獣害を考える 15 「道路を走ってわかる外来動物」

秋田県と山形県境を車で走っていて、妙な道路標識にであった。
タヌキのようで、尻尾に縞々がある。
この縞々の特徴は、「アライグマ」なのではないか?
でなければ、わざわざ標識の尻尾に縞模様なんて描かないであろう。
それにしても、全国的にみられるタヌキのデザインを流用しただけの「手抜き」アライグマ標識である。
なんだか可笑しくなってしまったが、アライグマはどうやら増えていて交通事故も起きていることを物語っていた。
それにしても、こうしてアライグマの標識にであったのは全国でも初めてのことだった。

そういえば、この数日前に岩手県の宮古市に合併した旧川井村ではハクビシンの交通事故死体を目撃した。
その動かぬ証拠に、東北地方でも着実にハクビシンが増え続けていることを物語っていた。
長野県でも、1960年代には静岡県境の南部地域のみでハクビシンが見られたが、そのご40年ほどで全県的に分布拡大した。
それらは、新潟県方面にも侵入していったから、東北地方にもハクビシンは広範囲に定着していることだろう。
アライグマだって、今後は全国的に分布拡大して定着していくだろうから、このような道路標識も普通のこととなって全国に定着していくことが予想される。

こうした外来動物に対する対策も、いまの日本ではまったくなされていないから動物たちにとっては天国だろう。
そして、全国民が無関心でいるかぎり、今後はあらゆるところで直接間接的に私たちの生活や心理を脅かしつづけるにちがいない。
しかし、これも私たち人間の無関心が導いていることなので、今後は「関心」をもって対処していけばかなりの対策はできるのだが、行政にも自然科学者にも根本的発想転換のできるリーダーがいないかぎり無理なような気がしてならない。

ハクビシンとアライグマは、どちらも木登りのできる動物である。
この特徴に注目すれば、分布拡大の勢力図は自動撮影ロボットカメラの多用で解明しながら対策もできるハズだ。
地上1~2mに餌台を設ければ日本在来動物のキツネやタヌキを排除することができるし、効率よく定点観測していくことが可能だからである。
野生動物には生態的ニッチに生きるための特徴を必ず備えているのだから、そのようなところに注目さえすればアイデアも必ずでてくる。
あとは、それを実行するという発想と行動力にかかってくると思う。

写真上から:
1)左がアライグマ、右がタヌキ。デザインの元はどうやら同じものらしい。
2)岩手県宮古市で見たハクビシンの交通事故死体。
3)ハクビシンの後肢の裏には中央から踵にかけて滑り止めのウロコ状のスパイクがついている。この足の裏だから、どこにでも登ることができてしまう。

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獣害を考える 15 「道路を走ってわかる外来動物」 への6件のコメント

  1. はちべえ より:

    「田舎暮らしの本」や「現代農業」などの雑誌を見ていても、最近の獣害対策の特集には「アライグマ」「ハクビシン」への対策が必ずといってよいほど取り上げられていますね。
    実際の目撃数も増えてきて、犯人の正体がはっきりしてきたということだと思います。
    大阪河内長野方面のしいたけ栽培施設付近でも、わなや檻をしかけるとアライグマが良く入るようになったとのことです。

  2. そらとびねこ より:

    近所でハクビシンを目撃されたところは注意して見ているのですが、一向に出会いません。
    自宅前の畑で地主さんはしょっちゅう見かけるようですが。
    ところが、先日の夜中に自転車でお蕎麦屋さんから帰宅中、住宅街でつがいらしい狸と出会いました。私に気づくと一匹はすぐに近くの家の門の中に入ってしまいましたが、もう一匹は立ち止まって頭から背中にかけての毛を逆立てて、体を斜にして自転車に乗っている私を威嚇してきました。
    それから数日経って、やはり同じ場所で知人が親子連れの狸を見たそうです。
    線路の脇の側溝を数匹の狸が走っていくのを見た人もいます。
    ハクビシンに負けずに狸もがんばってるなあとちょっとホッとしました。
    実害は、ハクビシンが屋根裏で糞をしたり、狸がごみをあさることくらいでしょうか。

  3. nao より:

    こんにちは。
    ハクビシンが電線の上を走る姿を見たときには驚きましたが、足の裏がこうなっていたのですね。
    神奈川の箱根の山のふもとの住宅街ですが、裏山にタヌキが住み、夜はふくろうの声も聞こえます。小さな庭の畑には、ときたまサルがやってくるので、収穫間際のソラマメやとうもろこしはネットでぐるぐるまきにして守り、bb弾の鉄砲で追い払います。
    おととし、ネットで守ったトマトが毎晩やられることがあり、サルは暗くなると出ないし、サルには入れない穴しかなかったので、役所に聞いてみるとハクビシンだろうということ。捕獲檻を借りましたが、それきり出ませんでした(しかけたら出なくなることがあると言っていました)。相当いやなにおいでもついていたのでしょうか。
    果物や野菜の被害が結構あるようです。

  4. つわぶき姫 より:

    アライグマの標識はじめて見ました。罠はアライグマ、ハクビシン用なのですか。。。
    うちの畑に来るペアのタヌキのうち(つがいかどうかはまだわかりません。コドモが出てきてからはっきりします。)痛ましいことに無用心なタヌキの後ろ足が切断されていました。このあたりは空き家も多くなりつつありますが、鹿もイノシシも出てくるような森の奥ではありません。猫の脚が切断されるケースもあって、猫嫌いの人が罠を仕掛けていることもあるという猫の飼い主の話でした。ちなみにアライグマは見たことありませんが、ハクビシンは4年前に一度みかけたことがあります。この付近は鳥の被害が多いようです。

  5. gaku より:

    ■はちべえ さん
    そうですか、河内長野なら和歌山や奈良でも増えているのでしょうね、アライグマ。

    ■そらとびねこ さん
    いまは、タヌキもハクビシンもアライグマもどんどん都市部に侵入してきています。
    東京都内も、しっかり観察すればかなり見つかることでしょうね。

    ■nao さん
    >bb弾の鉄砲で追い払います。
    あはは、オモシロそうです。
    昨日は、庭のサルをbb弾で追い払いましたが、今朝は懲りずに大群でベランダまできてました。
    ハクビシンもアライグマも個体によっては嗜好度が違いますから、檻では複数の餌を工夫する必要がありますね。

    ■つわぶき姫 さん
    アライグマもハクビシンも、被害が出ていればそれぞれの地域で地道な観察を繰り返して対処していく必要がありますね。
    罠は、中型の箱罠ならばヌートリアまで応用できると思います。
    もちろん、ネコも入ってしまいますので、餌の工夫も必要になってくると思います。

  6. いち猟師 より:

    こんばんは。
    度々クドイようですが、森の動物日記でコメントした木に登ってるタヌキ、アライグマでも有りませんので悪しからず。
    そう言えば、あそこ辺りの平野部にはアライグマ居るらしいのですが、私の猟場の山岳地帯では見た事無いですね。
    タヌキ、アナグマ、ハクビシンは車での行き帰り、暗い時に道を走ってるのを良く見かけるのですが‥、それと宮崎さんの好きなテンも‥、まあ昼に見る事は有りませんがね(テンは一回見た)。
    しかしアライグマは山の高い所、苦手なんですかね?