2009-01-28 Wed  [ 旅・取材・人 ]

信頼できる助手は無人撮影ロボットカメラ

by gaku


自然界は、「黙して語らない世界」である。
だが自然界からは、いろんな形でサインも出ているから、こちら側がちょっとした努力をすればちゃんと応えてくれる世界でもある。
だからボクは、あらゆる手段をつかって自然界を探ることに楽しみを見出している。
その一つが、自ら開発した「無人撮影ロボットカメラ」である。
このカメラをフィールドに設置することにより、これまでいくつもの知らない世界を発掘してきた。
そうした発掘から、次なる発想展開をすることで、たくさんの発見と結果を導き出すことができる。
それが、プロとしての表現手段であり、新たなアイデアや作品づくりの企画へと発展させることができるからだ。

このときの無人撮影カメラは、本気になって使用するにはかなり大掛かりな仕掛けとなる。
だから、設置はなかなかに面倒で、億劫になってしまうことも多々ある。
そこでちょっとしたデータ収集には、もっと簡単なシステムができないものかといつも考えていた。
そんなひらめきが昨年の暮れにあり、「簡易」無人撮影装置を開発することができた。
センサーとカメラとストロボを一体化してハウジングに収め、5分という簡単作業で設置できるようにしてみたのである。
カメラはニコンD80、レンズは中古の28mm、ストロボは「レンズ付きフイルムカメラ」から外しただけのシステム。



ボクがニコンシステムにこだわるのは、機材の確実性にある。
とにかく、自然界のフィールドという過酷な条件下でも故障がまったくないという信頼感につながっているからだ。そして、これまで不動できたFレンズマウントがあらゆるレンズワークを可能にしてくれる。
時代がこれだけ変化してきているのに、30年前の古いレンズでも最新型のデジイチにちゃんと装着できるのがユーザーを裏切っていないからである。
このため、目的に合わせて中古レンズを買っては簡易カメラ用に仕立てることができてしまうのである。

こうして作った簡易カメラが、4台。
さりげなくガレ場地帯に置いておいたら、またまた発見があった。
テンもオコジョも、まさかという岩石地帯を潜行していることがわかったからである。
それは、たくさんのネズミが岩石地帯をシェルターとして生活しているから、それを追って、テンもオコジョも岩の隙間を徘徊していたのだった。
まさかという行動を、簡易カメラを作ったことでこうして発見することができた。

だから、自然界はオモシロイのである。
「黙して語らない」部分を、ちょっとしたアイデアで「語らせる」ことができてしまう。
まさに、無人撮影ロボットカメラは、ボクのもっとも信頼できる助手なのである。




写真上:テンとオコジョが同じガレ場を利用していることも、新たな発見につながった。このテンは、左目が若干不自由のようでもある。
写真中:4枚のテンだが、少なくも2頭は別個体だった。
写真下:簡易無人撮影ロボットカメラ。

【注意:ストロボは高圧電源を使っているので感電の危険性があります。重大事故にもつながりかねないので、電気的知識のない人はむやみに分解などしないこと。分解や製作は、あくまでも自己責任で行ってください。製作依頼は受け付けておりません。】


2009-01-26 Mon  [ 旅・取材・人 ]

ニコン写真コンテスト インターナショナル2008-2009

by gaku


ニコン写真コンテストインターナショナルの予備審査があって上京してきた。
今年の予備審査は、写真家の中谷吉隆、今岡昌子、野町和嘉、三好和義、山口高志 各氏らと宮崎学。
このあと来月に、海外などから4人の審査員が加わって、3日間にわたる本審査が行われる。

その本審査に向けての予備審査なのであって、全世界から4万6千900余点の応募総数。
それを6人で手分けをして、一人で7800点ほどの審査を一日でやってしまうというものだった。
朝の9時から夕方の6時30分までに、パソコンの画面に映しだされる作品に各自が流れ作業で目を通していくという過酷なスケジュールなのだ。
ボクは、ヨーロッパとアメリカの一部を担当したが、各先生方の眼力は優れているので、本審査には相当な優秀作品が出揃ってくることだろう。

