散歩道でツキノワグマが人を襲う… 1


午前の10時30分ころから、ムササビ荘のまわりを市役所の広報車がさかんにがなりたてて走り回った。
何だろうと耳をすませていると、近所にツキノワグマが出たから、外出には鈴やラジオを鳴らしながら注意するように呼びかけていた。
知り合いが車に乗ってアナウンスしているのだろうし、熊の棲み家に住んでいるのだから、熊がいて当たり前なので冷やかしてやろうと外へでた。
やがて広報車がやってきたので、何を騒いでいるのだろうと訊いてみた。
なんと、ムササビ荘から800mほどのところで、散歩中のオジサンがツキノワグマに襲われたというではないか。
場所は、どう考えてもボクが毎日のように散歩したりするフィールドだった。
まずいことが起きたものだと、被害者のお宅まで出かけてそのときの様子を聞いてみた。
被害者Fさんは、65歳。
6年前に名古屋市から引っ越してきて、駒ヶ根高原の近くに住んでいた。
愛犬の散歩に毎日家から1kmほどを車で出かけて、スキー場で犬を放して、近くの山野を散策していたのだった。
今日も、9時半ころから犬と一緒に林道を歩いていたら、10mほど先をいく犬がいきなり吠えたかと思ったら「ブッフォー」という威嚇声と同時に、犬がキャインっと鳴いて一目散に主人の下へ走りこんできたらしい。
そのあとを追って、ツキノワグマが猛然と飛び出してきて、Fさんに馬乗りになってきたのだった。
それは、一瞬のできごとであり、Fさんは地上に伏せたがクマは尻と背中を引掻いて、逃げ去ったという。
このとき、連れていた犬は主人を守ることもせずに、どこかに逃げてしまった。
Fさんは、一目散に走って車に戻り、薬局へ行って薬を求めたところで、破傷風などの危険性があるから病院に行くことを進められたのだった。
そこで、病院へ行って事件が発覚し、市役所の広報車となった次第なのである。
それにしても、現場はボクもよく知っている場所だから、ツキノワグマがいて当然だった。
そこは、毎年この時期には頻繁にツキノワグマが出現してきているからだ。
襲われて当然な場所だが、犬がいたために、被害にもあった可能性もある。
まあ、それも運といえば仕方がないが、襲われたFさんもまったく熊の出現を予測していなかったそうだ。
地元の人間なら若干の注意力も働くだろうが、リタイヤしてIターンしてきた人にはこのような自然界への配慮はできないのかもしれない。
そういえば、中央アルプス山麓には、そのような新しい人たちがかなり住みはじめている。
こうした人たちの自然への心理状態も、今後の考察材料になることは間違いなさそうだ。
写真:Fさんはこの林道をカーブしたところでツキノワグマに襲われた。

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散歩道でツキノワグマが人を襲う… 1 への5件のコメント

  1. てっちゃん より:

    TOPページがリニューアルされたのですね、良い感じになりましたね!!
    近くでこう言う事件が起きると、gaku先生にとっては迷惑な話ですよね・・・
    僕も山だからクマが居て当たり前、と言う考えでいるから、常にそのことを頭に入れて行動していますが、都会から来られた方には、そう言う考えは無かったのでしょうね?

  2. いなかもん より:

    はじめまして。先生のクマの写真集はまだでしたっけ。町のもんに見せてやりたい。

  3. gaku より:

    >都会から来られた方には、そう言う考えは無かったのでしょうね?
    都会人も田舎人も、自然をファッションで見ている人ばかりですから。
    >先生のクマの写真集はまだでしたっけ
    遅れておりましてすみません。
    10月上旬には全国書店に並ぶと思います。
    写真集ではなくて、文章主体の写文集です。
    でも、写真は87枚使ってありますよ。

  4. 粗忽鷲 より:

    当町でつい最近羆との遭遇を聞きました。自宅と通学路の間で周辺は牧草地と林が続きます。
    その女の子は何処から現れたのか気が付かなかったそうです。手の届く場所で目が合い、「落ち着いて!目を離さず、静かに、ゆっくり後ろへ」と何度も自身に言い聞かせ距離を離していったのだそうです。
    家に辿り着いたときは立ち上がれなかったそうです。
    同じ空間を理解し共有してたのでしょうか。
    先に熊の方が気づいてみていたのでしょう。賢い熊との出会いにまずは良かった!と。
    好んで都会から獣医となり、離農場所に居住する事を選択した親の覚悟が子供を育てたのですね。
    ですから、羆駆除や広報には至ってません。隣人からのお話です。

  5. モモンガ より:

    粗忽鷲さんの町での話・・こういう話が実はあるのに、ニュースになることだけが大々的に報じられて
    「熊遭遇、即通報!あとは町の責任で」
    こんな意識が浸透してしまうのかもしれませんね。
    それにしても、獣医の娘さんだったのですか、しっかりした教育してきたんですね、さすがですね。