カキを食べるクマ食べないクマ

20191210 【備忘録】

日本アルプスの頂きに初雪があって根雪になるころになると、

「昔はなぁー、農家の庭先にある柿の木に熊が登ってよう、毎晩カキを食べにやってきた。
その熊を撃つために、縁側で待っていたものよ。
月夜の晩だと、熊の動きが見えるから、一発で仕留めることができた…」。

60年くらい前には、こんな話しが長野県南部の猟師からは普通に聞けた。
50年前にも、ツキノワグマは確かに柿の木に登ってカキを食っていた痕跡があったし、まだまだカキを食べる熊たちもいた。
しかし、ここ数十年間柿の木はいたるところに放置されているけれど、ツキノワグマがカキを食べたという話題はない。
ツキノワグマは年々増加傾向にありどこにでも普通に出没しているが、長野県南部ではいまのところカキを食べる熊がまったくいないからだ。

ところが、新潟、富山、福井、京都、岡山、広島など、日本海をはじめ各地ではカキを食べるツキノワグマが定番になっている。
当地では、ハチミツやドングリに興味を示さないツキノワグマも多いから、時代とともに「ツキノワグマの食性も確実に変化してきている」、とオイラは見ている。

そう、思いながらここ3日ばかり伊那谷の柿の木を撮影しているが、実をたわわにつけた「柿の木」があるあるいたるところに…。
それなのに、ツキノワグマはまったく食べに来ていない。
このような環境下にありながらも、ツキノワグマは確実に多数が生息して増加傾向にあるのだから、ツキノワグマを語るには次なるステップでの会話となろう。
例えば、カキを食べる各地のツキノワグマと当地のカキを食べなツキノワグマの「ゲノム」比較、とか。

これも、時代を語る意味での報道記録備忘録写真として、オイラには必要な写真だし「気づき」だからだ。


いたるところに放置柿がある。


緑の丸印のところでは老人がツキノワグマに襲われて重傷を負った。背後の林はツキノワグマが相当数行き来している。それなのに、毎年ここのカキはたわわに実をつけるが一度もツキノワグマが食べにきた試しがない。


南アルプス山麓に通じる過疎集落には、放置柿の木がまだまだたくさんある。誰も収穫しないから、柿の木は大木となり自由だ。背後の竹やぶも放置中なので、イノシシ、サルたちがタケノコを自由採りしている。


ここも20年以上も見続けている柿の木だが、これまで一度もツキノワグマは登らない。それなのに、50年前はこの近くの柿を食べにきたツキノワグマがいたが、それが記憶に残る最後の「柿食い熊」だったようだ。


この柿の木の枝ぶりを見ただけでも、どれほど放置されてきているかがわかる。根本の常緑葉は「茶」。長野県南部では、柿と茶は昔から自家用飲食にしてきた歴史がある。それなのに、いまではまったくの放置状態で誰も収穫するものはいない。
柿を食べるのは、ヒヨドリとツグミ、カラスくらいなものだ。

 

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