審査の基本は、

1)各ジャンルを通して既視感のないこと。
2)独創性に富み、強いインパクト、アピール感のあること。
3)技術に卓越しており、カメラのもつ機能を様々な角度から引き出している作品。
4)貴重な瞬間、珍しい被写体を撮影した作品。
5)色彩や構図など、光の使い方を考えた作品。
6)幻想的、神秘的な作品。
7)感性の鋭い作品、見る者に興味を与える作品。
8)時代性が反映されていること。

これは自分自身がプロとしていつも念頭においている基本姿勢なので、アマチュアやプロの作品を拝見するときにはいつもこのような考えのもとでボクは作品を見させてもらっている。

ちなみに、応募作品は年々増えつづけており、国別順位ではアメリカ、インド、日本の順に多かったそうだ。
そして、30歳以下の若い世代の応募が40パーセントにも達していて、年々増加傾向にもある。
さらには、全応募数の92パーセントまでがWEBによるものであり、近い将来100パーセントになるだろう。
それだけWEBが時代をリードしており、世界がデジタル化していることを物語っている。

写真の世界も確実に変化と進化を遂げていることが、今回は審査員の末席で強烈に実感することができた。
これは、将来を占う意味でも、とても嬉しいことである。
さて、グランプリはどのような作品に決定するのだろうか?
次回の本審査が楽しみでもある。



写真上:朝も早かったし土曜日なので受付嬢もなし。
写真下:ボクの担当テーブル(目が疲れるのでチョコレート菓子をたべながら…審査)、奥のテーブルでは三好和義氏がマスク美女にハッパをかけられている。


2009-01-22 Thu  [ 哺乳類・野生動物 ]

Nikon D3 を無人撮影ロボットカメラにする

by gaku


正月明けてから、ぐんぐん冷え込んできた。
この冷え込みを歓迎したのだが、すぐに雨も降った。
寒中だというのに、冷えたりゆるんだり、このような寒暖が続くと、氷などの背景はめちゃめちゃになってしまう。
しかし、これも「温暖化」をテーマにするならば、自然界の報道写真家としてそうした環境写真も必要だろう。

実は、正月前から山中の渓流にカメラを設置してきた。
それも、NikonD3にAF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G EDをつけて。
渓流沿いなので、三脚が倒れればこれらのカメラが水没する危険性がある。
でも、寒中の低温下だし機材の信頼度ではナンバーワンのカメラなので、プロはこうして主力機材を「道具」として使用するのである。

まあ、結果は期待通りであった。
それも、わずか2週間で背景ががらりと変化している写真が撮れた。
このように、同じ場所を定点撮影するだけで、季節や気温の変化で自然界の表情も変わるところを表現したいのがボクの写真観である。
その意味でも定点撮影は、視覚言語として単純明快に自分を表現できるところがいい。



写真上:テンがきっちりと同じルートを歩いてくるところがおもしろい。
写真下:斜めに倒れた木をテンが歩いていたが、背景の氷に力がなくなったのでここでの撮影をあきらめた。たった2週間で、こんなにも自然が変化していくのも生きものを感じる。



2009-01-09 Fri  [ 哺乳類・野生動物 ]

サルは美味しいぞぅ!!

by gaku


正月休みに南アルプス山麓の寒村へ出かけた。
そこで、Iターン猟師に行き会った。
16年前に横浜からやってきて、その村に住むようになった、そうな。
初対面だったが、気さくな方で、自宅に招き入れてくれた。
猟師なので、自然界や動物などいろんな話しに花が咲いた。

話しの最中に猟師が『サルは美味しいぞぅ…」と、ぽつりと言った。

っえ!!、そんなに美味しいのですか?、とボクは答えた。

猟師 『いやー 有害駆除だと1頭に3万円の補助金がでるから、美味しいのさぁー
    うまくいけば10頭くらい簡単に撃てるからなぁー 
    だから、この村ではみんながサルを撃つので、村から居なくなったさぁー
    サルも利口でなぁー 狙われていると分かればさっさと村を出ていく、ぜ。
    有害駆除は村内でしかできないから サルはみんなして隣の村へ逃げ込むのサ 』

サルはシイタケを食い荒らすし、野菜畑を集団で襲撃してくる。
頭もよくて、高齢者の住む過疎の村では、人間をすっかりなめきって傍若無人ぶりを発揮している。
だから、猟師も本気になって駆除に動き出したのだ。
3万円くらい払わないと、やっぱり猟師も動かないからである。

