2006-08-26 Sat  [ 哺乳類・野生動物 ]

散歩道でツキノワグマが人を襲う… 3

by gaku



ツキノワグマ捕獲檻が仕掛けられて、2日目。
熊は、まだ捕獲檻には入っていない。
今回の捕獲檻は、ドラムカンを2個つなぎ合わせたもの。これは、捕獲した熊が内部で傷ついたりしないようにして「放獣」を目的にしているものである。
これに対して、鉄格子の檻があるが、この檻に熊が入ると逃げたくて鉄格子を齧るために、熊の歯がボロボロに欠けてしまったりする。このような熊を放獣してもその後の生活に支障をきたすので、鉄格子檻は「射殺」目的と考えていい。

一昨年は、この現場に鉄格子の檻が仕掛けられた。
そして、2週間ほどして熊がかかり、射殺された。
その同じ場所に、今回はドラムカンの「学習放獣」用の檻である。
学習放獣だから、捕獲した熊の性別や年齢をしらべ、耳にタグをつけて、鼻面にとうがらしスプレーをぶっかけて、放つのである。
熊に対する目的が、なんとなく檻を見ただけでもわかる。

しかし、ここで考えなければならないことは、一昨年は射殺したが、その現場にすぐに別の個体が入ってきているということである。
昨年も、ここではかなりのツキノワグマの出現があったから、一頭や二頭射殺しても、予備軍がいるから次々に侵入してくるだけだ。
このような現象は、渓流でイワナやアマゴを釣っている人にはその生態が分かると思うが、それと同じ動きをツキノワグマがしているからである。

ここ1-2年、「学習放獣」が長野県では積極的に行われている。
そのために、ドラムカン檻が市町村に貸与されているから、ツキノワグマ出現=学習放獣が肯定的となった。
学習放獣を悪いとは言わないが、発信機などをつけた個体以外に放獣した個体のその後の追跡がまったくなされていないことには疑問を感じる。
放獣をした個体が、その後どのようなことをしているのか調査するだけの技術確立がなされないまま、安易に放獣だけを繰り返し続けることへの問題点である。
こうしたツキノワグマが、ボクのフィールドとしている中央アルプス山麓には少なくも10頭以上がいる。
10頭もいれば、「お仕置き」の際に人間を逆ねたみしたまま歩き回っている個体も必ずいるハズだとボクは考えている。

写真上:耳に「学習放獣」の証拠を示す赤タグをつけたまま「遊歩道」を歩く体重40kgほどの若いツキノワグマ。100kg以上の熊になるまでには、まだまだいろいろな出会いと経験があることだろう。
写真下:人間のための「遊歩道」だから、昼間にはかなりの人たちも利用している。

2006-08-25 Fri  [ 哺乳類・野生動物 ]

散歩道でツキノワグマが人を襲う… 2

by gaku


ツキノワグマに襲われたFさんの話を聞くと、ほんとうに一瞬の出来事だったし、怖かったことがうかがえた。
すごいスピードで走ってきたので、無我夢中で窪みに背中を丸めて伏せたそうだ。
このために、尻と背に爪を立てられたのだが、これが仰向けだったり立ち上がったままだったら、どのような展開になっていたかわからない。
ツキノワグマの前足の力はすごいから、あの爪で首の頚動脈でも引っかかれたら、生命もなかったであろう。
その意味では、Fさんのとった行動は身を守る上では正しかったと思う。

こうして主人が熊に襲われているときに、連れていた犬はどこかへすっとんで逃げてしまったらしい。
その犬は部屋の中で飼われていた一応「柴犬」だったが、眼がまん丸で鋭さがまったく感じられないおとなしい雌だった。
熊に向かうだけの訓練もなされていなかったから、逃げて当然だ。
しかし、状況を分析してみると、犬がまず最初にツキノワグマを発見したことだけは確かだった。そして、その犬がツキノワグマを逆に猛らしてしまった。

こう考えると、熊が普通に行動している山麓部で犬を散歩させている人の多さには改めて驚く。
ボクのこれまでの調査では周辺には20頭以上のツキノワグマがいることは確かだから、そんな場所で不用意にジョギングしたり、いろんな犬種を連れて歩く人々のなんと多いことか。
市街地から車で高原までやってきて、散歩する人。Iターンして近所に家を建てて、老後を楽しんでいる人。別荘にきて、周辺を散策している人。
こうした人たちを観察していると、夜間にも出歩いているから、いつツキノワグマに襲われてもおかしくないとボクは思ってきた。
だが、そうした危険性を注意すれば「いらぬお世話」として煙たがれるから、助言はしてこなかった。
まあ、そこはこれからも、自己責任でいってもらうしかないだろう。

そう思いながら、Fさん宅からの帰りに再度ツキノワグマの現場へ立ち寄ってみた。
襲撃事件から5時間ほど経っていたが、そこにはもう「学習放獣」をするためのドラムカン捕獲檻が仕掛けられていた。
一昨年にもツキノワグマを捕獲した現場とまったく同じ場所だった。
人に立ち向かってきた熊をどう「学習」させて「放獣」するつもり、なのだろうか。

写真:襲撃現場に仕掛けられたドラムカン捕獲檻。

2006-08-23 Wed  [ 哺乳類・野生動物 ]

