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2009-02-27 Fri [ 哺乳類・野生動物 ]
オコジョの肘にはセンサーがある
by gaku

オコジョが、無人撮影カメラを飛び越えていった。
そのときに、レンズ間際で肘が写された。
その写真をみて、肘に長い毛が生えていることを発見した。
「おや、この毛はたぶんセンサーにちがいない」、ボクはそう思った。
特別長い毛がスーっと生えているのは、ノネズミを追って激しく動くオコジョが肘を岩などにぶつけたりしないように感覚をはかる触覚なのだ。
たぶん、そのパーツにちがいないと確信した。
ならば、もう片方の肘にも毛が生えていることだろう。
ほどなく、こんどは左肘が写された。
こちらにも、やはり毛が生えていた。
両方の肘に2本ずつ、感覚器官となる長い毛がちゃんと生えていたのである。

こういう発見は、オコジョを実際に捕まえて丁寧に身体検査をしないとわからないことである。
しかし、そんな発見が、無人撮影カメラでできてしまったのはオモシロイ。
だから無人撮影カメラは、黙して語らない自然界の一端を垣間見ることできるから、やめられない。
写真上:オコジョのポートレートだって、レパートリーには必要だ。
写真下:肘毛がくっきりとわかる。
2009-02-23 Mon [ 旅・取材・人 ]
写真は時代の表現者である
by gaku

3日間におよぶ「ニコンフォトコンテスト インターナショナル2008-2009」の本審査がようやく終わった。
世界131ヶ国から約47000点の作品が集まり、海外から3人の審査員が加わって合計10名で激烈な審査が続いた。
そして、グランプリと入選作品が決定したのである
今回のテーマは、自由部門に加えて「My planet」。
いわゆる地球環境から身近な風景、愛する人やモノまで、私たちの心の内にあるplanetをテーマにした作品だ。
時代が「環境」問題になってきているので、世界中からそれなりのテーマで撮影された作品が多数寄せられてきた。
人々の意識と時代が確実に動いていることを、作品群の中から再認識させられた審査会でもあった。
今回の最終審査のなかには、カワセミが嘴にカワエビをくわえて水中から浮上してきている写真があった。
この写真を審査員の何人かが高く評価したが、結果的に選外となった。
理由は、30年も前にプロ写真家がすでにやった仕事の亜流だからである。いわゆる、「既視感」にあふれているというやつだ。
たしかにカワセミがよく撮れてはいるけれど、嘴にくわえている獲物がブラックバスやテラピアなら、ボクは強く推した、だろう。
現在の日本社会では、外来魚が水辺環境をかなり悪化させていることは社会問題にもなっている。
その水辺環境を生活の場とするカワセミは、すでにプラックバスなど外来魚の稚魚を餌にもしている。
だから、そのような作品を狙ってきてくれれば今日の「時代性」を強く感じることができるから、ボクは大抜擢をするにちがいない。
これとは対照的に、予選段階からボクが支持して入選になった作品がある。
それは、中国からの応募であったが、アメリカのロッキー山脈を縫う冬のハイウェイにビックホーンという野生の羊が数頭やってきて道路上を舐めているという作品だった。
ハイウェイ上には凍結防止用に「塩化カルシュウム」が散布されていたのである。それを、野生動物がミネラル分補給のために舐めにきていたのだった。
これこそまさに、車社会となって現在置かれている人間と自然界の立場をビックホーンが雄弁に物語っていた。
だからボクは強力にプッシュし続けたので、47000点の中から入選まで漕ぎつけたのである。
写真は、視覚言語の世界である。
そのことに気づいて、作者が一枚の写真にどれだけのメッセージを込められるかがキーポイントとなる。
そのうえで何が写り込んでいるのかを読ませるメッセージとすればいいのであって、そこには写真という記録性からいってもその時代を映す「時代性」というものが求められてくるからだ。
このことは、写真家としてのボクの基本的姿勢でもある。
こうした観点で今回のコンテストを見渡してみると、日本人の作品作画レベルが非常に低いところにあったことは否めない。
作品をつくる前に頭の中で考えるということが、日本人全体の中に欠けているように思えてならなかった。
それには、現在の時代を読む精神性の高さというようなものが求められてくるのだろう。
日本のカメラは世界一の技術でも、それを使いこなす側の「技術」が追いついていないのは残念だった。
この問題をどうすればいいのか、審査会を終えて信州へ帰っても、ボク自身の自問自答がつづいている。
写真:外来動物のヌートリアが夕暮れのため池を悠然と泳ぐ。
2009-02-15 Sun [ 旅・取材・人 ]
信州伊那谷名物ザザムシという珍味の虫たち
by gaku

今年の信州伊那谷は、ほんとうに雪の少ない穏やかな天候が続いている。
こんな年は珍しいのではないかと思うが、うららかな天候の日には、ボクは犬の散歩によく出かける。
そこで、愛犬を連れて、寒中の天竜川へ出かけたら、ザザムシ捕りをしている老人に出会った。
老人は、まだまだ水の冷たい天竜川の瀬で、ひとり黙々と小石をひっくり返していた。
ザザムシとは、水中の石の下にいるカワゲラやトビケラなど水生昆虫の幼虫たちのことである。
これらの虫を佃煮にして食べるのだが、ある地域の人には、それはそれは美味しい「珍味」、なのである。
昆虫を好むのは、長野県でも上伊那地方のごく一部地域のことだが、それもきわめて限定された土地柄に多い。
そのくらい、昔人は、海から遠く離れた伊那谷で動物蛋白源を求めるためには、地域の細かい自然と対峙して、食べられるものを確保してきた歴史があるからだ。こうして、イナゴやカミキリムシの幼虫、蜂の子、カイコの蛹、川虫、セミ…、にいたるまで、とにかく美味しく「食べられる」ものを探し出して「食文化」を築いてきたからである。
ボクは老人と話しがしたくなり川の中に入っていった。

