ツキノワグマ捕獲檻が仕掛けられて、2日目。
熊は、まだ捕獲檻には入っていない。
今回の捕獲檻は、ドラムカンを2個つなぎ合わせたもの。これは、捕獲した熊が内部で傷ついたりしないようにして「放獣」を目的にしているものである。
これに対して、鉄格子の檻があるが、この檻に熊が入ると逃げたくて鉄格子を齧るために、熊の歯がボロボロに欠けてしまったりする。このような熊を放獣してもその後の生活に支障をきたすので、鉄格子檻は「射殺」目的と考えていい。
一昨年は、この現場に鉄格子の檻が仕掛けられた。
そして、2週間ほどして熊がかかり、射殺された。
その同じ場所に、今回はドラムカンの「学習放獣」用の檻である。
学習放獣だから、捕獲した熊の性別や年齢をしらべ、耳にタグをつけて、鼻面にとうがらしスプレーをぶっかけて、放つのである。
熊に対する目的が、なんとなく檻を見ただけでもわかる。
しかし、ここで考えなければならないことは、一昨年は射殺したが、その現場にすぐに別の個体が入ってきているということである。
昨年も、ここではかなりのツキノワグマの出現があったから、一頭や二頭射殺しても、予備軍がいるから次々に侵入してくるだけだ。
このような現象は、渓流でイワナやアマゴを釣っている人にはその生態が分かると思うが、それと同じ動きをツキノワグマがしているからである。
ここ1-2年、「学習放獣」が長野県では積極的に行われている。
そのために、ドラムカン檻が市町村に貸与されているから、ツキノワグマ出現=学習放獣が肯定的となった。
学習放獣を悪いとは言わないが、発信機などをつけた個体以外に放獣した個体のその後の追跡がまったくなされていないことには疑問を感じる。
放獣をした個体が、その後どのようなことをしているのか調査するだけの技術確立がなされないまま、安易に放獣だけを繰り返し続けることへの問題点である。
こうしたツキノワグマが、ボクのフィールドとしている中央アルプス山麓には少なくも10頭以上がいる。
10頭もいれば、「お仕置き」の際に人間を逆ねたみしたまま歩き回っている個体も必ずいるハズだとボクは考えている。
写真上:耳に「学習放獣」の証拠を示す赤タグをつけたまま「遊歩道」を歩く体重40kgほどの若いツキノワグマ。100kg以上の熊になるまでには、まだまだいろいろな出会いと経験があることだろう。
写真下:人間のための「遊歩道」だから、昼間にはかなりの人たちも利用している。
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すごい組写真 !
けもの道に数10年取り組んできた写真家の力が示されています。
野生動物の生態を知っている人には考えさせられるニッチェの一場面ですね。
この組写真がもつ意味を、多くの人が理解してくれることを望みます。
たくさんの人に、見てもらいたい写真です。
いずれ、そうなると思いますが。
キノコ関係の知人のブログです。熊と接近遭遇が書いてあります。8月21日です。
http://tulostoma.blog12.fc2.com/
マステケを見つけたすぐそばのコケの絨毯の上で寝てしまった。
ザワザワとやかましく木の枝を折る音もしてうるさいとは思ったがそのまま寝た。
おきてみたらマスタケがない。よく調べたら、マスタケのくずと黒い獣毛があった。
帰りのバスに乗ると、他の観光客が熊を見たと騒いでいた。
場所は寝ていたすぐ近くのようだ。熊をみそこなった。(他での話の要旨)
同年代で私よりも小柄な感じの人ですが、熊は当然承知していただろうに、
このような場合は襲ったりしないのでしょうか。絶体絶命のピンチじゃなかったでしょうか。
クマは、つまりは山おやじだ。昔のおやじは怖かった。今の父親はそうでもない。自分のこどもなんかとも友達みたいだ。山おやじだって怒らせたら怖い。だけど怒らせなかったらひっそり生きているもんだ。できるだけ人間と鉢合わせしないようにしてる。檻でつかまえたなら食った方がいい。そうしないならそおっとしておいたほうがいい。