間違いだらけの自然観 7 『無人撮影ロボットカメラ』


無人撮影ロボットカメラを使えば、自然界のすべてが何でも撮れてしまうと錯覚している人がいる。
いや、ボク以外に、ほとんどすべての人がそう信じているのではないか、と思う。
先にも書いたが無人撮影装置は、センサー、カメラ、ストロボからなる装置だが、これだけでは使えない。
目的意識をしっかりもって、自然界の機微を熟知しないと、どんなに性能がいい装置でも充分な力を発揮しないからだ。
むしろ、性能を最大限に引き出すことの大切な部分は、それをあやつる人間の技術と努力にかかっていると言っていい。
それには、自然を熟知して、あらゆる手段を尽くしてこそ、結果がでるというものである。
例えば、
夜間活動するガに、赤外線だけを狙って飛び込んでくる種類がいることも理解しなければならない。
キリギリスの仲間が、防水用のビニールテープなどを齧って穴をあける。
電源コードを、ネズミやタヌキが齧って切断させてしまう。
クモやドロバチがレンズの前に巣をつくってしまう。
雨滴が思わぬところで機材をショートさせてしまったり、草木が一晩で10cmも生長することだって念頭におかなければならない。
結露の問題、太陽光の光害、低温や高温の対処、…etc
とにかく、カメラだけにしか関心のない人間には、このような伏兵のあることにまったく配慮できないだろう。
それなのに、ボクの機材を欲しがる人間は多い。
機材さえ手に入れれば、明日からボクと同じ写真が撮れると考えているからだ。
そのために、機材を盗みにきたり製作依頼の問い合わせは、「けもの道」を発表してからの30数年間にいやというほど経験してきている。
そうした問い合わせが、昨日も一件あった。
飛行機で2時間半もかかる地域からだったが、来月にでもでかけてきたいとのことだった。
こういう人にどんなに説明しても分かってもらえないし、機材が入手できたとしても使いこなせないから、結果的にボクの指導が悪いのだといわれてしまう。
『ヤンキースの松井選手がホームランをどんどん量産しているけれど、
 松井選手と同じバットとグラブを持てば、貴方は明日から松井選手になれますか?』
このようにボクは言っても、それでも、分かってもらえない。
おまけに技術を教わるのに、使ってない遊んでいるコンパクトカメラでなんとかプロ並みの仕事ができないだろうかと、セコイことを言ってくる。
ポケットアーミーナイフと刺身包丁の切れ味の区別も、できてないのである。
カメラの技術を、そんなレベルでしか判断されていないことを知るとほんとうに悲しくなる。
アマチュアカメラマンやプロ仲間、ハテは動物や野鳥を研究している専門のプロや行政の人たちの多くが、この程度の意識レベルしか持ち合わせていないのも事実である。
これでは、ゆっくりだが刻々と変化をしつづける自然界をきちんと理解していくことは不可能だ。
写真:山中に設置中の無人撮影ロボットカメラ。
    機材の心臓部だけはきちんとしたものを使うが、手抜きでもいいところはポリバケツだって流用する。
長野県伊那谷にて。
GRD

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間違いだらけの自然観 7 『無人撮影ロボットカメラ』 への7件のコメント

  1. はちべえ より:

    あらら・・・いまだにそんな人が居るのですか・・・
    「今度、新型の冷蔵庫を発売するのですが。我が社では瞬間冷凍の技術が無いのでその技術を教えてもらえませんか?」と言われて・・・メーカーは教えませんわな・・・
    仕掛けもその場所の条件や、対象物によってもいろいろ工夫しないといけませんから、カメラだけ手に入れてもそう簡単には撮れない・・・ですよ。ね。
    ただ動物が写っているというレベルなら可能でしょうが・・・
    30年以上もの経験と努力から完成された技術とシステムを「売ってくれ」「教えてくれ」というのはあまりにも安易過ぎる考えではないでしょうか。
    普通、弟子などでも「まず自分でやってみる努力」からのスタートですよ。

  2. たじまもり より:

    一番重要なヒントは、ポリバケツであったり、洗濯ばさみだったりするわけで、ロボットカメラの維持には柔軟な頭が必用です。道具は買うものと考える人は最初からやろうと思わないほうがいいですね。挫折は、すぐに訪れます。私も一歩入った途端に挫折中です。(^^;

  3. たんぽぽ より:

    ほお~、そんな方がたくさんみえるなんて知りませんでした。
    他人の作ったシステムを使うなんてプライドが許さなくて考えられません。
    そんな創造力のない人たちにシステムが使えるわけがないけれど、試しに譲ってどんな結果が出るか見るのもおもしろそう・・・
    こういう方ってお金持ちさんが多いようですね。
    ちなみにボクは超ビンボーです。

  4. はちべえ より:

    ビンボーだから自分で工夫する・・・つまり創造力があるのさ~
    僕も同じですよ~

  5. 磐戸 計 より:

    いっそのことgakuブランドでロボカメのようなものを売り出したら如何でしょうか?500万円位で…。なんて悪ふざけを書くと何処かの誰かがヒント商品として売り出すかも?大枚はたいて買って木葉や人の足や雨粒しか写らなかったってクレーム言われたって対処の仕方がありませんが、とりあえずそこそこ売れちゃったりするかも知れませんね。
    ばんどでした。

  6. ピッコロ より:

    システムを売ると言っても、なにをどのように撮るかで、センサー、ストロボ、カメラの選択や使い方も違ってくる訳で、いちいち話を聞いてgaku先生が選んであげていたのでは商売になりませんね。
    それに、無人撮影でもイチロー選手のようにコンスタントにヒットを打つためには、狙い球と打つコースを選ばないとヒットは難しいでしょう。

  7. どぶろく より:

    盗むなんて言語道断です。自分で失敗してみて、苦労したことが無い人に限ってそういうことします。職人は技を極める過程で必ず既製の道具に限界を感じ、自分で創る(創るんだよ。作るんじゃない)。だから人のもの持ってきたって「自分のモノ」にできるわきゃない。