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2010-03-31 Wed [ 旅・取材・人 ]
雪山での滑落はメメント・モリ
by gaku

いまから、20年ほど前のことだった。
真冬の中央アルプスの標高1800mの地点で、ボクはクマタカの撮影をしていた。
斜度60度ほどの雪の急斜面を10mほど、降りることになった。
谷底までは優に300mはあった、だろうか。
スコップで足場をつくりながら、5歩ばかり降りたところで、ボクは一瞬のうちに滑ってしまった。
それは、あっというまのことであって、何が原因だったか分からないまま滑り落ちていった。
滑りながら、アンカーをとってあったロープが伸びきって止まることを念じていた。
「ロープよ切れるなよ、止まってくれ~~」
そう思うのが、精一杯だった。
ぐぐーーんと、40mのロープが伸びたところで、ボクは幸運にも止まった。
手放さなかったスコップで、新たに雪の斜面に足場を掘りながら、ボクはロープを使って生還をした。
そして、改めて谷底を見下ろして身震いをした。
これが、もし、アンカーをとってなかったら、間違いなくボクは死んでいたことであろう。
滑る途中で、頭が一瞬のうちに回転しながら下向きになるのが分かったから、そのまま滑落していけば、まず谷底の岩場に頭をぶつけていたにちがいない。
まさに、命拾いをしたのだった。
自然を相手にするには、細心の注意を払わなければならない。
いつもそう思っていたから、このときはアンカーロープをとったまでだ。
だから、これまでいつも大抵は現場で判断をして、最善の確保策だけはやってきて今日に至っている。
自然はそれだけ、油断をしてはならない、からである。
その中央アルプスで、昨日は2人が遭難した。
ザイルのアンカーがとってなかったのか、滑落である。
たぶん、それは一瞬の出来事だったにちがいない。
滑落経験者としては、予期などできないことは分かっているので、事故は一瞬だったのだろう。
遭難者にはお気の毒だが、ご冥福を祈るしかない。
昨日の稜線は強風で、ヘリコプターも近づけなかったらしい。
そして、今朝になってヘリコプターが遭難者を乗せて近所のグラウンドへ下りてきた。
朝になって強風が止んだから、ヘリコも飛べたのだろう。
そのあと、中央アルプスの稜線はどんどん雲が重なり、夕方には視界がきかないほどに天候が崩れた。
当然ヘリコプターも飛べない状況、となった。
山麓には、冷たい雨が降りはじめた。
こうしたニュースを聞くたびに、地元に住んでいる者としては、やはり自然は絶対にナメてはならないところだと自分自身に言い聞かせながら教訓にするしかない。
写真:里にはスイセンが咲き春が訪れているが、アルプスの稜線はまだまだ厳冬期である。こんなにいい天気なのに、ヘリコプターも飛べないのだ。
2010-03-30 Tue [ 哺乳類・野生動物 ]
獣害を考える 10 イノシシに連敗中…
by gaku

今年もまた、イノシシに負けた。
何に負けたかといえば、タケノコの初堀り競争に、である。
これで、6戦全敗中。
3月5日に、イノシシは早々とタケノコを掘っていった。
まだ、地上に頭を出してないタケノコを見事に掘っていったのである。
それも、たった7cmの土中のタケノコを、である。
まさに、初物中のハツモノ。
オイラは、今年こそイノシシに負けまいと思っていたが、土中のタケノコだけは見つけることができない。
それを、イノシシは難なく探り当てて、これ見よがしにタケノコの皮だけを現場に捨ててあった。
「やられた」「悔しい」、と思った。
10年ほど前のイノシシは、地上にタケノコが顔を出すまでは掘らなかった。
それが、少しずつ賢くなっていき、いまでは土中のタケノコをちゃんと見つけて掘っていくからだ。
近年のイノシシは、かなり「学習」を重ねてきているらしい。
このため、竹林にラジオを鳴らして、無人撮影カメラを設置すれば、少しはイノシシも敬遠することが分かった。
なので、初物競争には負けっぱなしだったが、いずれタケノコはオイラの口にも入ることになる。
でも、初物挑戦は6年も戦っているのに、いつもイノシシに負けている。

