交通事故直後のキツネの死体を見たのが、9月12日。
4日後の、16日にその近所に雄ギツネがやってきているのを目撃した。
そこで、道路脇の草むらへ片付けた死体のその後が気になったので、17日に見に行ってきた。
なんと、
キツネの死体は3メートルほど移動していた。
そして、跡形もないくらいに腐敗が進んで、骨だけになっていた。
3メートルの移動は、雄ギツネが運んだと思われる。
しかし、気温の高さで、思いのほか腐敗が進んだもようである。
そして、ウジがあっという間に食い尽くしてしまったのだった。
その分解スピードの速さにボクも驚いたが、雄ギツネはもっと悲しんだにちがいない。
膨大な数のウジたちの猛烈な食欲に、跡形もなくどんどん体形を崩していく。
なすすべもなく、雄ギツネは、妻の死骸を見守るしかなかったのだろう。
哺乳動物は、死んでしまえば妊娠期間と同じ時間で土に還っていく。
これは、季節に関係なく、そのように自然界にプログラムされている生命なのだ。
死んだキツネの頭蓋骨や指先には、まだ、かすかに皮などもついていた。
だが、あと56日後にはまちがいなくここに、キツネが死んでいたという形跡はない。
それが、悠久なる自然界に生かされている生命…なのだ。
長野県伊那谷にて。
GX8
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あの「美しき死体」も、見る影もありませんね。
「九相詩絵巻」(1人の美しい女性の死体が腐敗し、骨になるさまを九つの状態に分けて克明に描いた絵。鎌倉時代に描かれたとされている)のスピーディー・バージョンといったところでしょうか。九相は「九想」とも書き、その絵には詩がつけられましたが、雄ギツネは何を想ったでしょうか…。
その絵を見て思ったのですが、死体が新鮮なうちに定点カメラを置いて、死体が変化していく様子を写してみたら、面白いかもしれませんね。
アルファさん、
「死体が変化していく様子を写した」のが、宮崎学著『死』という写真集です。私はこの本を見た時、ビックリしました。今は、本棚の大事な本の一冊。
灰色海豹さん、ありがとうございます。
ああ、もうやっておられたのですね。さすがです。
「死」はまだ、持っていないのです(すみません)。今も、手に入るかな…。
いろいろと、本当に、いろいろと考えさせられる、
この写真 と gaku先生の言葉。
計算して入れられているであろう、
走り抜けていく自動車のスピード感。
それぞれの時間は流れていきますね。
私は、宮崎学著『死』の写真を使った絵はがきを
自分が持ち歩くノートのしおりがわりに使っています。
アルファさん、トップページ「ギャラリー」に入ると、「死」の片鱗が見られます。
絵巻、ご紹介、ありがとうございました。
小坊主さん、ありがとうございます。ギャラリー見ました。
動物に食べられている様子なんかは、九相~に通じるものがありました。しかし、骨さえも跡形も無く消えゆくというところまで捉えてるところは、gaku先生の現代の視線なんですね…。