日本の野生動物をきちんと観察して、きちんと撮影することは、きわめて難しい。
自然界は、「黙して語らない」世界なので、そこに暮らす野生動物も私たち人間の想像を超えた世界に潜行して密かに動いている、からだ。
だから、そうした動きを探るにはあらゆるメカトロニクスを駆使して、わずかなサインを読み取り、蓄積しながら予測を立てなければならない。
なかでも、ツキノワグマは謎の動物だ。
賢くて、人間の心理を読みぬき、ひそやかに行動するから、なかなか全体像が見えてこない。
そんなツキノワグマに出会いたくて、ボクはいつもフィールドでは期待している。
そのためにも、自動撮影装置なども仕掛けて、1年、2年、3年というスパンでボクの第二の目として、自然界を探る努力もしてきた。
自動撮影は、センサーとカメラとストロボの3点セットが完璧に連携作動して、はじめて成し得る技である。
こう書けば簡単なようだが、ストロボの電源を1週間確保するだけでも、どでかい壁にぶち当たる。
デジタル一眼レフカメラの電源を常時確保することでも、大きな壁を乗り越えなければならない。
それを、数年の単位で確実に動かすことは、プロのボクの技術をもってしても並大抵なことではない。
しかし、それは、プロである以上やり続けるのが、ボクがボク自身へ賭ける技術修練への宿題でもある。
そのカメラに、昨夜(5月16日)22時46分、巨大なツキノワグマが記録された。
体重100kg前後はあろう、ツキノワグマだ。
足の裏には、散りはじめたヤマザクラの花びらをつけているのが、可愛い。
が、しかし、花びらと足の裏の年季を想像してもらえれば、クマの大きさが分かろう。
うしろ姿だが、こうした記録の積み重ねから、ボク自身の自然界に対する確かなモノサシをつくっていける。
とにかく、こうした地道な裏づけから、自然界を探ることが自然を知る第一歩だからである。
フィールドをやらずして想像だけでツキノワグマのことを語れないから、自分だけのデータ確保をしなければならないと思っている。
写真:ここは、昨年もたくさんのツキノワグマが出現した場所。
今年もここに、異様なほどの獣臭が漂い、ツキノワグマの活動が再開された。
これからは、ますます面白い世界が展開されることだろう。
中央アルプス山中にて。
SIGMA SD10 シグマ28-105mm
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