2007-05-21 Mon  [ 環境・ゴミ・現代社会 ]

夢ふうせん

by gaku


つい先日、ツキノワグマのフィールドで手紙を拾った。
その手紙は、福井県から風に乗ってきたものだった。
「めっきやさんになりたい」と9歳の女の子が鉛筆書きをして、夢を風船に託したものだった。

風船は、5月3日に福井市から飛ばされた。
福井テレビが「わんぱくフェア」の一環として子どもたちに飛ばさせたのだろう。
その風船が、長野県の中央アルプスを越えて、伊那谷までやってきたのだった。

手紙を拾ったのは5月16日。
手紙は雨に打たれた痕があったので、雨日より前に落ちたことになる。
そこで、伊那谷に雨のあった日を調べてみたら、5月6日と10日に降っている。
これらから予測するに、3日に飛ばされた風船は6日までにはすでに到着していたことがうかがえる。
3日から6日までの3日間は快晴で、風速6-8mの西風が長野県に向かって吹いていた。
こんな状況だったから、6日どころか5日までには中央アルプス山麓の林の樹上に風船がひっかかっていた可能性がある。そして、雨にうたれた手紙が濡れて風船からはずれ、地上に落ちてきたのではないか。

手紙にハガキが入っていたので、ボクはその9歳の女の子に返信をしてあげた。
よろこぶ顔が目に浮かぶが、こういった風船飛ばしは「花の種」などをつけているのではないから夢を育てるには悪くないだろう。

だが、ここで新たな発見をボクはしてしまった。
福井県といえば、原子力発電所がひしめくところ。
ここでもし事故でもあれば、放射能が2日ほどで長野県まで飛来するということである。

その昔、チェルノブイリ原発事故現場まで単身出かけたことのあるボクは、20日間にわたって、現地で広範囲に汚染されている地域を取材したことがある。
そこで、事故発生直後に放射能が高空まで達し、雲に吸収され、その雲が風に流され、やがて雲は合体して雨になり、200kmも300kmも離れた隣国のベラルーシに雨とともに放射能が降ったことを知って愕然とした。
そのためにベラルーシでは、平和で美しい農村風景をつくっていた土地が汚染され、強制移住を余儀なくさせられた村があった。
あまりにもの汚染度に国家によって、住宅や農地をブルドーザーで潰され、強制的に地図から消されてしまった(立ち入り禁止区域)村もあった。
もちろん、子どもを含む多くの人間たちがそのご10数年にわたって苦しみ、死者もでていた。

原発の事故隠しなど、信じられないような状況がつづく現代の日本社会だから、やはりすべてが安全でベストと考えることはできないだろう。
最悪事態も想定しなくてはならないし、そうしたことにも自然がさりげなく大きく関わっていることも視野にいれながら、現代日本の文明社会を安心して生きたいものだ。
「夢」が「悪夢」にならないためにも、現代社会を見据え、自然界を少しでも知る努力をしていきたいと思う。

写真:夢のある手紙がもうひとつの「夢」を、ボクにみさせてくれた。


2007-05-01 Tue  [ 鳥類 ]

木登り

by gaku


ケヤキ    地上12m
ニセアカシア 地上15m、17m
ハンノキ   地上14m
キリ     地上15m

昨日カラスの巣の調査で登った木と高さ、である。
昨日だけで5本の木登りをしたが、前日にも4本登ったから、体はもうクタクタ。
10年前には、一日に10本くらいは平気だったが、最近はめっきり体力が落ちてしまった。
それでも、この年になってまだ木登りができるのだから、まずまずと思っている。

木登りといっても、単に登るだけではなくて、樹上で両手を離してカメラを構えなくてはならない。
木だって画一性がなくすべてが同じではないのだから、そのつど対応してバランスをとらなければならないからだ。
風が吹けば揺れるので、これまた緊張もするが、それも楽しいものだ。

ボクは、登る前にはこれまでの経験から絶対に大丈夫なものしか登らない。
それには、枝ぶりやら目的場所の幹のようすを下から確認して判断となるわけだが、これも長年の経験から割り出している。
まあ、こうして何十年と木登りをやってきているが、御神木とか墓、寺、神社の木には登らないことにしている。

しかし、昨日は新潟県の日本海岸で墓石のある木にどうしても登りたくなってしまった。
近所のおばあさんに訊いたら、
『人間の墓ならあんなことしないハズ、何でも動物が埋けられているらしい…よ。
 あそこんちのおじいさんが植えたものだが、もう亡くなっているし、何を埋めたのか誰も知らないよ。』
そのひと言で、ボクは登ってしまった。

それでもバチがあたってもいけないから、お清め用に日本酒のワンカップを買ってきて墓石と幹に捧げてから登った。
木登りといっても、ボクには遊びではないのだから、このようにいつも真剣勝負なのである。ひとつ間違えば死か半身不随がまっているだけなので、真面目にならざるをえない。
こうして、もう、何百本もの木登りをしてきた。
たかが「木登り」と「カラス」、ここから見えてくるものがたくさんあるからやめられない。


写真上:カラスの巣や巣材を見るだけでも、カラスの文化住宅度がわかるからおもしろい。
写真下:このニセアカシアにつくられたカラスの巣は、地上17m。巣のある幹の太さは直径がおよそ12cm。人が登るのには限界な太さだった。

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