2009-10-30 Fri  [ 哺乳類・野生動物 ]

激増中のニホンジカを撮影する

by gaku


月が大きくなってきた。
こういうときは、夜間撮影のチャンスなのだ。
月の光だけで、野生動物の動きを見ることができるからである。
こうして、ボクはいろんな野生動物の世界を、もう何十年と目撃してきている。
毎月やってくる月の満ち欠けは、野生動物の仕事必殺人としてはとても大切な時間なのである。

ニホンジカがいま大激増していて、食害などで全国的に社会問題化している。
増えているそのニホンジカも、自然界の報道写真家としてはキチンと撮影しておかなければプロとはいえない。
だから、昨夜も撮影に出かけてきた。

30年も前にカーショップで買ったサーチライトを望遠レンズの先端にとりつけて、夜間の林道をゆっくり車を走らせる。
この光だけで、撮影をするのである。
ストロボを使ってキチンと照明する写真も必要だが、ライトによる撮影もそれなりにいい写真となるからだ。
かなり大掛かりな撮影装置だが、これらはすべて自分で手づくりをして、ずっと使いつづけてきている。
だから、もっとも効率よく結果が出せることはすでに自分で立証済みだし、年季の入った装置ともなっている。



昨夜は、12頭のニホンジカに出会った。
姿は見えなくても、秋の交尾期に入っていることもあり、いたるところで雄ジカの啼き声も聞こえていた。
たしかに、たくさんのシカがいることを実感できる。
これほどまでに増えてしまうと、もう食害などは今後もやられ放題だろう。
ニホンジカの激増を予測できなかった研究者や行政にも責任はあろうが、もはや手遅れの感がある。
こうして増えすぎたニホンジカをどうするか、月の光を浴びながら、深夜の山野を徘徊すれば、ボクにはいろんな策もみえてくる。
大量捕獲装置のアイデアもあるが、行政などにやる気がないので、こうしたアイデアはえん魔様のお土産にするつもり。

フィールドをきちんとやっていれば、自然界はいろんなヒントを出してくれる。
そのヒントを自分のセンスでどう捉えるかが黙して語らない自然界と付き合う方法なのだが、センスもなくフィールドもやらないヒトには何も見えてこないのがこれまた自然界である。
昨夜は、そんなオイラを見て、月がやさしく笑ってくれた。



写真上:夜間に草を食べる姿もストロボを当てればこんなカンジ。
写真中:やはり、こうした写真のほうがシカのもつ不気味さがでて面白い。
写真下:年季のはいった撮影道具。カメラはフィルムからデジタルのニコンD3となって、仕事は飛躍的に新視点で行えるようになった。D3sなら、もっといい仕事ができる、かも?


2009-10-28 Wed  [ 旅・取材・人 ]

天然エノキタケ

by gaku


やっと、本日より自由時間がとれるようになったので、フィールドへ。
午前中は、南アルプス前衛の山地へ下調べ。
午後は、ツキノワグマの冬眠穴まで、車のバッテリーを運ぶ。
どちらも、一汗かいたので、健康には多分いい、と思う。

ツキノワグマの冬眠穴までは、林道から山地を歩いて片道30分。
道なき急斜面を歩くので、かなりきつく覚悟がいる。
作業を終えて再び林道まで降りてきたのが、午後の4時。
登る前に見つけてあった、天然エノキタケの収穫を急いですることにした。
いやはや、美味しそうなエノキタケである。
2kgほど、収穫できただろうか。
撮影をしたりしていたら、あっという間に時間切れで、終いには暗くなってしまった。



天然エノキタケは、きのこ鍋がいい。
とにかく、いい出汁がでる、からだ。
今夜は、すき焼きにした。
山国の楽しさといえば、こんなことぐらいだろう。
こういう楽しみのあることに、感謝したい。



2009-10-26 Mon  [ 旅・取材・人 ]

西へ東へ…

by gaku


先週の金曜日(22日)、フィールドで左目を突いてしまった。
それも、鋭い刺をもつネズミサシの葉で。
「シマッタ」っと思ったときには、もう遅く、火がでるくらいに目が熱く、その後も痛みが続く。
仕方がないので、友人の眼科院長に電話してから診察を受けた。

患者でいっつもごった返している病院だけど、待ち時間なしで治療をしてくれた。
「スッパっと、切れているぜ。傷口を開いておかないとあとで病むから、ちょっとつつくからなぁー」
そういって、鋭いピンセットのようなもので眼球をゴシゴシして、治療は終わり。
痛みはほとんど感じなくなり、あとは目薬を一日6回は注すこと、ということで目薬をもらって帰ってきた。
それにしても、ネズミサシにやられるとは、フィールドをなめてはいかんなぁーと反省することしきり。



その足で車を飛ばして岐阜羽島駅へ向かい、そこから新幹線に乗り、西宮市まで。
24日に講演があったので、前泊での西宮入りだった。
30年来の知人が、市役所内でけっこう出世していて、一滴も酒を飲めないのにその夜は付き合ってくれた。
明石タコや魚の美味しさもさることながら、仕上げの「ぶっかけうどん」がじつに美味しかった。
関西には、美味しいものがたくさんあるものだ、と改めて感激。
翌日の講演もなかなかに手ごたえを感じることができた。

