求めて…


交通事故死したキツネの現場を、3日後の同じ時間帯に偶然通りかかった。
なんと、
現場から親ギツネらしき個体が車のライトに照らされて一瞬翻って、闇に消えた。
その姿を見て、
『これは、相棒が探しにきていた…』
っと、ボクは思った。
今年生まれの若いキツネだと思い込んでいたが、胴体に黒い刺毛のある写真をみてあれは若い雌であることが、実はボクの心にずうっとひっかかっていた。
今年生まれではなくて、昨年生まれの「若妻」だったのである
そこで、事故現場に今夜来ていたのは連れ合いだったのだ、と考えればすべてが理解できる。
5メートルほどのところでヘッドライトに翻る姿は、立派な壮年のキツネだった。
ガッシリとした体躯に、立派な大きな尾。顔も、雌のキツネよりごつい。
これは、どうみても雄ギツネの特徴をすべてに示していた。
こうした瞬間的な目撃パターンが網膜に現像されて、ボクはあらゆることを想像してみた。
交通事故現場で、いきなり相棒が動かなくなってしまった。
雄ギツネは、連れ合いが「死んだ」という事実を受け止められずに、たぶん、現場に3日間通いつめてきていたのであろう。
連れ合いはボクが草むらに片付けたが、これまで一緒に過ごしてきた「体臭」をそこで放っているから、屍はまちがいなく連れ合いなのだ。
しかし、3日もたてば、同時に「腐臭」も強くなる。
それでも雄は諦められず、現場に通い続けている。
タヌキでも、このような状況下では1ヶ月以上にわたって周囲をうろつくということが観察されている。
キツネもタヌキと同じくイヌ科の動物だから、そのくらいのことをしていてもおかしくない。
その裏づけをとるべく、この交通事故現場は、これからしばらくマークしてみることにしよう。
長野県伊那谷にて。
GX8

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求めて… への4件のコメント

  1. 小坊主 より:

    情愛が、深いですね。
    負けそうです。

  2. masa より:

    ちょっと言葉をなくしてしまう、
    インプレッションとエクスプレッションです。
    まだ続きのできごとがありそうですね。

  3. kaba より:

     こんにちは GAKU先生  
    その死んだキツネの体はまだ 落ちている肉として手がつけられていないんですか?  その連れ合いが守っているんでしょうか? 
    家族の死体から 落ちている肉に 意識は変るんでしょうか? 

  4. めがね屋K より:

    物語のように目に浮かぶ情景です。
    胸が痛くなりました。
    昔飼っていた兄弟猫の一匹が事故で死んだ時、
    残された方は、それまで鳴いた声など聞いたことがないほど穏やかな猫だったのに、狂ったように探し、鳴き求め、数ヵ月後亡くなってしまいました。
    動物にもこんな情があるのですね。