そこで、今年は「案山子」の実験をしてみたのである。
案山子とは、「かがし」のことであり、漢字に変えれば「嗅がし」なのである。
鼻のいいイノシシは、ニオイで攻めればなんとかなる、そう昔から人間は信じて戦ってきた歴史がある。
だから、あちらこちらに「案山子」が立てられていた、のである。
しかし、案山子は立てっぱなしではいけないのだ。
衣服を3日置きくらいに着せ替えながら立てる位置も日替わりにして、ニオイをどんどん変えていかなければならない。
そうすれば、鼻のいいイノシシも学習能力をかく乱されて警戒をするからである。
さらに今年は、ナイスアイデアも思いついた。
イノシシの生皮を竹林に吊るして、同属のニオイを出してみれば反応するに違いない、と。
人間だって、人間の死体に出会うことは忌避するように、イノシシも同属には遭いたくないだろう、と考えたからだ。
しかし、これとて効果は五分五分だった。
今年は、カメラを同時セットしなかったから、イノシシには同属のニオイといえども無視されたのかもしれない。
なので、こんどはよりニオイが出るように、イノシシの毛皮を電気ヒーターで蒸し焼きにしてみようと思っている。
その装置づくりが間に合わないうちに、タケノコの初物が出てきてしまったのだ。
だから、6敗目を喫してしまった、というワケ。

今年も負けたのだから、まあ、仕方がない。
ここはゆっくり準備をして、新たなる作戦に出ることにしよう。
その作戦とは、「獅子脅し」と「体攻め」。
嗅がしでは鼻を攻め、獅子脅しでは耳を攻める。
そして、カメラのストロボは目を攻め、あとはBB弾を体に当てて触角攻めをする。
視聴覚嗅の四点攻めで同時進行すれば、イノシシだってすこしは警戒するにちがいない。
イノシシの図太い神経をどう攻めるか、いつかその鼻を明かしてみたいと思っている。
ここまでくれば、オイラも執念である。
写真:
1)案山子は「かがし=嗅がし」なのである。
2)オイラが戦っている竹林とイノシシの生皮。
3)わがアイデアの粋を集めた新兵器「ミニ電動ガン」は、センサーと連動してBB弾を秒15発も撃て1000発もカートリッジできるハイテク装置である。
2010-03-26 Fri [ 哺乳類・野生動物 ]
獣害を考える 9 「執念でニホンジカと戦う男」
by gaku

福井県敦賀市で、ギョッとする光景にであった。
畑をありあわせのものでぐるりと手づくりフェンスで巡らせていたからである。
獣害フェンスといえば、電気柵に代表されるように、ある程度シンプルにフェンシングされているものである。
それだけに、ここのフェンスは異様さを物語っていた。
あたかもそれは、チベットの奥地に見られるような宗教上の所作のようにも見えたからである。

すかさず車を止め、小雨の降るなかをさっそくフェンス研究にはいった。
竹、ロープ、ゴム紐、針金、イボ竹、鉄棒、空き缶、ペットボトル、アルミホイル、アルミシート、CD、布切れ、幟旗、プラスチック片、…
どれをとってみても、買ってきたものではなさそうだった。
すべてが、拾いものなどの廃物利用。
しかも、一点々々に丁寧な加工が施されていて、それなりに意味をもたせてあった。
風が吹けば微妙に音がでたり、揺れたり、光ったり…
耳のいいニホンジカや鼻のいいイノシシを相手にするには、やはり視聴覚嗅と、いろんな角度から攻めて獣害をはたらく彼らにストレスを与えなければならない。
そのところをうまく心得ていて、「くすぐって」いた、からである。
これなら、たしかにそれなりの効果もあるだろう、と思った。

こんなことをするのは、知恵も経験もあるお年よりの男の人にちがいない。
その人に会ってみたかったが、留守だった。
それにしても、景観的にはあまり感心できないフェンスである。
町づくり委員会なるものがあって、景観を論じる部会でもあれば必ずや問題になるのではないか、と思った。
いや、こういう風景をみても、何も感じない委員会もあるから、これでいいのかも知れない、とも思った。

