ヤマシギ

いま、九州を旅している。
12月7日に佐賀県で講演があり、そのあとずっと九州一円を気ままに回っているのだった。

その旅の途中で、長崎県の道の駅に立ち寄った。
夜間の駐車場へ車を入れると、ヘッドライトの向こうには遊園地のような芝生が見えた。
そのライトの中に、なんと地シギが飛び込んできたではないか。
それも、2羽。
かなり大きいから、オオジシギかヤマシギだと思った。
距離にして、30mくらい。
逃げない。
ライトの明かりのなかでも、さかんに土中に嘴をつっこんで何やら採餌中だった。

双眼鏡でそのシギを捉えると、頭頂には黒くて大きな横斑が3つ見える。
まちがいなく、「ヤマシギ」だ。
こんなところで、ヤマシギに出会うとは思わなかった。
ヤマシギといえば、夏の北海道の原野上空を夕方になると「チキー チキー … 」と鳴きながら延々と飛翔を繰り返しているのを思い出す。
なので、夜間にこのように地上におりて採餌している姿を目撃するのは非常に珍しいことだ。

ヤマシギたちはたぶん、渡りの最中だったのであろう。
北海道ないしはシベリア地方から南下してきて、いまは長崎県にいるのだ。
このあと、大きく右旋回をして中国大陸の南部へ渡っていくのかもしれない。
あるいは、沖縄諸島を南下しながら東南アジア方面に渡って越冬するのかもしれない。

いずれにしても、夜行性のヤマシギだから、その実態はなかなかつかめない。
そんなヤマシギを、こうして「道の駅」で目撃できてしまったことのほうが稀有なことだった。
いや、ふだんから、このようにして夜間になれば各地の畑や湿地で採餌しながら日本列島を南下していっているのだろう。
そんな偶然に、オイラは今回ちょうど出会っただけのことかもしれない。
車のヘッドライトに照らされても驚いて逃げることもなかったから、夜間のこうした観察を続けてみれば案外ヤマシギに出会えるのかもしれない。


翌朝になって、ヤマシギの行動していたあたりを注意してみたら、土のなかに嘴を突っ込んだ跡がいくつも見られた。
割り箸を突っ込んだくらいの穴なので、ヤマシギのことを知らない人にはまったく「穴」の意味もわからないだろう。
そういうオイラも、夜間にヤマシギのこのような行動を観察しなかったら、嘴の「穴」をみても何の不思議もわかなかったと思う。
旅先で、また一つ有意義な観察ができてうれしく思っている。
旅は、これだからおもしろい。

写真:上から
1)2羽のヤマシギが「道の駅」の芝生で餌探しをしていた。
2)芝生は、遊園地のようになっていた。
3)こんな穴が随所に見られた。

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ヤマシギ への2件のコメント

  1. てっちゃん より:

    こちらでは、10月の中旬頃まで見かけましたが、今時期九州にまで南下しているんですね~

    僕も今年、夜中に林道を走っていて、何度かヤマシギを見ましたが、その気になって、夜中ライト照らして探せば、結構見られるのかも知れませんね?

    • gaku より:

      ヤマシギは、やはり無人撮影ロボットカメラだとかなり成果があがりそうですね。
      直接観察も大事ですが、無人撮影によるデータ録りに効果がありそう。
      でも、偶然でしたが、いい出会いでした。