そこへいくと、中央アルプス山麓のサルたちは横着だ。
観光地周辺のサルは、だれもがいじめないことを知っているから、横着度にもほどがある。
自然保護は大切なことではあるが、「愛誤」や「保誤」になってはいけない。
現代人の自然に対する無関心さがとくにいけないと思うが、行儀のわるい野生動物を育てるのも私たちの心次第であることに気づいてほしい。



写真上:捕獲檻に入っていたサルだが、これはとても大きな個体だった。どのように処分されたかは知らないが、3日後に見回ったときには捕獲檻の扉が開いたままになっていた。
写真下:観光地では人間をなめきっているサル軍団がいて、ほれご覧のとおり。


2009-01-03 Sat  [ 旅・取材・人 ]

四季七十二候の自然変移

by gaku


また、鍋を囲んで一杯やりたいですねー      (大阪○○テレビ Y)
東京へ来たら声かけてください          (東京 ○○広告代理店 T)
新しい企画考えましょう…            (○○出版 編集長 K)
今年は新シリーズやりましょう          (○○出版 S)
また一緒に新企画やりたいです          (○○出版社 O)
テレビ界は氷河期ですがボクは冬眠しません    (○○テレビ I)
いま雑誌○○を手伝ってますよろしくです     (○○出版社 T)
ブログ見てますよぅ斬新な切り口に目うろこ    (○○スタジオ W)
いよいよ野生児の出番ですよぅ          (IT関連社長 M)
出版をチャンスにしたい時代がきました      (○○出版社 社長 I)
今年は新機種2台出ます送るから使ってください  (○○カメラ 広報 K)
また講演よろしく                (○○新聞社 M)
今年は一緒に仕事させてください         (○○プレス O)


元旦から、たくさんの年賀状が届いた。
その一行のカキコミに嬉しくなるものばっかりだった。
それなのに、ボクは20数年前から年賀状は一切出していない。
数百枚もの年賀状書きだけで、年末に相当数の時間を取られてしまうのがつらいからだ。
そのぶん、仕事で返していけばいいと考えるようになったからである。

自然を追っていると、人間の都合だけでは仕事にならないことがよくある。
とにかく、チャンスを逃してしまえば、10年以上もそのチャンスに巡りあえないことだってあるからだ。
だから、ボクにとっては仕事最優先、なのである。

一年は、誰にも365日しかない。
それを、四季で割れば91日。
月で割れば12ヶ月の30日。
旧暦では、24分割にしていたから15日きざみ。
さらには、一年を72分割していた時代もあった。
「四季七十二候」といって、365日を72等分していたのだ。日本では明治時代に廃止されたらしいが、一年間を72日で割れば、まさに5日単位で季節が動いているということになる。

桜の花が満開の時点での前後5日では、花の表情にもかなりの差があることに気づくだろう。
写真をやっていると、自然界はまさにそのくらいのスピードで駆け抜けていることがよく分かる。
そして、
春分と秋分を境にして、生物もダイナミックに行動変化を起こすし、それにむけて5日単位で確かに動きつづけているからだ。
そのことに気づいたら、ボクの仕事暦は「四季七十二候」となった。
まさに、5日単位でチャンスを見つけ出しながら一年間を駆け抜けていくのだ。

正月だというのに、今日も中央アルプス山麓の渓流へでかけてきた。
氷がどう変化しているかを見極めるためである。
ここ10年ほどで、温暖化の影響だろうか、氷にも力がなくなってきていることを実感する。
そんな2009年真冬の氷とテンを組み合わせて撮影することも、自然界の報道写真家として、いまこの時代を語っておかなければならないと思っている。

ボクからの年賀状がなくても、毎年忘れずに、こんなボクを応援してくれている人が全国にはたくさんいることが嬉しい。
「一緒に仕事をしましょうよ」と言ってくれたときに、ボクはその人のために鮮度のいい仕事でお返ししてあげたいと思う。
そのための、5日は、とても貴重な時間だからである。



写真上:2009年1月1日の撮り初めはこのテン。
写真下:2009年1月2日の氷だが、年々迫力が欠けていくのでボクはちょっと焦っている。


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