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2008-02-20 Wed [ 旅・取材・人 ]
千昌夫のプロ根性に学ぶ
by gaku

埼玉県の羽生市まで講演にでかけた。
埼玉県下の市町村で環境行政に携わっている方たちの勉強会から、お声がかかったからだ。
演題は、『動物の目から見た環境』。
いわゆる、野生動物の視点で今日の自然環境と人間社会を写真家として40年間追ってきた経験則からの持論展開である。
200人ほどの聴講者があったが、一応伝えることだけはしてきたから、あとは地域住民たちの現地での視点と行動力にゆだねるしかないだろう。
羽生駅からタクシーで会場まで出向いたが、途中の運転手との会話。
gaku 『羽生市産業文化ホール』へお願いします。
運転手 『っえ、今日も何かあるのですか?昨日は千昌夫さんが来て歌ったんですよ。すごい、人だったですよ。』
gaku 『へっぇぇー、千昌夫が来たんですか。それはスゴイ。』
(実は、ボクは千昌夫が好きなのである。あの精神的たくましさをプロ中のプロと認めているからだ。マスコミなどでどんなに叩かれて孤立無援になっても、彼はビクともせずに、自分の生き方を貫いているところが好きなのである。)
gaku 『文化ホールでは、埼玉県下の市町村役場の人たちが集まって環境の勉強をするらしいですよ。』
運転手 『そうなんですか。もっとも、あそこはそういう場所だからですね。私らには、芸能人しか分からないことですが。お客さんも、そこへ勉強に行くのです、か?』
gaku 『いや、勉強のほどでもないのですが、いちおう壇上でしゃべれといわれている、もんで…』
運転手 『っへ! お客さんが壇上…へ。それは、講師ということですか?』
gaku 『い、いやぁー、まぁぁ、そんなものかも知れません。』
運転手 『これはこれは失礼をしました。私はまたお客さんが帽子をかぶって、ジーパンはいて、カメラをぶら下げていたから、てっきり「お客さん」かと思いました。』
gaku 『あ、ははは。それでいいのですよ。そういえば、昨年だったか隣の加須市にもきたことありますよ。何という高校でしたか、文化祭に呼ばれましてね。』
運転手 『それは不動○高校でしょう。あそこは、すごい進学校で私たちにはちょっと足下にもおよばないところですよ。』
gaku 『うん、うん、その名前の高校だった。』
運転手 『へっえええー お客さんは不動○高校にも。あそこの生徒は優秀だしいい子ばっかりなんですよ。』
gaku 『そうそう、男子も女子もいい子ばっかりでしたよ。講演が終わってから、女の子が走り寄ってきて手作りの交通安全お守りをボクにプレゼントしてくれました。ボクはいまでも大切にして、もっていますがね。』

こんな会話をしている間に、会場の羽生市産業文化ホールに着いてしまった。
タクシーの運転手も、あらゆる人を大切にする心の優しい人だと、道中の会話でボクは感じていた。
だから、羽生市での講演もはじめっから気分よくできた。聴講者も、これまでボクのような者の現場からのメッセージを聞いたことがなかったらしく、目がみんな輝いていたのには嬉しかった。
こうなれたのも、タクシーの運転手と短い時間ながらいい会話ができたことと、会場に入る玄関にもう済んでしまった「千昌夫」のコンサートポスターがあったからだ。
打たれても、打たれてもへこたれない「千昌夫」。
社会的バッシングを受けた直後に、観客のだれもいない横浜アリーナの特設会場で空に向かって一人だけで歌い続けていたプロ根性。
それは、自分の声を信じているからできることなのであろう。
千昌夫のネームバリューとボクを比べてはいけないが、ボクだって小さな種だけは蒔きつづけているつもりだ。羽生市でもたぶん、一粒くらいの種は蒔いてきたつもりである。
写真上:羽生市は春のやわらかい日差しにつつまれていた。
写真中:過ぎてしまったコンサートのポスターが「まだ」きれいに貼られていた。

