2007-03-25 Sun  [ 鳥類 ]

モズの巣

by gaku


モズの巣を2つ見つけた。
ひとつの巣には卵が5個、もうひとつには4個。

モズの巣さがしはそれほど難しいものではないが、春のモズの巣を見つけたのはこの年になってはじめてのことだった。
モズの巣を見つけるという気がこれまでにのらなかったのと、タイミングが合わなかっただけのことである。

雄のモズが草むらに何回も飛び込んでは餌さがしをしている姿を目撃してから、その動きをそっと追ってみることにした。
この時点で、雌が巣に入って抱卵していると思ったから、雄の動きを追っていれば必ず「巣」がみつかると思った。


案の定、雌のモズの「餌乞い」啼きが聞こえてきた。
それも、巣がいかにもありそうな野茨の薮からしていた。
抱卵中の雌が、雄の動きをみていて、餌をくれーっと、啼いていたのだ。
その薮の中をそっと覗いてみたら、巣があった。

まさに、ボクの勘は的中した。
このような予測のもとに方程式をあみだし、答えがでたときのうれしさは子供のころからの胸のときめきと同じだ。
それが、モズであろうとクマタカであろうと、生きものの差なんてない。
黙して語らない自然界を、こうしたちょっとしたサインから読み当てていくのが、自然をみつめる醍醐味でもあるからだ。

写真上:2つのモズの巣。ビニール類が多いのも最近の特徴。
写真下:雄のモズ。

2007-03-03 Sat  [ 旅・取材・人 ]

りんごパイ

by gaku


1個120円。
美味しい「りんごパイ」を売る店が近所にある。
サクサクと歯ざわりがよくて、甘からずそれでいて上品な味のする「りんごパイ」。
もちろん、本職のプロ職人がつくるのだから、ホンモノなのである。

とにかく美味しいので、いつも売り切れごめんの店である。
オヤジも頑固で、増産するつもりはない。
うわさを聞きつけて、テレビや雑誌などが取材の申し入れをするが、すべて断っている。
オヤジ 『ウチは女房と二人だけで手づくりしているのだから、個数に限界がある。
     限界以上の仕事をすれば味の補償ができないので、宣伝なんてしてくれなくてもいい。』
そういって、毎日コツコツと焼き続けているのである。

オヤジは、東京オリンピックの年に中学を出た。
菓子職人になりたくて、夜行列車に乗って東京へ修行に向かった。そこで厳しい修行に耐えたのちに、老いた両親を診るべく伊那谷へ帰ってきた。
高原の一角に小さな喫茶店をつくって、そこで細々と生活の基盤を築いて今日となる。
喫茶店の当初はカレーやパスタやらを提供していたが、これもまた美味しかった。
しかし、保健所などの無理難題の衛生指導が重なって、これらの営業をやめてしまった。
そして、調理場を菓子専用に改造して「りんごパイ」だけをつくりはじめたのである。
これが、結果的によかった。
評判が評判を呼び、とにかく「りんごパイ」一筋なのである。

そうなると、地元の業者などが二匹目のどじょうを狙って自分たちでも売りだしたりするものである。
★『お宅のりんごパイは有名だけど、レシピを教えてくれないだろうか?』
★『こんど村おこしでパイの販売をしたいのだけれど、つくり方を教えてくれー』
このような失礼な問い合わせが何件も続いた。
「プロ職人」に対して、これはほんとうに失礼なことなのである。

そんなオヤジが、ボクの顔をみるとこぼすのである。
オヤジ 『俺だって、研究をし努力をしてこの商品を作り出している。
     それなのに、商売をするから教えてくれはナイだろう…
     近所のおばさんたちがお茶飲み菓子をつくるというなら教えてもやるけれど…』

gaku  『いやー 世の中なんてそんなものだぜ。
     他人の技術なんてコレっぽっちも分かってないものが多いから、なぁー
     デパートで吊るしているスーツには正札がついているのに、それをタダでくれー…というような感覚でオレのところにも言ってくる人ってけっこういるよぅ。
     職人の目にみえない膨大な技術に対してはまったく対価を考えない時代だからなぁー 』

オヤジ 『レシピどおりに作っても、絶対に同じ味にはならないけれどなぁ
     しかも、ウチは女房と二人だけだから「人件費」の関係で値段的にも安くおさえられるけれど、ほかじゃあ無理だ、に。』

このオヤジとまったく同じような外観の「りんごパイ」を隣町の菓子店でボクはみつけた。
1個130円だったのでさっそく買って賞味してみたが、味は気の毒なくらいにお粗末だった。

写真:ほんとうに美味しい「りんごパイ」。

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