間違いだらけの自然観 4  「ツキノワグマは増えている」


今年も再びツキノワグマのニュースが飛び交い始めた。
人身事故もあるから、マスコミも過敏になり、それが原因で一般社会人までもが過剰反応をしてしまっている。
だから、山野でちょっとだけ目撃しても、すぐに通報するから、それがまたニュースになってしまうという悪循環を繰り返している。
ツキノワグマをはじめとする野生動物は、本来ひっそりと生活しているのが普通だ。
ペットではないのだから、ツキノワグマだって私たち人間に痕跡を見せないことのほうが圧倒的に多い、のである。
それなのに、目撃例があるということは、確実に増えてきているからだ。
1970年代前半に、「生きた化石」「幻の動物」などといわれていたニホンカモシカが爆発的に増加してきた時代を考えてもらいたい。
あの頃と、現在のツキノワグマの動きが実によく似ているからだ。
ニホンカモシカが急増したのは、国策として行われた国有林の偕伐事業だった。
広大な面積の樹木を偕伐したことにより、実生が大発生して、それを餌にしたニホンカモシカが激増したのである。
あれから、30数年。
伐採地に植林された樹木がどうなっているかを考えてみれば、いいことだろう。
カモシカやイノシシ、ニホンジカは、森の地表面を利用しながら爆発的に増えて、今日の姿となっている。
ツキノワグマとニホンザルは、地表面から樹上まで、森を立体的に利用する動物だ。
いわゆる、樹木の成長を待っていたツキノワグマが、カモシカより遅れて激増期にさしかかってきたのだと思えばいいのである。
その証拠に、中央アルプスのボクのフィールドのニホンザルは、偕伐時期の40年前にくらべて3~4倍に個体数が増えている。
サルが増えているのに、ツキノワグマだけが「減っている」という根拠はどこにも見当たらない、のである。
写真:昨日であった山菜定食を食べたツキノワグマの糞。いまの時期は山菜をむさぼり食うが、その食痕はひっそりとしていて見つけることは非常に困難でもある。
長野県中央アルプス山麓にて。
GRD

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間違いだらけの自然観 4  「ツキノワグマは増えている」 への2件のコメント

  1. 北割H  より:

    立体的と水平的利用、よく住み分けられているのですね~、でも手入れされなくなってきた森は高い所に登らなくても食べ物が容易に手に入るようになるのでしょうね。
    手入れされなくなったことにより喜ぶ動物も泣く動物も必ずいるはずです。

  2. 中社 より:

    こんにちは。
    近年、書かれているように僕のまわりでも動物が確実に増えているのを実感します。
    実家のある奥飛騨でもカモシカやサル、熊が家の近くで見かけることが多くなりました。
    ボクが都会にでるまで住んでいた18年間は全くなかったことです。 先週末は八王子市、高尾山の南隣の草加山で雨登山の中、巨大なイノシシとも遭遇しました。
    庭先で熊に襲われた記事などを読むと、この先どうなるか実家に住む親のことを考えると気になってしまいます。