめざすのかもしれない。
飼い主によれば、もし捕まえられたら捕獲して欲しいとのことだった。
そして、送り返してほしい、と。
朝起きたら、畑にきていれば捕獲を試みてもいいが、できれば自力で兵庫県まで完翔させてあげたい。
今夜は、どんな思いで眠っているのだろうか?

写真:
1)手から餌を食べるほど警戒心もなく、育ちのよさがよく分かる素直なハトだった。
2)脚の番号を読むべき、とにかくいろんな角度から撮影してみた。
3)夕方まで、こうして休んでいたから、相当に疲れていたのだろう。新鮮な水も、タライにどっさり。



2010-04-05 Mon  [ 鳥類 ]

イヌワシを見てヤマトイワナを釣る至福の一日

by gaku



「イヌワシだと思うんだけど、いつも飛んでくる場所があるので、いちど見てくれないかなぁー?
 谷底から湧きあがってきたり、上空を2羽でもつれるようにも飛んでいる。
 なかなかに、存在感があるんだよなぁー 」

林道工事にでかけている信頼できる助手のイトちゃんから、このような連絡がきた。
イヌワシらしき猛禽類の飛ぶ環境を聞けば、それはほぼイヌワシにまちがいなかった。
じゃあ、ついでに釣りでもしながら出かけてみるか、ということで現地に行ってきた。

イヌワシは、ほどなく現れて、止まるであろう木に予測どおりに舞いおりてひと休みをしていった。
1kmも先だったが、望遠鏡で確認するも、それはまちがいなくイヌワシだった。
時期的に、巣ではヒナが誕生しているから、止まり場に舞い降りたのはオスで視線の向こうの谷には巣がありそうだった。
まあ、丁寧に巣さがしをすればいいのだが、あわてることもないだろう。
これが、40年前のオイラだったら、夢中になっていたと思う。
だが、いまはイヌワシの生息地を静かに見守ることにつとめている。
野生動物や植物など自然界のことは、きちんと生態を知っている者がそっと静かに見守れば、それがいちばんの保護につながるからだ。



このあと、近くの渓でヤマトイワナを釣った。
雪解け水がほどよい水量をつくっていたので、昔取った杵柄。
30分ほどで5尾を釣り上げた。
これだけ釣れれば、もう充分である。

ヤマトイワナは、「幻の岩魚」ともいわれて釣り人には人気がある。
そんなイワナが簡単に釣れる場所があることは、やはり自然環境がいい証拠。
昔は、これが当たり前であって、ちょっとした渓流ではどこでも釣れたものだ。
それでも、今日でも、まさかというような渓にヤマトイワナはちゃんと生息している。
釣り人が、ほとんど気づかないような場所に、である。
もっとも、このような渓流を知っている地元の釣り人は、無駄な釣り方をしないし、ちゃんと保護にもつとめている。
自然とはこのような付き合い方をしていけば、いつでも欲しいだけイワナが手にはいり、恵みを与えてくれるものなのである。
そういう自然を開拓するのがボクは好きなので、まさかという山や川をさがして自然度を確かめているのだ。



納竿をして空を見上げたら、再びイヌワシが舞っていた。
その姿は、猛禽類のなかではひときわ存在感があってたしかにカッコいい。
いいねぇー、こういう出会いが最高、なのである。
昨日は、そう、至福に浸れる一日だった。

写真:
1)ヤマトイワナは精悍な野生魚といった面構えをしている。
2)この木に止まるだろうなと思っていたら、イヌワシはほんとうに止まった。
3)体色の美しさでは、ヤマトイワナがいちばんだと思う。



2010-03-03 Wed  [ 鳥類 ]

アトリの大群が現れる…

by gaku


今日は、南アルプスに設置してある無人撮影カメラのメンテナンスに出かけた。
カメラは順調に記録をつづけていたが、それよりも現場にアトリの大群がいたのには驚いた。
とにかくその数は、10万羽以上。
空が黒くなるくらいに群れていたからである。

今年は、アトリの当たり年だが、南アルプスにねぐらをつくっていたとは知らなかった。
午後4時くらいから、100~300羽ほどの群れが三々五々集まってきて、やがて数千羽の大きな群れができあがっていく。
そして、夕方が迫ってくると、いくつもの大群が合流してさらに大きなうねりとなって谷あいを乱舞するではないか。
その大群が頭上を飛べば、それはそれは轟音となって、うなりをあげてくる。
凄い、光景である。



このような大群は、伊那谷では1970年代に一度あり、それ以来の群来である。
いやぁー、 自然はこれだからオモシロイ、のである。
それも、アトリを探るべくして出かけた南アルプスではなかったが、そこで偶然にもこのような大群に出会えることも奇遇である。
これらのアトリは、まだしばらくはここでねぐらをとるのであろう。
たぶん、今後3週間くらいは定着するにちがいない。
なので、また時間をつくって現場を訪ねたいと思っている。



それよりも、今日は、アトリの観察中にさらに付録もあった。
なんと、クマタカの巣を見つけてしまったからである。
アトリの群れを眺めて空ばかりを見ていたら、クマタカが執拗に飛んでいた。
まさか、クマタカが飛翔中のアトリを捕食することはないから、この飛翔には意味がある、と思っていた。
すると、クマタカの夫婦間だけで交わす甘え声が聞こえてきたではないか。
それは、谷あいにのびるひときわ大きなモミの木からだった。
そこに直径1,5mを越える黒々とした巨大な巣が、見えた。

写真:
1)なぜにこんなに群れなくてはならないのかと思うほど、アトリは大きな群れとなっていた。
2)林に向かって急降下をしてくるアトリの群れ。
3)クマタカは、見慣れてしまえばどんなに遠くてもそれと、すぐに分かってしまう。


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