カワセミを誘導営巣させるための「人工巣」を、甲府盆地のある川岸で発見した。
見れば、10年以上もの年月が経っているような古いもの。
人間にも、カワセミにも、打ち捨てられた状態だった。
このような試みは、ある時期に、全国的に行われたことがあったらしい。
もちろん、「自然に優しく」という名目だったが、実際には建設業者に優しかったのである。
アイデアは面白いが、カワセミだけではなく、土壌などの生態が分かっていないと、設置しても管理し続けないかぎりは成果をみないだろう。
設置した数年間はたとえ営巣しても、その後が続かないのは、コンクリート裏側の土を新しいものに入れ替えていかなければならないからである。
写真をみてもわかるが、草が生えて土壌がもろくなると、土中に雑菌が沸くから、カワセミは敬遠するからだ。
すなわちカワセミは、大雨などで増水して、水辺に新しく切り岸ができたところに次々と営巣していく習性をもっている。
ということは、土砂崩れがあることを前提として、カワセミやヤマセミが営巣するように、自然界が彼らの存在をプログラムしているからである。
せっかく大枚をはたいてできた「誘導巣」なのだから、コンクリート下の草地の草刈りの管理と裏側の客土などを繰り返して観察していくことも必要なことなのである。
この施設を提案した企画者もいたことだろうが、自然界を見届ける複眼発想がまだまだ足りなかったのではないかと、ボクは思う。
山梨県甲府市にて。
D200 SIGMA17-70mmマクロ
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カワセミに限らず、一般的な巣箱でもシーズンオフには清掃などメンテナンスが必要なのでちょっと考えればわかりそうなものですけどね。
自治体もこうした事業?を継続するのはなかなか難しいみたいですね。
年度ごとの予算で作るだけならいいのですが、
今でこそ外国産にとって変わってしまいましたが、甲府はかって日本有数の水晶の産地で、その影響で市内には宝石研磨、加工関係の会社がたくさんあります。そこで水辺の宝石と言われる翡翠(カワセミ)は甲府市の鳥になっています。
ちょっと調べましたところカワセミの人口巣の設置は平成6年頃に国土交通省が設置したようです。
国土交通省の委託により、やまなし野鳥の会が設置から8年間追跡調査を行いました。
gaku先生のおっしゃるとおり最初の5年くらいは利用していた(途中放棄も多い)がやはり草などが繁茂してつかわれなくなってきたということが報告されていました。また、土の入れ替えの必要性も指摘されていました。
あと、近くに天然の切り岸があるところでは、人口巣はまったく無視(当たり前か)との報
告もありました。
その後の追跡調査は資料が見つかりませんので、多分行われていない・・・?と思われます。
近いうち僕も見て来てみたいと思っています。