写真下:往復の乗り物のなかで、3月に出版する本の校正をすることができて満足。
2008-02-17 Sun [ 旅・取材・人 ]
写真コンテスト
by gaku

昨日は、大阪の朝日新聞社本社に拠点を置く全日本写真連盟の「動物写真コンテスト」の審査にいってきた。
2800点ほどの作品が全国から集まって盛況だった。
写真というものは、正直に撮影者の気持ちが現れるから、アマチュアのたくさんの写真を拝見することは、それぞれに心理状態もわかって楽しいものだ。
こういうコンテストには、審査委員長の傾向を調べあげて、少しでも優位に立とうという作者が必ずいるものである。
今回も、少なからず見受けられたが抜群に腕があって表現センスがよければ、それもいいだろう。
しかし、技術レベルがそこまでいってないと、あざとさだけが目立ってしまい、返って失敗するものだ。
それは、裏を返せばボクの目はごまかせないということである。
関西在住の連盟の理事さんたちの手助けもあって、粗よりからスタート。
夕方には、入選者などすべての賞が決定となって無事終わった。

枚数は多かったが、全体的には低調だったと思う。
動物写真といっても、ただ単にアマチュアの特権として楽しんでいればいいというものではない。そこには、その時間に生きているという「時代性」もあるのだから、いまのこの時代に何を表現すればいいのかをアマチュアとて「考える」哲学も必要だからである。
大新聞社に籍を置く連盟なので、社会全体に目を向けられる視点というものも大切にしなければならない。そうすることによって、報道性のある写真文化や技術レベルも向上していくというものだからだ。
ボクは、いつもそう思いながら審査委員長を引き受けている。
なぜならば、第○回の審査委員長としてずっと名前が記録に残るのだから、自分のためにもそこはキチンとやってこなければならないと思っているからである。
写真上:前日には旧知のテレビ局関係者とクジラ料理を楽しんできた。やっぱり大阪は食いだおれの街。すべてが、美味しい。
写真下:審査風景。連盟の理事さんたちが一生懸命に作品を選ぶ姿には、アマチュアに対する慈愛の雰囲気がつよく感じられた。
2008-02-14 Thu [ 旅・取材・人 ]
Nikon D3 ムック版
by gaku

デジタルカメラマガジンから、「Nikon D3」のムック版がでるそうだ。
そこで、D3愛用プロ写真家の取材が本日あった。
このような取材に関してはリークをしないことにしているのがボクの主義だが、担当者からの許可があったので本日はその報告。
昨日は夕方まで、伊那谷は雪模様。
このため、東京からの車取材が気になって、どのような車でこられるかを電話で聞いてみた。
なんと、ノーマルタイヤの二駆だというではないか、高速道路のスリップが危険なのでスタッドレスを勧めた。
結局、四輪駆動車のスタッドレスタイヤ(レンタカー)でこられたが、雪道の安全を考えてインターチェンジでボクの車に乗り換えての取材となった。

ボクがNikonD3をどのような使い方をしているのかという取材なので、もちろんその足で現場へ。
連日の新雪で、現場の積雪は50cm弱。歩きにくいことこのうえないが、何箇所かの撮影地をまわる。
D3を野ざらし状態の無人撮影をしているプロなんて、ボク以外にはいないだろう。
それが、プロの仕事というものだから、そんな現場の撮影が中心となった。

そのあとは、機材を開発する工作室などの撮影やらインタビュー。
編集者は、けっこう鋭くボクの秘密装置を見破っていく。
『あれは、何ですか。どう使うんですか。公開してもいいですか…?』
いやいや、雑誌だからといって次々に新装置を公開してしまってはこちらの資源が枯渇してしまう。なので、まあほどほどに載せてもらうことにした。
そのほうが、読者もすべてネタをバラされるより小出しにしてきてくれたほうが、長く付き合える楽しみもふえるというものだろう。
編集者もライターも旧知の間柄だが和気あいあいと取材は進み、終わったころには南アルプスが真っ赤に夕焼けていた。
久しぶりに、美しい夕焼けの南アルプスを眺めることができてボクも感動した。
もちろん、取材陣も感動してくれた。
信州に暮らしていると冬の寒さは猛烈だが、こういう自然の美しさに出会えるのはたまらない。
ときどき、こうしたプレゼントがあるから、ボクはやっぱり、信州を離れることはできないのである。
写真上:南アルプスが真っ赤に焼けて暮れていく姿は、やはりいつ見ても美しい。
写真中:フィールドへいく途中の新雪も美しく、取材陣はけっこう楽しそうだった。
写真下:工作室で図面と新兵器を発見して、カメラマンは執拗に接写。
2008-02-12 Tue [ 哺乳類・野生動物 ]
観天望気のできる動物たち
by gaku

