『おーい gakuさぁー
俺にはどうしてもわからんことがあるで、ちょっと見てくれやー 』
隣町に住む鉄砲撃ちのタダさぁーから、電話があった。
タダさぁーは、農業を手広くやりながら、馬を5頭も道楽で飼育しているし、伝書バトも200羽ほど飼っている。
庭には日本犬が4頭ばかりいつも放し飼いになっているし、チャボからシャモ、ニワトリも100羽以上が遊んでいる。
根っからの動物好きだが、イノシシやツキノワグマも猟期になればちゃんと仕留めてもいる。
そんなタダさぁーにも、分からないことがあるみたいだった。
タダさぁーの自宅近くのその場所へ案内されてみれば、イノシシの巣のようでもあるがキツネの巣でもあるようだ。
とにかく、ススキの原にトンネルができていて、子供が遊んだような広場もあった。
トンネルはイノシシが通るのにいいほどに背が高いから、結論はどうやらイノシシが子育てをしていた場所ということになった。
しかし、ボクは、キツネが子育てをしていたと思ったが、タダさぁーは「イノシシ」だと言い張る。
馬に与えるための草を刈っていて気づいたらしいが、途中で草刈りをやめてボクのところへ電話をかけてきたのだった。
子供たちが遊ぶ広場からは、200mほど離れたところに養魚場の管理人が詰める事務所が見える。
その奥にも一軒、人家がある。
あとは、若干まばらに人家もあるが300mと離れていた。
こんな環境から、「キツネ」の家族は人間たちの行動を見ながら、ここで子育てができると判断したのだろう。
日当たりがよく、見通しもよく、風通しもいい、場所だった。
それは、裏を返せば、人間からの臭いや音などが彼らに筒抜けているということでもある。
その現場に立ってボクは、キツネの気持ちになって、遠くに見える養魚場の事務所を見てみた。なるほど、人の動きまでがちゃんと分かるが、人間はまったくキツネ家族には気づいてないのである。
ならば、あそこの事務所から望遠鏡でこの広場を観察すれば、キツネなのかイノシシなのかが分かるはずだ。
ボクは、絶対にキツネだと思うが、イノシシだったらもう二度とこの現場には帰ってこないだろう。
しかし、草刈りをやめたから、キツネなら数日もたてば帰って来るとボクは読んでいる。
イノシシでもキツネでもいいが、子育て環境がこういうところにあることのほうがボクには興味がある。
写真:手前の色が変わって草が寝ているところが、キツネの子供たちが遊んでいる場所。
人間をここから観察して育つのだから、野生動物はほんとうに現代社会に順応していると判断できる。
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