散歩道でツキノワグマが人を襲う… 1

by gaku


午前の10時30分ころから、ムササビ荘のまわりを市役所の広報車がさかんにがなりたてて走り回った。
何だろうと耳をすませていると、近所にツキノワグマが出たから、外出には鈴やラジオを鳴らしながら注意するように呼びかけていた。
知り合いが車に乗ってアナウンスしているのだろうし、熊の棲み家に住んでいるのだから、熊がいて当たり前なので冷やかしてやろうと外へでた。
やがて広報車がやってきたので、何を騒いでいるのだろうと訊いてみた。

なんと、ムササビ荘から800mほどのところで、散歩中のオジサンがツキノワグマに襲われたというではないか。
場所は、どう考えてもボクが毎日のように散歩したりするフィールドだった。
まずいことが起きたものだと、被害者のお宅まで出かけてそのときの様子を聞いてみた。

被害者Fさんは、65歳。
6年前に名古屋市から引っ越してきて、駒ヶ根高原の近くに住んでいた。
愛犬の散歩に毎日家から1kmほどを車で出かけて、スキー場で犬を放して、近くの山野を散策していたのだった。
今日も、9時半ころから犬と一緒に林道を歩いていたら、10mほど先をいく犬がいきなり吠えたかと思ったら「ブッフォー」という威嚇声と同時に、犬がキャインっと鳴いて一目散に主人の下へ走りこんできたらしい。
そのあとを追って、ツキノワグマが猛然と飛び出してきて、Fさんに馬乗りになってきたのだった。

それは、一瞬のできごとであり、Fさんは地上に伏せたがクマは尻と背中を引掻いて、逃げ去ったという。
このとき、連れていた犬は主人を守ることもせずに、どこかに逃げてしまった。
Fさんは、一目散に走って車に戻り、薬局へ行って薬を求めたところで、破傷風などの危険性があるから病院に行くことを進められたのだった。
そこで、病院へ行って事件が発覚し、市役所の広報車となった次第なのである。

それにしても、現場はボクもよく知っている場所だから、ツキノワグマがいて当然だった。
そこは、毎年この時期には頻繁にツキノワグマが出現してきているからだ。
襲われて当然な場所だが、犬がいたために、被害にもあった可能性もある。
まあ、それも運といえば仕方がないが、襲われたFさんもまったく熊の出現を予測していなかったそうだ。
地元の人間なら若干の注意力も働くだろうが、リタイヤしてIターンしてきた人にはこのような自然界への配慮はできないのかもしれない。
そういえば、中央アルプス山麓には、そのような新しい人たちがかなり住みはじめている。
こうした人たちの自然への心理状態も、今後の考察材料になることは間違いなさそうだ。

写真:Fさんはこの林道をカーブしたところでツキノワグマに襲われた。



2006-08-21 Mon  [ 哺乳類・野生動物 ]

日本古来の野生動物アナグマ

by gaku


灼熱残暑の昼日中いい汗をかきたくなって、マウンティングバイクを引っ張りだしてきた。
隣町の中央アルプス山麓にさしかかったところで、200mほど先の道路を動物が急いで横断していくのがみえた。
ネコや犬とはちがう走り方に疑問を感じ、大急ぎでペダルをこいだ。
動物の逃げ込んだ先は、静まりかえった農家の裏庭。
ブロック塀越しに庭をみているとアナグマが2頭モコモコとお尻を振る独特な歩き方で裏山へ消えていった。

アナグマが真夏の日中に行動していることにも、驚いた。
近年ではすっかり数が少なくなってしまって目撃する機会もなかった動物だけに、こうした出会いはボクにとって貴重なデータとなる。
山麓部に仕掛けてある無人自動撮影カメラには、ここ10数年ちっともひっかからなかったアナグマが、隣町の人家付近を真昼間堂々と歩いていたことにも嬉しくなった。

写真のアナグマも、松本市を見下ろす丘で最近撮影したものだ。
この現場には10年前にフィルムカメラを設置して無人撮影したことがある。このときも、アナグマが定期的に写されていた。
そこに今回はデジタルカメラを設置してみたら相変わらずアナグマが撮影されたので、いるところにはちゃんと生息しているものだと思った。
この写真の一連が、20日発売となった「デジタルカメラマガジン」9月号に掲載されている。
キツネとハクビシンとアナグマが共存している事実を知るページとなっている。

2006-08-19 Sat  [ 昆虫 ]

アシナガバチの塩焼き

by gaku

自宅の庇にアシナガバチの巣があった。
女王に働きバチの3匹家族。
このあとには、続々と兵隊が増えてきそうな巣だった。

玄関に近く、アシナガバチも刺されればけっこう痛いし危険だ。
そこで、巣もちょうど捕り頃だったので、幼虫を塩焼きにしてビールの肴にしてしまおうと考えた。
庭から柿の葉をとってきて、それに幼虫を包み、塩をふってガスコンロへ。

クロスズメバチやキイロスズメバチの幼虫をフライパンで塩炒りすると絶品なので、アシナガバチの柿の葉巻きを思いついたという次第。
しかし、一応食べられたが、けっこう臭いところがあった。
子供の頃の経験ではもう少し美味しかった記憶があるが、今回だけは完食できなかった。
柿の葉で包まずに、直接フライパンで炒ったほうが美味しかったのかもしれない。
次回に宿題を持ち越すこととなった。


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