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2009-05-27 Wed [ 旅・取材・人 ]
マムシグサと遊ぶ
by gaku

ちょっとおもしろそうなレンズを見つけたので、諏訪湖のほとりにある製造元の会社まで買いにいった。
51、000円。
なかなかの値段だけれども、買うしかない。
買っても、それが使えるか使えないかは、やってみないとわからない。
こうして、ボクはこれまでたくさんの買い物をしてきた。
とにかく、作品にしたい「絵コンテ」があるから、そのための機材は必要なのだ。
しかし、せっかく買っても、使えないこともたくさんある。
なので、いくつもの投資を繰り返しながら、回収できないままにお蔵入り、ということも数多くある。
だから、投資をしながら泣きをみては、自分自身が成長しているのである。
今回のレンズは、まだ、どう転ぶかわからない。
このようなときには、とにかく夢中になってそのレンズと遊ぶこと、だ。
手持ちのいろんなレンズと撮り較べてみて、使えるか駄目なのかを見極めていくしかないからだ。
プロは、こうして、いつも自分のスタイルを作り上げていくのだ。
そのための投資は、すざまじいものがある。
その結果が、オリジナルな仕事へとつながるからである。
だから、機材の品番などはおいそれと公開できないこともある。
公開すれば、プロでもアマでも、そこからがスタートとなるから投資料も少なくていい。
そんな甘い汁を吸われたくもないから、とりあえずはデータの公開は数年遅れということになるだろう。
その数年間が、プロには大きな勝負となるし、決定的な差も出せるからである。

そこで、今日は新しいレンズを含めてマムシグサの試し撮りをしてみた。
いろんなレンズで、同じモデルを撮影することで、その違いが見えてくるからだ。
同じマムシグサでも、レンズによってはこんなにも表現が変わってくるからオモシロイ。
写真というものは、まさに「視覚の冒険」なのだから、冒険はどんどんやったほうがいいと思う。
今日は、それを実践する一日でもあった。
写真上:左は魚露目、右はシグマ4,5mm。どちらも、実にオモシロイ。
写真下:左はシグマ11mm、右はシグマ70mmマクロ。やっぱりどちらも面白いと思うが、あとは好みの問題だろう。ただ、同じマムシグサでも、これだけのバリエーションがあると、レンズ選びも大切なことがよくわかる。
2009-05-24 Sun [ 旅・取材・人 ]
ホテイランに会いに行く
by gaku

昨日(23日)は、神戸市の近くで講演の予定だった。
しかし、「豚インフル」で急遽中止。
なので、スケジュールにいきなり穴があいてしまった。
そんなボクを、親友のイトちゃんが誘いにきてくれた。
「これからホテイランを見に行くが、一緒に行くかい?」
まあ、イトちゃんと一緒に歩くだけで、とにかくお互いに刺激となり、大発見ばかりとなる。
なので、二つ返事で出かけた。
ホテイランはとても美しい野生のランで、ボクも大好きだ。
その群生地に、イトちゃんは毎年出かけて行ってはランの花に一人酔ってくるのである。
だから、場所を公開すればあっというまに盗掘に遭うので、絶対に信用できる相手でないと連れて行かないのだ。
群生といってもせいぜい数十株くらいだろうと、ボクは思っていた。
ところが、現場に着いて驚いた。
数百…、というホテイランが見事に咲いていたからである。
絶滅危惧種といわれるホテイランもあるところにはあるものであって、この場所だけは公開してはいけないと思った。
ランは、人間に狙われても歩いて逃げるワケにはいかないので、場所だけはやっぱり教えてはならないのである。
イトちゃんのように、自然生態に詳しく生育環境までちゃんと見届けることのできる人がいて、その人がそっと見守りつづけることがいちばんの「保護」につながると思うからだ。
これはランにかぎらず、イヌワシなどでも同じこと。だから、ボク等はいろんな生物や植物など何十年もそっと見守っている場所がいろんなところにある。
ホテイランだけでなく、近所にはイチヨウランも相当数があった。
見事な群生、だった。

