宮古島伊良部のホテルでスタッフ一同と夕食をとっているときだった。
一組の熟年夫婦に声をかけられた。
夫婦 『サシバは見られましたか?
私たちはサシバを見にきたのですが、1羽も見られませんでした。』
私たち 『えっえー !?
サシバはこのホテルの上空を数百羽の群れでたくさん飛びましたよ。
ホテルの庭でも海岸からでも、島のどこからでも見られたのに … 』
たぶん、本州からやってきたご夫婦だったが、リタイヤをして時間とお金があってここまでやってきたものと思われた。
わざわざレンタカーまで用意してやってきていたのに、あれほどいたサシバを目撃できなかったということは不運としかいいようがない。
いや、不運ではなくて、はじめから「自然」を見る目がなかったのであろう。
こういう人たちが、誰かのアドバイスをうけて少しずつ自然を見られるようになるのだろうが、ある程度の上達があっても一定の壁を乗り越えることは難しいと思う。
そういえば、島へ渡るときも熟年世代のバードウオッチャーたちが双眼鏡と三脚に付けた望遠鏡というお決まりのスタイルでレンタカーを7台ほど連ねてフェリーに乗り込んだ。
渡りをしていくサシバの勇壮な姿だけを目的にしているのだろうと思うが、島の歴史や本州の繁殖地でのサシバがおかれている現状などまで思いをはせられる人はいないハズだ。
30年前にはこのようなウオッチャーの姿は見られなかったが、今後は毎年のように増殖していくにちがいない。
こうした増殖がサシバの生きる姿を通して自然界や人間社会をも含めた全体的な自然観にまで育っていけばいいのだが、「自然」を物見遊山しているだけの人はたしかにふえている。
写真:夕日が沈むころまでサシバが次々に舞い降りてきた。
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パプアニューギニアには、世界中からバードウォッチングにやってきます。そんな方たちを観察していると、日本人と欧米人の違いがあります。それは、欧米人の殆んどはカメラを持ってませんが、日本人は、カメラを持っている方たちが多いという事です。欧米人は、昼間観察をして、夕食時にみんなでその日見た鳥たちの話をして楽しそうでした。僕も写真を撮るので、どちらがいいとはいえませんが、観察をするという事に関しては、ひたすらみていた方が、よく動物を理解できるようなきがします。
gakuさんの文章の「切れ味の鋭さ」に、短いコメントにしなきゃ…と思ってる間にoikawaさんのコメントを目にする時間ができました。
またどこかで、超広角の鳥の写真の話をしたいもんです。
ボク達が見つかったのリスの五感にやられたよね〜?