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2009-09-30 Wed [ 昆虫 ]
今年の冬は早いか厳しいか?
by gaku

2週間ほど前から、カメムシの動きが活発化してきた。
山麓の林のなかにある仕事場である「むささび荘」には、毎年たくさんのカメムシが侵入してきて越冬していく。
あのカメムシの「屁」の臭いには辟易しているけれども、毎年のことだから諦めてもいる。
なので、その年の侵入個体を見つけ次第、ドリンク瓶に身柄確保をして強制越冬させてもいる。
しかし、人目を盗んで行動するのが彼ら。
一昨日なんて、布団のなかに入り込んでいて、夜中に大腿部をモゾモゾ歩いていたものだから飛び起きてしまった。
とにかく、どんなすき間にでも潜りこんでいくから、厄介カメムシ。
昨年は、プリンターの調子が悪かったのでメーカーに修理依頼をしたら、こんな虫が出てきましたといってビニール袋に入ったカメムシのミイラが返ってきた。
なので、以来プリンターは大きなビニール袋に丸ごと入れて、使うたびに袋の口を開いて稼動させるという面倒くさいカメムシ対策をしている。
これからは、11月いっぱいまで、こんなことの繰り返しだろう。
しかし、その動きは例年になく早いし数も多い気がする。
カメムシも越冬のために適地をさがして飛んでくるのだから、冬の到来を早めに察知しているにちがいない。
今年は2週間も早いということは、ひょっとして冬の訪れが早いのかもしれない。
そして、厳しいのか、な?

写真上:CDの上で警戒モードのカメムシ。
写真下:強制越冬のための「ホテルかめむし」をオイラは営業している。
2009-09-25 Fri [ 哺乳類・野生動物 ]
イタチで秋を知る
by gaku

先月九州へ行った折、田んぼのあぜ道でイタチの糞をみた。
その糞には、野イチゴの種らしきものが入っていた。
だから、てっきり「野イチゴ」を食べていると思ったら、その種は「イヌビワ」のものだった。
所変われば品変わるで、信州にはイヌビワがないのでイタチの糞を見てもちょっと勘が狂ってしまった。
そんな出会いがあったので、もしボクが九州に暮らしていれば、イタチがイヌビワの実に夢中になっているところを撮影したいと思ってしまった。
信州でイタチといえば、川魚。
イタチは手足の指の間にある水かきをつかって、器用に水中に潜り、川魚を追い詰めて捕獲する。
それはそれは見事な捕食シーンとなるが、撮影はとても難しいので現在の日本で成功している人はいないだろう。
20年ほど前に、ボクはそんなシーンをフィルムで撮影したが、こんどはデジタルで撮影してみたいと思っている。
そうするには、まず、川に魚が群生していることをイタチに知ってもらう必要がある。
それには、フナを生かしたまま川に泳がせれば、イタチは必ずそれを知ってやってくるからだ。
たかがイタチ、されどイタチだが、日本の野生動物でイタチほど撮影の難しい動物はいないと思う。
「イタチの道きり」といわれるくらいに、イタチには一定の所在がないから、確定的に出会いを重ねることすら難しいからである。
しかし、そうしたイタチでも四季のはっきりしている日本に生息しているのだから、餌確保にもっとも神経をつかう「冬」に照準を合わせれば、こちらの思い通りにさせることができるのだ。
なので、冬の前の季節である「秋」から準備をすれば、まちがいなく11月下旬から撮影は可能だからである。
ボクには、季節をまたいで、そんなヨミができる。

そんな矢先に、知人から「フナの甘露煮」が届いた。
自分の休耕田で飼育してきた3cmほどのフナの子供を、自分で味付けをしてボクに届けてくれたのだった。
毎年秋になると届くこのフナが、とっても美味しいのである。
フナの頭から丸ごとすべてを食べられ、クリーミーな甘さのなかに肝のほろ苦さがほどよくとけて、日本酒のぬる燗に絶品なのである。
「美味しいなぁーー」と、知人に感謝しながら子ブナを数匹ほおばっていると、ふとイタチのことが甦ってきた。
「このフナでイタチを呼べる」、ボクはそう直感したからだ。
さっそく知人に電話をかけると、来年用の親ブナを池に大量に確保してあるということだった。
「欲しいだけあげるからいつでも言ってくれーー」ということで、イタチの撮影が可能となった。