ついでに、さわやかな風の通る森林で、2人でおにぎりを食べていると一瞬クマタカの声が聞こえた。
この声にはボクが反応して、声だけで巣のあることを悟った。
案の定、モミの大木にクマタカの巣は見つかった。
これで多いに満足しながら、さらには源流でヤマトイワナも釣った。
釣果は、食べごろの5匹。
イワナは大物狙いをする人は多いが、尺を超える肉質は好きではない。
リリースよりちょっと大きめなのが、食べていちばん美味しいとボクは思う。
そして、下山したボクは、夕方から隣町の猟師たちに焼肉に誘われていた。
イノシシの極上肉(3才メス)とシカ肉で、一升酒を飲んで、山歩きで疲れた体がとろけてしまった。

写真上:ホテイランはほんとうに美しい。珍品の白化個体も見つかった(右写真)。
写真中:ランを相手に「カメラ芸人」をしてみた。右はイチヨウラン。
写真下:ヤマトイワナはとても美しい。
2009-05-22 Fri [ 旅・取材・人 ]
時代からのメッセージ
by gaku

昨年の暮れには、理論社から「かわりゆく環境 日本生き物レポート」全4冊が完結した。
今年の3月には、偕成社から「森の写真動物記」全8冊も完結した。
どちらも、写真家宮崎学からのメッセージである。
思い返せば、写真をやりはじめて40年の歳月が流れた。
長いようでもあるが、短い40年でもあった。
この間、ボクは一貫して写真とは「視覚言語」であると考えてきた。
一枚の写真に、どれだけの言葉を埋め込められるか。
一枚の写真に、原稿用紙何枚の言葉が紡ぎだせるか。
そんなことを考えて、いつも写真を撮ってきた。
だから、対象物をじっくり見つめ、何が写っているのかを考えて、撮ってきた。
「黙して語らない自然界」のちょっとしたサインを読み解くには、やっぱり自然と語らなければ読めないと考えてやっている。
だから、ハクチョウやタンチョウやニホンザルが餌付けをされて「保護区」といわれているような、そこへ行けば誰でもが対象物を必ず撮影できる場所にはなるべく出かけないようにしてきた。
それよりも、探せばどこにでも生息しているハズの生物の存在を予測して、彼らの生活痕のサインをコツコツと探り出し、出会えるまでのプロセスを楽しみながら、対象物に迫っていくという方法を大切にしてきた。
このような方法論をとれば、絶対に日本の自然の奥深いところまできちんと見届けることができると考えたからである。
そんな40年のプロセスのなかから、今回このような出版物が完結したのである。
だから、これらには、ボクからのかなりのメッセージが込められている。
いわゆる、人まねでない、現在の時代から次世代に向けて、私たち人間が自然界へどう対峙していけばいいのかというメッセージである。
要するに、自然界のいいところだけを花鳥風月的に見つめ美辞麗句で賛美するような写真ではなく、摂理に則った本質に迫る見方でまとめたものである。
まあ、このような写真を理解するには、自然界のことをかなり分かっていないと難しいかもしれない。
しかし、いつまでも花鳥風月的な視点で自然界を甘く見つめていてはダメなので、あえてこのような出版物を著したまでだ。
だから、ボクはこれまでにも、いつも新しい視点に挑戦しているし、そのような出版物を心がけている。
なので、もうすでに、新しい次なる出版物の構想や実践にも入っているから、これらの全集はいまの時代からのボクからのメッセージだと思っていいただければいい。
だから、出版してしまえば、自分にとっては過去のものである。
しかし、数十年たって、いろんな人と出会ったり、講演先などで「あの本を買いそびれたけれど入手できないですか?」と聞かれるのは辛いものがある。
それだけボクは日々進化しているのだから、出版したら「昔の名前で出ています」というようなワケにはいかないので、買ってしまって欲しい。
でないと、あとは、あの世の閻魔さまの土産になるだけだからである。
2009-05-20 Wed [ 哺乳類・野生動物 ]
黙して語らない自然界
by gaku
先日、ボクが仕掛けたライブカメラ用の巣箱でテンが休憩していった。
巣箱は、4年前に、ムササビ用に仕掛けたものだ。
その巣箱に、ムササビが入居して子育てもしたことがある。
そこに、今回はテンが休んでいったのだから、新たな発見である。
巣箱には、内部をモニターできるようにカメラが仕込まれている。
しかも、そのカメラは常時監視しているなかでも、ちょっとした動きの変化があると、すかさず記録に留められるようにもなっている。
だから、モニター画面に常時張り付いていなくても、記録された映像をチェックするだけで動きもわかるという効率性も仕込まれている。
その記録にテンがチェックされ、なんと夜の8時ころから朝の4時ころまで、巣箱内でぐっすり眠っていったのである。
これはひとつの事件ではないかと、ボクはそう思っている。
テンが寝ていたところは、ムササビが巣材として持ち込んだスギの皮の上。
いわゆる、ムササビの布団をテンがちゃっかり使っていったというワケである。
この布団には、ムササビのノミや寄生虫などもいることだろう。
そこに、テンが長時間にわたって寝ていったのだから、テンにも寄生した可能性がある。
とにかく、このようなちょっとした行動ひとつにしても、私たちはほとんど観察していないし、知る機会も少ない。
だから、自然界を語るには、ほんとうに自分たちの都合のよい「想像」だけがまことしやかに語られ続けていることがいかに多いことか。
また、裏を返せば、野生動物から野鳥、昆虫、細菌にいたるまで、このようなちょっとした動きが絶えず自然界では起きているといっても過言ではない。
そのくらい、私たち現代人は自然界に関心も示さず知らないまま、日々能天気に生きているかということでもある。
そんな、ちょっとした自然界からのサインをボクは知りたくて、このような巣箱を設置しているのである。
この巣箱には、ムササビはもちろんのこと、アオゲラやミソサザイ、ヤマネやスズメバチなども遊びにきたことがある。
地上6mに巣箱はあるが、その高さなどもいろんな意味をボクにこれまで教えてくれた。
このような巣箱が、あと2つある。
こうして、「黙して語らない自然界」を少しでも見て、知っていくことが、ボクの求めている自然観だからである。
そして、昨夜もテンが一瞬であるが、巣箱内に入ったことが記録されていた。

