毒草を食べるイマドキのニホンジカ

毒草といえば、身近なところでは「スイセン」があげられる。
スイセンの可憐な花のファンは多いが、スイセンには毒があることを知らない人もけっこう多いものだ。
スイセンの葉はニラに似ていることから、餃子の具にして食べてしまったなんて話しもニュースになったりする。
誤食すれば猛烈な嘔吐をするし、ときには死亡することもある。
スイセンは、あまりにも身近だから、全国では毎年のようにこうした事故がニュースになったりしている。

そのスイセンだが、南アルプス山麓のある村では、ニホンジカが食べるようになった。
これまで、スイセンをシカが食べることは無かったのに、ここ5年ほどの間にある地域に生息するシカたちが限定でスイセンの葉を食べてしまうのだ。
いったいどうなっているのだろうと不思議に思っていたら、福井県の若狭湾に面した寒村でもシカがスイセンを食べていた。

で、もう一つの毒草に「タケニグサ」がある。
これも、自然状態では動物たちが食べないとされてきているが、なんと南アルプス山麓の一部ではニホンジカがこぞってタケニグサを食べていたのである。
スイセンもタケニグサもアルカロイド系の毒があるのに、シカが解毒力を身につけたのか不思議だ。
そういえば、南アルプスの山梨県側では「トリカブト」を食べるシカもいる、という。

まだ、「ハシリドコロ」と「バイケソウ」はシカたちも食べていないが、これらも時間の問題かもしれない。

どうやら、時代とともにニホンジカも激増してくると、毒草を食べても平気な個体も出現してくるのには興味がある。
これらの毒草を食べたシカの肉に毒素があるのかは未調査だが、確実に変化してきているシカたちの食事にはこれからも注意深く見守っていきたいと思っている。

写真:
1)中央アルプスとスイセン。
2)ニホンジカによるスイセンの食痕。
3)悪食になりつつあるシカ。
4)シカによるタケニグサの食痕。
5)左がハシリドコロ。右がバイケソウ。

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毒草を食べるイマドキのニホンジカ への14件のコメント

  1. OGLALA より:

    あ、スイセンはうち(兵庫県但東町)のも食べてますわ。
    むしろスズタケやメダケよりも好んでいる様で,徹底的です。

    ナンテンには毒があるっていうんで少しずつしか食べないヒヨドリとかとは、また別の毒の制し方なんですかね。。。

    スイセンは目に付きやすいですが、他の毒草についても注意してみます。
    いつも有難うございます。

  2. 野人 より:

    タケニ草、山を地拵え(ぢごしらえ)して植栽し明るくなった山肌、林道沿いなんかに多いイメージがあり、下草刈りには、現場の職人さんは大きくなると硬くなるし、草汁がつくと肌がかぶれるという人もいて、嫌われ者の草でした。当時はあまり気にはしていませんでしたが、四徳の山ではタケニ草を鹿が十数年ほど前から食べていました、もしかしたらもっと前からかも知れませんん。
    木を伐ると餌がなくなり云々という人もいますが、地拵えをした山は切り倒した木を等間隔で棚にし積んで放置しています、その倒木にアリや甲虫類がつき熊がひっくり返し食べる、良い餌場になっていました。
    伐採によりタケニ草も勢力を広げ、鹿も喜んで食べ、毒によりパワーアップし鹿も勢力を広げるのかも?

    イマドキの野生動物 購入しました!
    お気に入りの写真は、中央アの稜線を歩く昔のカモシカ、菅の台を歩くイマドキのカモシカ。
    見開きで写真を見ていると過去から未来にタイムトンネルを抜けたカモシカのように見えます。
    今日からは我が娘が読みます。

    • gaku より:

      その、四徳を越えた伊那山脈でのタケニグサ食なんですよ。
      あの辺のシカは、毒に強いのかも。。。
      「イマドキの野生動物」お買い上げありがとうございます。
      娘さんの感想もぜひお聞きしたいもの、です。

  3. もっち より:

    確かに山梨県側でのトリカブトの食痕を確認しております。
    特にこちらは、長野県側よりシカによる食害が深刻で、お花畑にはシカが唯一?食べないマルバタケブキが繁茂しています。

    gaku先生の著書でも書かれているように、毒と薬は紙一重ですので、そのへんの事が関係しているのかなぁ?

  4. BiotopeGarden より:

    北岳のライチョウ調査(僕は植物担当ですが)に行ったとき、バイケソウを試食した後がいくつかありました。
    バイケソウを食べるとは信じられなかったので驚いて、同行していた動物屋に確認したところ、少しなら食べてるみたいでたまに見かけると言ってました。

    北アルプスでも白馬大池あたりだったかで、コバイケイソウをチョイとかじったのを見た記憶があります。

    佐久パラダでは、シカ避けにスイセンとチューリップを植えていましたが、去年チューリップは地上部を徹底的にかじられてしまいました。
    が、スイセンの方は無事でした。

    • gaku より:

      北岳では、バイケソウの試食もはじまりましたか?
      もう少し、時間を追って見ていきたいものです、ね。
      「イマドキの野生動物」お買い上げありがとうございました。

  5. BiotopeGarden より:

    そうそう、僕もイマドキの野生動物を購入しました。

    • gaku より:

      お買い上げありがとうございます。
      時代へのヒントがいっぱいつまってますので、しっかり読み解いてください。

  6. そらとびねこ より:

    近所のお蕎麦屋さんで水仙の毒について話したら驚いていました。
    が、以前保健所の人に、「アジサイの葉っぱをお料理の飾りにしては、いけない」と言われたとのこと。
    アジサイが毒だったということにも驚きました。

    • gaku より:

      長野県では、実は蕎麦屋が福寿草を「天ぷら」にしてしまったという実例があります。
      アジサイの葉も、料理の飾りに出しておいたのを青年が食べてしまったと記憶しております。
      このときも、料理人がアジサイの毒を知らなかったみたい、です。

  7. oikawa より:

    スイセンの葉と言うのは、やはり時期的に食い物が少ないから?なのでしょうか。
    時期が違う、ヒガンバナの葉は、食べているのでしょうか?
    僕はふぐは食べた事がありませんが、鹿にとってふぐのようなイメージなのでしょうかW。
    いずれにせよ今まで食べなかった毒草を食べるようになった、経緯はとても興味深いですね。

    • gaku より:

      >今まで食べなかった毒草を食べるようになった、経緯はとても興味深いですね。
      これだから、自然はオモシロイのですよ。
      トリカブト食ったシカの肉なんかにも、興味ありますね!