イタチの写真なんて撮っても、営業的にそれほどプラスになることはない。
しかし、誰も撮らないものをキチンと撮影するのもプロの仕事である。
だから、難しいと思われているものに挑戦するのも、自分としての技術確認を含めて楽しみながらやるだけである。
ツキノワグマの撮影に大忙しだというのに、ボクの頭の中にはすでにイタチが泳いでいる。
写真上から:
九州で見たイタチの糞とイヌビワ。
フナと甘露煮。
イタチの足跡。
2009-09-20 Sun [ 哺乳類・野生動物 ]
ツキノワグマは確実に増えている
by gaku

今日の新聞には、長野県と岐阜県にまたがる乗鞍岳で、ツキノワグマが大暴れして9人に重軽傷を負わせた事故が一面に載っている。
朝日新聞は、一面どまんなか。
読売新聞は、一面の左隅。
信濃毎日新聞は、一面の3/4を割いて、34、35面でも大々的に報道。
これらの記事を読んで、ボクは、かなり突っ込んでしまった。
■「なぜこんな高所に…」
餌となるドングリはないし、堅果類はないのにどうして…?
■「中標高地でドングリを食べているはずなのに…」
ドングリがあるのは、標高1000~1500メートルだから、2700メートルの高標高地には餌がないハズ…
■「熊がドライブインの残飯を狙ってきた可能性がある…」
■「もう二度とここには来たくない…」
大阪から来た26歳の看護師のコメント…
■「オス熊が9人を襲うという事例は聞いたことがない…」
よっぽどパニック状態だったのだろう…
まあ、いろいろなコメントが出されているが、相変わらず人間の勝手な都合だけで記事にしていた。
ドングリや残飯などといった、これまでずっと使い古された言葉だけを使っていて、もっと、根本的な理由付けはできないものなのだろうか?
ツキノワグマは、平地から高山帯まで広く生息エリアにしているし、この時期には高山植物が大量に実をつけていることくらいわかりそうなものだ。
ボクは、ツキノワグマは確実に増えていると、これまで一貫して言い続けている。
もう、4年もいろんな山地に高性能無人撮影ロボットカメラを設置して、ずっとツキノワグマの動きを追っているが、毎年次々と子供を連れたメス熊が何組も記録され続けているし、捕殺されても次々に別個体が同じような数で補充もされてきている事実を知っているからだ。
こうした事実を、静かにそして確かな手応えとして見てきているからである。
しかも、「クマクール=熊来ーる」といって、
ある樹皮を芋焼酎で煮たあと乾燥させたり、その煮汁をつかったり、
ある植物を乾燥させておいて、現場で水で溶くと、独特な熊のよろこぶ匂いがでたり、
南アルプスにシカやサルやイノシシがよろこぶ泥土が流れてくる川があり、その泥土を中央アルプスの熊の通り道に設置してみると熊がどのような態度になるのか、
とにかく、熊が関心を示す数々の「媚薬」を使って、ツキノワグマの実際の頭数を調べているからである。
さらには、「マタミール=股見ーる」といって、
ツキノワグマの股間を自動撮影して個体識別もしている。
熊の股間は、熊の顔よりも個性的で、股間だけで見事に識別できることがわかっている。
また、ヘアートラップも随所に設置して、熊の体毛を集め、その動きもしっかり把握しながら行動の先読みをして無人ロボットカメラの効率性も図っているのである。
このように、独自なアイデアと技術を駆使して調査考察を続けていると、ツキノワグマはほんとうにたくさんいるし、きわめて身近なところに平気で行動していることがよくわかる。
それなのに、地域の人たちはまったくその事実に気づいていないというのが、現実なのである。
だから、今年(2009年)も、5月から今日まで、人家付近の平年と同じ林に、まったくの変化なく毎晩ひっそりと何頭ものツキノワグマが行動していることも、ボクは知っている。
その熊たちが、どこをどう歩いて、第2、第3のカメラにも移動していき記録されていくかまで、面白いほどにわかっているのである。
