原稿や校正など超多忙なのに、秋のこの時期は撮影にも忙しい。
ツキノワグマ、イノシシ、野ネズミを毎日同時進行でやっている。
この季節を逃したら、来年までお預けというシーンがいくつもあるから、あらゆる時間をやりくりしているのだ。
なかでもイノシシの泥浴びシーンは、いまが撮影チャンス。
賢くて、警戒心の強いイノシシだから、これらの撮影は無人撮影しかない。
そこで、兼ねてから見つけてあったイノシシの「ヌタ場」にハイテクカメラを仕掛けた。
撮影「絵コンテ」は、泥まみれになってのたうっている姿。
これを撮影するには、
1)センサーでイノシシの到来をキャッチする。
2)すぐにシャッターを切ってはダメなので、ヌタ場で横たわるまでの時間差を30秒とする。
3)30秒後には1枚目のシャッターを切る。
4)そのあと、ストロボチャージが5秒だから、7秒後にもう1枚を切る。
5)さらに、もう一枚だめ押しとして7秒後にシャッターを切る。
こうして、ワンチャンス3枚の撮影で1クールというプログラムを組んだ。
これらの装置は、すでに30年前に大枚をはたいて設計依頼をして完成させていたものを流用しているだけ。1ロット20台を作り上げたが、この装置はあらゆるところに使えるようにしてある。
しかし、思いどおりにはいかず、いまのところ撮影は失敗している。
カメラ設置の翌日にはイノシシがやってきたが、水が濁っているだけで3枚ともに何も写っていなかった。
どうも、30秒というタイムラグにモンダイがあったのかもしれない。
そこで、1枚目のタイムラグを10秒にしてみたら、トップの写真が撮れたというワケ。
写真の表情をみても、賢いイノシシはすでにこの現場でのカメラに対する怪訝な視線を送ってきている。
これでは、ボクの「絵コンテ」は失敗である。
そこで、ハイテク装置をあきらめて、泥のなかに水圧スイッチを埋め込むというローテク撮影に切り替えた。
だが、いらい7日間たつが、イノシシは一回も来た形跡がない。
ここでの撮影は、完全に見破られた可能性がある。
イノシシの生活史から追ってみても、泥浴びは今月一杯で終了するから、ひょっとしたら今年は失敗に終わってしまうのかもしれない。
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イノシシはとても賢く警戒心が非常に強いです。
通い道に括りワナを仕掛けても、よく見破られます。
イノシシは犬の何倍も鼻がいいそうで、いかに痕跡を残さず仕掛けるかの知恵比べですね。
そういう部分に共通する記事で、苦悩がよくわかります。
頑張ってください。
こちらではイノシシはよく観察するけものなんですが、日本では尻尾さえ見た事ありません。
写っているイノシシの表情が用心深さを語っています。
ところが、最近家の周りをイノシシが日中から闊歩しています。
新世代イノシシか!?・・・というかド田舎なもんで。
こういった野生動物との駆け引きも無人撮影の醍醐味でしょうか。
カメラを構えて被写体に向かってむやみに連写しまくるより数倍、知的な撮影法ですね。
無人撮影は知的な撮影方法 …
なかなかにいい言葉ですね。
まさに、最高に頭を使う撮影方法でもあります。