しかし、それにしてもこの執念は見事だ。
次回は、この作業をやった人にどうしても会って話を聞きたいので、敦賀市まで再度出かけてみることにしよう。
写真:
1)国道のカーブを曲がると、いきなりこの光景が飛び込んできたのにはたまげた。
2)いやーそれにしても、これはスゴイ。
3)いろんなパーツをそれなりに工夫してあって、ボクには意味がわかるから、見ていて楽しくなった。
4)畑の中は、きれいな空間が広がっていて、それなりの効果をみせていた。
5)紐1本にしても、丁寧に加工している作業は根気のいいお年よりにしかできない仕事にちがいない。
2010-03-24 Wed [ 料理・食 ]
信州蕎麦の穴場を探す…
by gaku
「伊那市の○○商店のとなりにある○○蕎麦屋だけど、意外に美味しいんだよなぁー
常連の客もいるようだけど、昼どきに行くと、丼物食べている人が多いよ
客も、店も、あの蕎麦の美味しさに気づいていないのではないのかなぁー
美味しいからといって、あまり有名にさせてもいけないから、俺たちの穴場として内緒にしておいたほうがいいぜぇー あの店は、
gakuさも、いちど、行ってみるがいい… 」
仲間内といっても数名の食い道楽で割烹などやっている食のプロたちが、数年前からこのようなことを申していた。
それを思い出したので、本日ちょうど店の前を通りかかったものだから立ち寄ってみた。
もちろん、「もり蕎麦」を食べてみればどんなものかが分かるので、躊躇無く注文。
いや、これが美味しいのなんのって!!
蕎麦に味があって甘くて、打ち加減とコシ加減、いきなりオイラのベスト3に入ってしまった。
そのくらい美味しかった、のである。

値段も、1枚が500円。
量も、なかなかに多い。
2枚も食べれば、動けなくなるほどに腹一杯。
ときどき、このような穴場が見つかるものだが、これはほんとうにうれしくなってしまう。
ボクも、蕎麦だけはたくさん食べてきているが、確かに絶品といえるものだった。
無愛想で暗いお店だったけれど、店主も自分の打っている蕎麦がどんなものなのかに気づいていないのではないか、と思ってしまった。
メニューを見たら、お酒も安かったし、冬場は「ふぐ」もやっているようなので魚にも自信があるお店なのかもしれない。
静かに、そっと開拓してみよう、そういうお店だった。
写真:
1)蕎麦が踊っているといったカンジで、文句なく美味しかった。
2)このメニューが、うれしくなってしまう。
2010-03-23 Tue [ 旅・取材・人 ]
アライグマとハクビシンの密かなる潜行
by gaku

小浜市から敦賀市は、車だと1時間もかからないほどの距離。
しかし、これだけの距離を1日がかりで移動した。
それだけ、ここでは密度濃い仕事ができたということである。
そして、福井市へ向かおうとしたが時間切れで鯖江に泊まることになった。
翌朝には、ここから大きく山側に向けて進路をとり、池田町から勝山市へと向かった。
ここで、あとは富山まで高速道路を走り、高山市を経て上高地から信州へ入って帰宅した。
北陸では、イノシシがひたひたと北上し、そのあとをニホンジカが追っかけているのがよくわかった。
とにかく、猛烈な勢いで、彼らは増加しつづけている、と思った。
そう考えながら現場をみていくと、思いがけずアライグマがいることにも気づいた。
アライグマ捕獲檻設置の看板が目についたからである。
どうやらこれは、深刻な事態を迎えているようである。

また、池田町では、ハクビシンの幼獣が車で撥ねられた現場にもであった。
こんなところにも、ハクビシンがしっかり生息しているということは、交通事故に遭うハクビシンがいるかぎり経験的に周辺をみても、数百頭の生息数があるものと感じた。
アライグマにしても、ハクビシンにしても、このようにサインが出ているということは、かなりの生息数があるからである。
駆除するにも業者や行政だけでは、たぶん追いつかないのではないのかと感じた。
地道に捕獲することも必要だが、彼らだけを餌付けしておびき寄せながら効率よく捕獲する努力をしてもいいのではないのか、とも思った。
例えば、アライグマとハクビシンは木にもよく登るから、その習性を利用すれば、これまでとはちがった大胆発想で捕獲ができるからだ。
もっとも、捕獲業者にとっては、彼らがあまりにも効率よく捕獲されてしまって減少すれば業務にも差し支えるので、そこまで努力しなくてもいい、のかもしれない。
もっとも、ボクにとっては、日本海を背景にしたこのような地域でのアライグマなどの生息状況を写真に撮れたら面白い、と思う。
そのうちに、再度調査に出向きたい、と思っている。
写真:
1)アライグマの捕獲が進められていることが、この看板からでもよくわかった。
この捕獲檻だと、タヌキなどの混獲もありそうだ。
2)このハクビシンは、昨秋生まれた若い個体である。