こうした動きは、目立つ年とそうでない年があるようだが、カメラで追跡するツキノワグマの動きにはどんな年でも同じなのが事実である。
このことは、裏を返せばふだんふつうにご近所をツキノワグマがひっそりと行動しているということになるのである。
なので、そろそろ3冊目のツキノワグマの本をまとめるつもりでいるが、ドングリの稔り具合がどうのとか、残飯がどうのとか。
ツキノワグマは数が少ない動物だから厳重に保護しなくてはいけない、などと。
とにかく斬新なアイデアを使って、実際のツキノワグマがどのくらい生息しているのかを調べる技術もない人たちが、専門家だとか研究者といって、マスコミにあやふやな情報を流すものだから、相も変わらずまったく進歩もない報道がメディアに載ってしまうのだ。
それが、そのまんま、10年も20年も変化していかないのがボクにとっては不思議だし、熊はどんどん進化しているのに、こうした脳止感覚の人間のほうが「事件」だと思うからである。
ボクが、研究者なら、残飯にツキノワグマがやってくるのなら標高3000メートルから500メートル刻みに平地まで、「残飯」を設置してそこにあつまってくる熊を調査するであろう。
そして、残飯の味をしめた熊がいけないのなら、どんどん射殺もしていく。
こうして、やってくる熊を順次潰していきながら、翌年の補充状態を調べていくであろう。
(少なくとも長野県の熊事情を見れば、年間相当数の捕殺が行われても数は減っていないから、このくらいの大胆な研究を今ならしてもいいと思うからだ)
また、ドングリに熊がやってくるのなら、ドングリをどっさり撒いて、そこにやってくる熊を次々に撮影して個体識別しながら潰していき、次の年の変化を見たい。
(もっとも、こうしたドングリにやってくるという態度に出る熊とはまったく別の嗜好の熊のいることにも気づかないようでは専門家とはいえないが、ドングリにはまったく来ない熊もいるということである。)
ハチミツが、ツキノワグマは大好きだというけれど、ハチミツに狂うツキノワグマは全体の1割しかいないことをどれだけの研究者が知っているのだろうか。
獣害に電気柵が有効だと言い放って電気柵メーカーと癒着しているツキノワグマ保護NPOがあるけれど、電気柵を屁とも思っていない熊個体もいることを、一般人も知っておいてほしい。
林道工事現場に置いてある発電機を、無人となった夜間にそっとツキノワグマがやってきてひっくり返すのは何故なのだろう…か?
こうした、ちょっとした熊からのサインにどう答えて説明できる人が何人いるだろうか。
そのくらい、ツキノワグマにも十人十色というほどに、個性が分かれていることをどれだけの人が知っていて、次の対処ができるのだろうか?
今回のツキノワグマの事件を得て、相も変わらず本質に迫ることができないニポン人の情けなさをボクは感じた。
もう、とっくにこれまでの考えを一度リセットして、ツキノワグマは「増えている」という発想に切り替えれば、
もっともっと今日ある自然界や人間社会を柔軟に目撃することができるとボクは思っている。
ツキノワグマがほんとうに絶滅するほどに数が減っているのなら、その理由を的確に見せて欲しいし、どこまで減れば絶滅するのか。
どこまで増えれば、余剰部分を間引いてもいいのか。
増えているからといって、どんどん殺戮していいともかぎらない。
そうかといって、絶滅するとうわごとだけならべて、調べるという基本的な技術鍛錬を怠っていても困る。
だから、ツキノワグマを語る研究者や専門家は、的確な視点と技術で今日おかれている日本全体の自然環境を誰にも分かるように説明できなければならないと思う。
それと、高速道路通行代が土日1000円になったからといって、豊かな自然に癒しを求めて都会から旅にでるのはいいが、豊かな自然界にはマムシもスズメバチもツキノワグマも、同時にセットになっていることを忘れてもらっては困る。
緑豊かな観光地のパンフレットには、誘客だけの案内しか載ってないが、そのようなところにも熊をはじめとする野生動物が普通に生息していることを常に念頭に入れておかなければならないからだ。

