獣害を考える14 「素人には手に負えぬ野生動物」

2月、3月と、毎週のように講演が続く。
そのほとんどが、「獣害」に関することである。
それだけ全国で、野生動物たちの被害に困っているからだ。

動物学者でもなく、写真家のオイラに「獣害」対策を依頼してくるのだから面白い。
もっとも、写真家として日本の野生動物を撮影するには、それなりに動物たちのことを知っていないことにはできない。
しかもオイラの撮影方法は、動物たちの後追いではなくて彼らの前に立って待ち伏せるやり方である。
この方法でなければ、野生動物の裏をかくことはできないから独自な撮影ができるのである。そのためにオイラは、日本の野生動物の習性や行動を自分なりに研究してきている。

そこで、「獣害」対策だが、この撮影方法の真逆をやればいいのである。
とにかく撮影は、動物たちに嫌われない努力をすればよく、獣害対策ではいかに嫌われるようにするか、である。
そこまで考えていくと、もはや今日の獣害は素人さんには手に負えないところまできていると思う。
獣害対策のプロに任せるべきであって、それには農家などもお金が必要になってくるといった意識改革をしなければならないだろう。

都会のレストランなどでは、ドブネズミやゴキブリ対策で駆除業者と契約して初めて営業が成り立っている。
まさに、これと同じことがこれからの農業現場などでは求められるからだ。
そうオイラは講演でも説き、TPPも視野にいれながら自立していかなければならないだろう、と言っている。

ところが、補助金だけをアテにしてこれまできてしまっている人たちには、動物ごときに身銭を切るという意識にはなかなかなれないようだ。
猟友会に頼めばなんとかしてもらえると思っているみたいだが、猟友会員だって生活基盤となる別の仕事をもってボランティア的にやっているのだからそうカンタンには真剣になれない。

そうした猟友会でも、腕のいいハンターと悪いハンターがいるし、野生動物の行動を的確に読み判断できるハンターは腕もいいものである。
そのようなハンターは、NPO法人でも立ち上げて今後は「プロ集団」となっていくことだろう。
そのうえで、地域全体の獣害対策を請け負うようなところにまで、時代はすでにきていると思う。
でなければ、日本の獣害はこれからますます悲惨な状況に向かっていくことだろう。
そして、野生動物の数が多いのか少ないのかを的確に判断して、営農現場周辺からは確実に数を「減らす」方向にいかなければ立ちゆかなくなる。

ということで、明日からオイラは四国、九州へと向かう。
それぞれの地域の自治体から獣害対策の相談を受けているからだ。
現場をみて、的確に判断して、地元の人たちにアドバイスをしてくるつもりだ。

写真:
1)数千万円の補助金を得て獣害フェンスをつくっても、必ず侵入してくる野生動物たちはいる。
2)電波発信機を首に装着されて行動追跡されるサルもいるが、獣害対策にはすぐに役立っていないことも視野にいれるべきだろう。
3)度重なるツキノワグマ被害を受けて、ミツバチ箱を二階にあげることを学習をした養蜂家。
4)「わな猟」が緩和されそうだが、素人の参入が「錯誤捕獲」をまねいて悲惨な事故も起きることだろう。
5)野生のニホンジカを畜産現場でも増やしていることに気づかない人は案外多いことだろう。

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獣害を考える14 「素人には手に負えぬ野生動物」 への1件のコメント

  1. uz より:

    そうですね、こちらもそういった観点から獣害のspecialistsとしての軍団を立ち上げようという動きが、あります。しかし解体施設の運営やらなんやらかんやらでなかなか、、、といったところです。実際、みんな生活=仕事があるから動きはとりにくい。それ(獣害対策)が仕事となればいいんですがね。