写真上、中:巣箱内で眠るテン。
写真下:テンのおまけ画像
2009-05-16 Sat [ 料理・食 ]
山菜狂想曲コシアブラ
by gaku
最近、コシアブラなる山菜が注目をあつめている。
タラノメを食い飽きた信州人が、コシアブラに移行しているからだ。
コシアブラとは、ウコギ科の高木で大きなものは電柱ほどにもなる。
この新芽を食べるのであるが、松ヤニのような味がなかなかに美味なのである。
新芽の成長は早く、適期を逃しやすいものだが、いい時期にあたるとほんとうに美味しくいただけるのがコシアブラ。
なので、ボクは一年に一回はコシアブラを食べたいと思って実践している。
そして、一回食べれば、欲になってそれ以上食べられないのもコシアブラなのではないかと思う。
コシアブラ初心者だと、まず「天ぷら」が美味しいというが、もっと美味しい食べ方がある。
それは、さっと茹でて、冷水に浸したあと、酢味噌で食べるのだ。
あとは、これを卵でとじて、甘めの天汁での「コシアブラ丼」がなかなかに美味でもある。
このコシアブラは、全国的に分布しているようであり、兵庫や鳥取の日本海岸でも目撃したことがある。
柔らかい木なので加工がしやすく、東北地方ではコケシづくりなどに利用されている。
内緒だけれど、ボクの仕事場の庭にも大小数十本のコシアブラが生えている。
この庭で充分に収穫ができるけれども、不思議なことにこのコシアブラを動物たちが食べているところを見たことがない。
カモシカもニホンジカも、この葉を食べないからである。
樹種に含む「脂」成分が嫌いなのだろうか?
この脂は、その昔は鉄の錆止めに使ったそうな。
だから、木から脂を濾したので「コシアブラ」。
信州では、いま人気急上昇中の山菜である。
写真上:このくらいの新芽がいちばん美味しくいただける。
写真中:酢味噌で食べるのがシンプルでコシアブラの味を楽しめる。
写真下:30分も歩けば大収穫。「道の駅」でこれだけ売ればウン万円になりそう。あっというまに成長するから収穫時期に要注意。