24日は、その足で新幹線に乗り、深夜に信州まで帰宅。
翌日(25日)には、大町市の青年会議所で講演。
なんだか、けっこう多忙な3日間だったが、明日(26日)も長野県の小学校PTAで講演だ。
最近は、自然界から環境問題を知ろうとする動きが多くなってきていることを実感する。
一般の人は、ツキノワグマが減っていると思い込んでいるようだが、増えている理由を説明するだけでも私たちをとりまく自然環境がどんだけ変化してきているのかに気づき納得していく姿が面白い。
いかに、身近な自然を知らずに生きている人たちが多い、ことか。
その意味でも、ナマの現場を少しでも多く見て、実態を伝えていかなければならない、と思っている。



写真上:眼科医院の待合室にはオイラの写真が飾ってあった。
写真中:明石タコに白子ぽん酢、美味しかった。
写真下:この「ぶっかけうどん」は、感動的に美味。再度訪れたいお店。



2009-10-22 Thu  [ 哺乳類・野生動物 ]

若輩独身ギツネの新築物件

by gaku


過疎の村の通いなれた道路を走っていたら、山の斜面に巣穴が見えた。
「っえ! あんな場所に穴なんてなかったぞ」
そう思ったボクは、あの穴はキツネの巣で、最近掘ったものだとすぐに判断できた。

通いなれた道だったので、昔から穴があればとっくに目にとまっていたハズ。
2ヶ月ほどのあいだにできた巣穴であることには、まちがいない。

穴はまだ一つなので、これは今年になって独立してきた若いキツネの新築物件である。
乾燥した山砂の斜面だけに、キツネが巣穴にするには最高によろしい立地条件。
しかし、ボクには巣穴が丸見え。
キツネは、村人を騙すことはできても、オイラの目をごまかすことはできない。



斜面伝いにそっと上って行って確認をすれば、巣穴に真新しい足跡が続いていた。
確かに、入居者がいる物件だった。
周囲を丹念に観察するも、キツネ独特の尿臭が感じられない。
ということは、この物件には若い独身娘が独り住まいをしていることになる。
シメシメ、来年の春にはここで子育てをする可能性がある。



巣穴から外界を見渡せば、奥の集落に通じる細い道路が見える。
集落には、一人の猟師が暮らしているから、その道路をいつも通っていることになる。
猟師とは顔見知りだけれど、この巣穴のことは黙っておくことにしよう。
イノシシやシカを駆除している猟師だから、独身娘ギツネに関心はないだろうが、関心をもたせるような情報をいれないほうが今後の観察もやりやすいからだ。
猟師にキツネの関心がなくても、教えてしまえば、ついうっかり茶飲みの席で村人に知らしめることになる可能性がある。
そうすれば、「マナブさが見つけたキツネの巣」ということになり、村中の評判となってキツネの巣穴に視線が注がれてしまう。
そうなれば、キツネもいたたまれずに引っ越しをするだろう。

ボクは、この独身娘ギツネが今後巣穴をいくつも広げていき「肝っ玉かあさん」になっていけるのか、過疎で老人ばかりになってしまっている村で家族を養っていけるだけの食糧確保ができずに衰退していく、のかを観察してみたい。
だから、こういう巣穴は、ボクだけが静かに見守ればいいこと、だからである。

それにしても、一昔前のキツネは用心深かったから、このような丸見えの場所に巣穴を見せることはなかった。
現代人の自然に対する無関心さが、キツネをはじめとする野生動物たちの心理状態にも確実に影響を及ぼしていることだけは確か、である。

写真説明:
上左:矢印のところに巣穴がる。
上右:巣穴はこんな感じ、2つある四角い箱はミツバチ誘導巣箱。
中:昨夜歩いたばかりの足跡が穴の中に続いていた。
下:見晴らしは最高にいい物件。




2009-10-19 Mon  [ 旅・取材・人 ]

テンの糞

by gaku


昨日、林道脇にバイクを停めたら、なにげに見えたのが動物の糞。
よく見なければわからないものだったが、ボクの視線は確かにそれを捉えていた。
それも、テンのものだということが近づいて確認しなくても、ボクにはすぐに分かった。



先日の台風で折れた木があったらしく、それを道路わきに切って片付けてあった。
その木の上にわざわざ糞でマーキングをするような動物は、テンとキツネくらいしか、いない。
しかし、その糞の大きさと場所からして、テンであることは、瞬間的に分かる。



近づいてみれば、サルナシの種子が見える。
この時期、テンもキツネもサルナシをよく食べるから、糞にその種子が紛れ込んでいるのも理解できるというものだ。
いよいよ、テンが活動的になったのだから、秋も深まり冬が近づいてきている証拠。
オイラも、サルナシの実を一つつまんで、その甘さから、秋の確認をしてきた。

写真上から、
1)見過ごしてしまいそうなテンの糞(矢印)。
2)サルナシの種子が見える。
3)サルナシの実と秋のテン。


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