特急「あずさ」ニホンジカと衝突する

日曜日は、横浜で講演会があった。
「間違いだらけの環境問題」の話しをしてきたのだが、台風12号の影響で行きも帰りもまさに綱渡りだった。
あらかじめ予定が決まっているときに、このような大きな自然現象が起きるといろんな判断力が求められるものだ。
講演に穴をあけてはならないので、前日に移動することにした。

しかし、普段は高速バスをつかって上京するのだが、大雨で高速道路が通行どめとなり運休。
まだ、JRが動いていたので、特急「あずさ」で上京すべき大雨の中を茅野駅まで急いだ。
なんとか乗ることができたが、ボクの乗ったあとからの「あずさ」はすべて運休。
まさに、滑り込みセーフで、上京することができた。
台風の進行と雨脚を読みながらの早めの判断が効いた結果となった。
(都内のホテルでは震度3の地震に遭って、慌てたけれど。)

帰路は、新宿から19時発の「あずさ」に乗った。
台風の影響もあったが、定刻に発車した。
ところが、山梨県の小淵沢付近で車内に警報ブザーが鳴って緊急停車した。
なんと、シカと衝突したらしいのだ。
ボクの乗っている車両は12両編成の1号車で最後尾。
シカと衝突だから、列車の前部だろうと思った。

シカは、「あずさ」の床下に巻き込まれているので、それを撤去してから発車するとのアナウンス。
これが、なかなかに撤去できなくて、20分、30分…経過、となる。
どうしても撤去できないらしく、電車は200mばかり前進をして再停止。
ここで、ようやく挟まっていた床下から外れたらしく、死んだシカは列車の最後尾まできていた。
それを、運転士と車掌たち4人がかりで移動させているのが見えた。
シカに脂がすごいらしく、「ひでえアブラだぁー」ってな会話も聞こえてくる。
やがて、線路脇に衝突したシカを移して、「あずさ」は発車。
なんと、51分遅れである。

講演では、ニホンジカやクマやイノシシ、サルなどの大型動物の増加の話しをちょうどしてきたばかりだった。
そして、増えた原因やその結果から野生動物の農業被害だけでなく車などとの衝突による人身事故の危険性まで視野にいれてやってきたのだ。
それが、まさか自分の乗っている特急列車で起きるとは、これまたタイムリーだった。
51分も遅れて、乗り継ぎなどをする乗客は気をもみ一刻も早く列車が動いて欲しいとハラハラしていたことだろう。
だが、ボクは内心よろこびながら発車までの顛末を見守っていたのだった。

特急列車などが、シカだけではなくツキノワグマと衝突したといったニュースも長野県にはある。
そのたびに列車を現場で停止させて、ブレーキなどの安全確認をしたり、動物の死体を撤去したりで乗務員も大変なことだろう。
ましては、その場で動物が死んでいればいいが、クマなどが大けがを負いながらも生きていたとすれば、乗務員の危険も伴う。
シカのときの作業を見ても、真っ暗なところで懐中電灯とゴム手袋だけでの対応だったので、「手負い熊」だったら51分の遅れではすまない、と思った。

野生動物も含めて、環境とはすべてがつながっており私たち人間とはいつも背中合わせなのである。
大地震、原発事故、台風…、自然環境理解にこれまで無関心できた現代人に、自然界がいろんな意味で強烈に試練を突きつけてきているように思えてならない。
「地球が大家さんで私たちは店子」であることに気づき、自然に保護されて私たちもはじめて生かされている。
そのことに、気づかされるできごとがここへきて多くなってきた。
これは、とてもいいこと、である。

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特急「あずさ」ニホンジカと衝突する への6件のコメント

  1. tuka より:

    帰省のとき石勝線を利用しますが、鹿と衝突することは何回かありました。
    記事にもありますが夜間線路に降りての点検作業は(暗くて窓からみえませんが)大変だと思っていました、
    でも熊が手負いの場合を想像すると、大変じゃ済まないですね。

  2. gaku より:

    ■tuka さん
    >熊が手負いの場合を想像すると、大変じゃ済まないですね。

    ほんとそうなんですよ、自然界では「想定外」はあり得ませんのであらゆることを想定して対処しなければなりません。
    今回は、12輌列車の前部から後部まで夜間の線路を懐中電灯1つで歩いて乗務員が移動してましたから、熊だとしたらヤバイなと思いました。

  3. oikawa より:

    通常だと運が悪い話の典型ですねW。

  4. gaku より:

    ■oikawa  さん
    何事も、数が多くなれば事故率も上がる。

  5. ぺろ より:

    初めて書き込みいたします。
    ハプニングはあったようですが、ご無事に帰られたのですね。
    私は国内で鹿とのニアミスはありませんが、海外で運転していたときに目の前を横切られ、ハンドルで逃げたものの、車の左側で鹿と接触した経験があります。なぜか鹿は目の前を横切る習性があるような気がします。
    鉄道会社は鹿対策にやっきなようですね。ライオンの糞を鹿対策として撒いていると読んだ記憶があります。
    日曜日はサインをありがとうございました。

  6. gaku より:

    ■ぺろ さん
    今朝の地元紙にも、シカと電車が衝突して遅れと運休が載ってました。
    交通事故だけは、自分自身が命取りにもなりかねないので、ほんとうに注意が必要です。
    そいういうボクも、昨年は、5m前を猛スピードで雄ジカ3頭に横切られ焦ったことありました。
    イノシシも、危険です。
    新刊がどんどん出てますので、また、サインをいたしますからどうぞ!!