2月9日の大雪は、すざまじいものがあった。
午後3時ころから本格的に雪が降りはじめたが、気温も低く風もないので、細かな雪がとにかく上空からまっすぐ落ちてくるといった感じだった。
そして、この雪は夕方までには、すでに30cmの新雪となっていた。
近年では、このような雪の降りかたは珍しく、ボクは10年ぶりのように感じた。
そんな雪を見て、これはまだまだ「積もるぞ」っと思っていた。
しかし、天気予報では翌日の朝まで雪が降りつづくといっていたが、ひょっとしたら意外と早く止むのかもしれない、とも思った。
それは、タヌキが行動を起こしていたからである。
雪はどんどん降りつづいているのに、夕方になって、タヌキが積もったばかりの新雪を胸でラッセルした跡が見えたからだ。

雪がどんなに断続的に降りつづいていても、まもなく止むとわかっているときには、動物たちは出歩くものである。
逆に、夕方どんなにいい天気でも深夜になって大雪に変わるようなときには、キツネもタヌキも絶対に出歩かないからである。
彼らには、こうした観天望気がなぜかできるのである。
だから、夕方みたタヌキのラッセル痕で、ボクは雪降りもそんなに長くはつづかないだろうと判断したのだった。
翌朝になって外をみると、その通りになっていた。

写真上:午後19時、仕事場の「むささび荘」に雪が激しく降り続いていた。
写真中:乾燥した新雪のなかでは、タヌキは胸でラッセルするから歩いた跡が溝になっている。
写真下:朝になって50cmの新雪を屋根にのせて、雪はやんでいた。
2008-02-08 Fri [ 哺乳類・野生動物 ]
キツネと風船
by gaku

近所の林道入り口道路わきに、風船が落ちていた。
冬のこの時期に、風船とは珍しいことだ。
子供がここまで遊びにくるには、車に乗せてきてもらわないと、まず来ることもできまい。
ひょっとしたら、日本海側の県外から「風船飛ばし」でもあって、たどり着いたのかもしれない?
そう思いながら、この風船を片付けずにそのままにしておいた。
たぶん、こうしておけば、物好きのキツネが興味を示すだろう…、と思ったからだ。
2日後になって、再び何気にここを通った。
前の夜に、うっすらと小雪が舞ったので動物たちの足跡がよく見える情況にあった。
予測したとおり、そこには風船に興味を示したキツネの足跡があった。
ボクの気持ちがズバリ的中したことに、おもわずニヤリとしてしまった。
キツネはたぶん、風船が落ちてたその夜から存在には気づいていたにちがいない。
ただ、警戒心が強いから、その晩は風船を遠巻きにして通り過ぎたことだろう。
そして、2日目にも同じ場所に風船があるから、これはチェックしなければならないと思ったにちがいない。

キツネは、林道上部からこの風船に近づいた(A)。
しかし注意しなければならないから、へっぴり腰で臭いをかぎながら確認姿勢をとった(B)。
それでも、警戒して(C)のように移動して、(D)から再び風船に近づいた。
ここで、(E)まで接近して、たぶん鼻面を風船に近づけたことが、足跡と風船までの距離でわかる。
これで、食べるものでもないし、危険なものでもないことを自分のなかで了承したから、そのまま下界まで降りていったのだった。
黙して語らない自然界は、この場合はキツネの足跡だが、こうしたちょっとしたサインからかなり明確に行動やら心理状態を探ることができるのである。
こういったところまで自然界がわかるようになると、ほんとうにオモシロイ。
とにかく、自然のちょっとした動きが手にとるようにわかっていくから、そうした洞察力を次々に磨いていくことができるからである。
自然界をさぐるには、ほんと教科書なんてないからだ。
教科書は、自分でつくっていかなければならないのである。
写真上:林道へいく途中の側溝にピンク色の風船が落ちていた。
写真下:解説手順を追って足跡をみてもらうと、キツネの動きがよくみえる。