※ツキノワグマが増えている理由は、もう一つのブログ「ツキノワグマ事件簿」を遡って読んでもらえば詳しく書いてある。
http://tukinowaguma.net/
写真上:親子熊が次々に記録されるのは、それだけ生命の補充ができている証拠。
写真下:里にやってきて2度捕まったことのある熊の耳にはタグが光っているが、それでも懲りずに遊歩道を平気で歩く親子熊。
2009-09-18 Fri [ 旅・取材・人 ]
新型インフルエンザにもっとも近い男
by gaku

講演、原稿締め切り、ツキノワグマの撮影など、相変わらず同時進行の続く多忙な日々。
12日は、大阪の箕面市、16日にも東京の国分寺で講演があった。どちらも前泊で行ってきたから都合2日間の工程となり、フィールド作業はもちろんお休み。
二つの講演とも、ボクの出版物である「アニマルアイズ」から図書館の司書さんが関心を示してくださり、講演へと発展したものだった。
こういうことは、送り手の著者としてはほんとうにうれしいことである。
ボクの仕事は、自然界の生物を可愛い、きれいだといったように美辞麗句を並べるだけの本づくりだけではなく、生物を通した視線から現代社会の人間像までをも逆照射をしているから、そんなところに気づき興味を示してくださることは本物の読者だと思っている。
だから、こういうところでの講演依頼ならばお断りする理由はどこにもないからである。
国分寺では500人の中学校の生徒とPTA、教職員の会場だったが、折からの新型インフルエンザが流行中。
学校ではちょうど学級閉鎖もあり、全員がマスク着用での講演会だったが、ボクはマスクをするわけにはいかないのでノーガードだった。
まあ、年齢的にはインフルエンザの免疫を備えているらしい世代なので、なんとかなるだろうとやってきた。
そのあとは、電車に乗り、高速バスに乗って信州まで帰宅してきたが、ウイルスから見れば、短時間でのこれだけの移動は絶好なチャンスだと映るだろう。
だから、帰宅後も、しっかり手洗いとうがいをしたが、たぶんこれは気休めにちがいない。
そう考えてみると、大阪への移動も新幹線と私鉄を乗り継いで行ったから、流行を甘く見るつもりはないが、ボクはウイルスに捕まる危険性が非常に高いところにあるのではないか。
3週間ほど前にも、地元のある会社の社長室を訪ねたら、いきなり「たったいま社員が病院から電話をよこして、インフルエンザで菌が出てしまったから隔離された」と告げられた。
大急ぎで社長もボクもマスクをしての会話となったのだったが、その後は一応何の症状もでなかったので、とりあえずは大丈夫だと思う。
それにしても、今後も全国いろんなところへの移動が年内スケジュールで決まっている。
旅先でインフルエンザで隔離入院なんてことにはならないように、細心の注意だけは怠らないようにしたい。
新型インフルエンザにもっとも接近している男だと認識して、行動しなければならないだろう。
まあ、裏を返せば、そのくらいウイルスはどこにいてもいるものであって、だれもが密接な関係にある、ということである。

写真上:大阪・箕面青年会議所のメンバーはほんとうに若くて将来をきちんと見据えていたのには感心した。
写真下:なんでも「除菌」の時代だけれど、人間を含めたあらゆる生物って、雑菌に生かされているようだから「ほんとうに大丈夫?」、と突っ込みたくなる=阪急梅田駅にて。
2009-09-10 Thu [ 旅・取材・人 ]
Nikonのワインと羊羹
by gaku

相変わらず、多忙な日々が続く。
昨日は、東京の銀座ニコンサロンで国際フォトコンテストの展示オープニングがあったので上京してきた。
このコンテストの審査員だったこともあり、招待を受けたのだったが、サロンに展示されている作品をみると審査のときよりもすばらしいプリントになっていたのには驚いた。
久しぶりにいろんな方たちとも会い、楽しいひとときとなった。
二次会はニコンの幹部たちとの食事会。
これも、楽しかった。
そして、お土産にワインをもらってきた。

パーティーは夕方からだったので、昼ころ都内に着き、11月に出版となる「カラス」の本の進捗状況を担当編集者から受けた。
ゲラの手前で本の形がやっと見えてきた状態だったが、いい本になることを予感した。
カラスで1冊の本を作ってしまうのだから、我ながら天才だと思った。
都内のホテルに一泊して、翌日は秋葉原へ。
ここでいくつかの電子パーツを仕入れながら、週刊誌の編集者2人と記者を交えての食事会。
こういうところから企画も生まれてくるのであるが、ボクの考えとはちょっとズレも感じたので今後の社会変化に対しての意識改革を強く伝えてきた。
長年、自然界を見つめ、社会を見てきていると、ボクには将来がどのように動いていくのかがわかるからである。
独特なアンテナをボクはもっているので、それに向けて数年前からいつも種まきをはじめている。
だから、今回のカラスの本だって、そうしたアンテナから生まれてきているようなものである。
つぎは、「獣害」が社会的にも大きくクローズアップされてくることだろう。
写真家として何ができるか、ますます面白くなりそうな予感のする東京だった。

写真上から
1)東京は、銀座でのスナップ。
2)ニコンには、隠れた逸品がある。ワインも羊羹も実に美味しい、のだ。
3)カラスは、人間くさくてオモシロイ。








