間違いだらけの自然観 8 『仕返しするツキノワグマ』


冬眠中の穴の近くに無人カメラを仕掛けて置いたら、それをツキノワグマが叩き壊した。
そんなテレビ映像を見たのは、たしか10年ほど前だった、だろうか。
それから、何回かそのような場面を報告するテレビ番組が、最近まで続いている。
ツキノワグマは、無人撮影カメラを叩き壊すものだと、ボクもはじめのうちは思ってしまっていた。
が、しかし、ボクのカメラはどうなのだろうかと、気づいた。
30年以上も、いろんな場所の「けもの道」へカメラを設置してきているが、そのようなことは一度もない。
そこで思ったことは、冬眠穴を知るには、行動研究用の発信機をつけられている個体がほとんどだ。
ということは、いちど人間に捕まったことのあるツキノワグマなのである。
そのツキノワグマは、研究者の体臭を確実に覚えているから、捕まったことの忌まわしい思い出を秘めている。だから、無人カメラに関係者の臭いがすると、怒りの記憶がよみがえり、叩き壊すのだろう。
そういえば、ボクも10年ほど前に、
長野県内でツキノワグマを撮影中に5箇所に設置した無人カメラのストロボだけを叩かれたことがある。
理由は、現地でクマをいじめていた人の案内で設置したカメラだったから、その人の臭いが三脚周辺に漂っていたからだ。
その地域のツキノワグマには、ボクもいじめの同類と判断されたのである。
このような経験から、ツキノワグマはいじめられたことに対して「仕返し」をすると、ボクは信じるようになった。
昔のマタギは、威力のなかった村田銃で、クマをぎりぎりのところまで寄せて、一発で仕留めた。
それをしくじって、手負いにさせたら、自分がクマに殺されるといって、猟師をやめたほどだ。
ツキノワグマは、本当に賢い動物である。
「お仕置き放獣」といって、目撃例があっただけで、むやみやたらに捕獲しては再び野に放つことが一般的には支持されているが、「手負いグマ」をわざわざつくり出しているとしか思えない。
写真:「お仕置き放獣」を目的としたツキノワグマの捕獲檻。
    この写真を撮ったときにも、ツキノワグマにお仕置き関係者として、ボクの臭いが察知されないかと心配でならなかった。
長野県伊那谷にて。
GRD

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間違いだらけの自然観 8 『仕返しするツキノワグマ』 への3件のコメント

  1. amitake より:

    昔から「手負いの獣(特に熊)」がどんな怖いかよく聞かされていました。
    勉強ばかりしていた学者先生はそんなことも知らないようですね。
    今は学者指導で手負いの熊大量生産ですか。恐ろしいことになっていますね。
    檻の近くに行くと臭いが残るから間違えて復讐されるかもとはこれも恐ろしいですね。
    学者先生が使っているシャンプーとか整髪料とか、あらかじめ教えていただきたいですね。
    この檻を作った鉄工所にも近づいてはいけませんが、どこで作ったの?

  2. 半阿弥 より:

    カラスなども人の顔をよく覚えていて復讐すると聞いたことがありました。
    我々現代人は鳥や獣の賢さを見くびっているのかもしれませんね。そのくせ「お仕置きをすれば人を恐れることを学習するようになる」などと、人間の側に都合の良い賢さだけは期待するのですから、おかしなものです。
    人間の子供だって、なかなか大人の都合の良いようにだけ賢くすることは出来ないものですが。

  3. クワ より:

    「お仕置き」なんて、愚かなニンゲンの傲慢だと思えます。
    アメリカの愚行を直輸入して、最先端を行ってると信じてる人たちが哀れです。
    >昔のマタギは、威力のなかった村田銃で、クマをぎりぎりのところまで寄せて・・
    アイヌ人の老猟師の話を聞いたら、昔の単発銃のほうが集中出来て、成績が良かったそうです。
    万が一、自分で手負いにしたら、その熊を仕留めるのが仕事だと言ってました。