gaku 『おじさんこんにちは。楽しそうなことやっていますねぇー』
老人 『なあーーに、することがねぇので、天気がいいとここに遊びにくるのさぁー
たくさんは捕れねぇーけど、ちょっとだけ捕って、晩酌をするんさぁー
マゴタロウ(ヘビトンボの幼虫)と川虫(チャバネカワトビケラ)しか捕れねぇーがなぁ
このマゴタロウが、オレは好きでなぁー
ちょっと皮がごそつくけれど、やっぱりいい味しているでなぁー
このあいだ下伊那に捕りにいったけれど、あそこにはマゴタロウがほとんどいなくてよぅ、川虫ばっかりじゃったぁー 』
gaku 『マゴタロウは、汚れに強い虫だから、きっとその川がきれいだったからなんですね』
老人 『ほほぅー そういうもんかい? そういえば、ここの川のほうが汚れておるなぁー
昔は、もっともっといろんな種類の虫たちが捕れたものだが、最近はマゴタロウと川虫ばっかりじゃぁー』
gaku 『そうなんですよ、ザザムシといってもザザと流れるような場所にいる虫だからザザムシなんですよね
だから、ザザムシという名前の虫はいなくて、川の石底についているすべての虫を総称していたんですよ
昔は、10数種類もの虫たちがいて、それを「ザザムシ」と呼んでいましたからねぇー』
老人 『あんた、虫のことにえらい詳しい、なぁー
オラ80歳になるけれど、マゴタロウがどんな親になるかも知らねえぞ…
そして、汚れた水を好むなんてことも、知らなかったなぁー
だっけど、マゴタロウはなぁ シブ味エグ味がなんともいえず美味くて、オラはこのほうが好きだなぁー』
gaku 『オジサン、ボクは上伊那郡の出身だけど、ザザムシなんて食わなかった、に
カイコの蛹ばっかりを食っていた、なぁー』
老人 『そうよ、なぁー オレたちはザザムシ食ってたけれど、カイコの蛹なんて、食わなかったぞぅ…
あんな気持ちの悪いもん、よう食うもんだ、と言っていたなぁー 』
gaku 『そうねぇー ボクたちも、川虫を食っている人たちがいるんだねぇーー って、言ってましたよ。
あんな、気持ちの悪いもん、よく食うねぇーって、みんなで笑ってました、がぁー』
いやー、楽しかった。
たかが犬の散歩でも、ボクにとっては地域でこういった会話ができることがいちばんうれしいこと、である。
それは、地域の自然を見直すきっかけにもなる、からだ。
写真上:ザザムシ捕りのオジサンと柴犬。
写真下:左がチャバネカワトビケラの幼虫、右がヘビトンボの幼虫。どちらも佃煮にすると珍味。
2009-02-06 Fri [ 旅・取材・人 ]
リンゴにヒヨドリとハクビシンとテンとリス…と
by gaku




仕事場の庭にリンゴを出しておいたら、一晩で消えてなくなることがわかった。
ハテ、だれが持ち去っていくのだろうか?
たぶん、テンかハクビシンだろうと思った。
しかし、ハクビシンなら、現場にリンゴの皮が残されるから見当もつく。
こうしたちょっとした疑問を確認しないままでいると、ボクの気持ちもすっきりしない。
そこで、再び簡易自動撮影カメラの登場である。
結果は、4種類の野鳥と動物が特定された。
やはり予想どおりに、テンとハクビシンが来ていたのだが、この両者はものすごく警戒心の強い個体だった。
だから、現場でリンゴを食べることなく、丸ごとくわえて持ち去っていたからである。
警戒心の少ないヒヨドリとリスは、現場で食べていることがわかった。
ちょっとしたことでも、こうして「黙して語らない自然界」は、まず知ってみることからはじめるのがボクのモットーだ。
そのうえで、次なる展開をしていけばいいからである。
ちなみに、カモメはリンゴをたべに来なかった。

写真下:廃棄リンゴが大量に肥料として田んぼに捨てられている。これとて、多くの生物がよろこんでいることだろう。
2009-02-05 Thu [ 哺乳類・野生動物 ]
春の予感でテン撮り納め
by gaku

以前から狙っていた倒木がある。
この木をテンが橋のように歩いていくことは、知っていた。
後方の岩が凍り、厳しさがでたところで撮影しようと思っていた。
しかし、暖冬の今年は期待通りの背景にはならなかった。
それでも、一昨日見たら、巨大氷が細っていく感じがした。
それなりにライティングをすれば、写真が撮れないわけでもない。
今冬最後の氷への挑戦になりそうな予感がしたので、夕方1時間ほどかけてカメラ設置をしてみた。
どんなに「絵コンテ」を考えていても、現場にカメラを実際に向けなければ撮影なんてできない。
だから、気は自分で起こさなければ何事も進まないからだ。
もちろん、カメラは無人自動撮影。
今朝そのカメラを回収したら、絵コンテどおりにテンが写っていた。
昨日の18時36分、である。
意外に早い時間で勝負がついた。
暖冬を語るには、こんな写真も必要だからである。
写真上:自分が考えた「絵コンテ」どおり、100点満点の写真が撮れた。
写真下:この現場は以前にも出したが、氷の表情がどんどん変わっていくのが自然界の面白さを見せてくれている。








