「野糞」で知る環境エコロジー

コーヒースプーン一杯分の土(表土)には、一億匹の微生物がいると言われている。
そんなことを聞いて、オイラは「野糞」に興味をもった。
それまでの野糞はただ地上にやっているだけだったが、表土を10cmくらい掘ってそこに用を足してから再び土をかけて埋めてみた。
そして、24時間経ってから掘り返してみたのである。
まあ、これが他人のものだったら腹が立つかもしれないが自分のものなので掘り返しも許せる…。

で、驚いたことに24時間でニオイもカタチもなくなっていたことだった。
この発見には、ほんとうに驚いた。
土中には糞を食って分解してしまう何かがいる、という凄さを感じた。

以来、土中の微生物の存在が知りたくて野糞の実験をずうーっと30年以上もやり続けている。
そこで、気づいたことは野山に新緑が芽吹き紅葉するまでの期間ならほぼまちがいなく24時間で糞が分解されてしまう、ということだった。
そして、冬場になると微生物の活動が鈍り、環境によっては1週間~10日の時間がかかることも分かった。
こうした発見から、健康な表土のあるところなら人間ひとりの糞は2m四方の土があれば年間を通して分解ができる、と気づいた。
それには、スコップで掘りながらしっかりローテーションをくりかえしていくのだが、これが楽しみでもあった。

このあと、杉林、檜林、雑木林、照葉樹林、竹林、田んぼの土、休耕地…etc。
いろいろ実験をしてみたが、それぞれの環境に応じて分解速度がちがっていたのにもひとつの発見があった。
結論からいえば、雑木林や休耕地がもっとも土中微生物が多いとわかったからだ。
まあ、ここまで書けばあとはそれぞれに実験してみるといいのだが、自分の糞尿を水洗トイレだけで処理するという選択肢しかないというのは自然界のもつ力を信じられない気の毒な生き方だと思う。
実際に野糞をするには人目が気になるが、ベニヤ板などで1m四方の軽い遮蔽物をつくってそれを移動させていくだけでけっこうかなりカンタンに実行できるのではないか…。
しかも、最終仕上げにトイレットペーパーを使わずに「インド式」という発想で水をペットボトルに入れて処理すればかなりエコでもある。その作法としては、まずは指先を水で濡らしてからすること。これだと、ほんとうにラクになるから不思議、だ。
そして、「痔主」対策にもなるからこんなに健康的なことはない。
あとはタオルなどで水分を拭き取ればよろしい。

まあ、地球が大家さんで店子である人間が生きる基本はこれだが、人口が一極集中型となって人が集まりすぎると「食う」「寝る」「野糞」にもいろんな角度からの発想転換が求められるということである。
環境を語るには難しいことより、このように「野糞」からでもカンタンにエコロジーを知ることができるからだ。

そういえば、
「くう・ねる・のぐそ」の著者である伊沢正名氏はオイラが若い頃から影響をうけた野糞の師匠である。
また、拙著「森の365日」は四季七十二候をテーマにしながらフクロウの生態を追いしかも野糞にまで言及しているので参考にされるとよい。この拙著は高校生の課題図書にもなり、出版部数が多いので密林にいけば1円で入手できる。

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