西表島といえばカンムリワシ


1981年4月。
ボクはカンムリワシの巣を日本ではじめて発見した。
それも、この年だけで3巣、翌年にも2巣をみつけた。
それまでカンムリワシは、日本では繁殖していないといわれていた。
しかし、ボクは石垣島と西表島では確実に営巣していると考えていた。このため、「鷲と鷹」の写真集をつくるための最後の仕事として、西表島にすべてを賭けたのだった。
「鷲と鷹」は、日本で16種類が繁殖しており、そのすべての巣を自分自身の力で見つけだすことをボクは自分に課していた。そして、それまでに15種類を独力で探し出していたから、カンムリワシも西表島へでかけさえすれば自然環境の動きを見切れる自信はあった。
しかし、亜熱帯という経験したことのない気候ゆえに、はじめのうちは手こずったが、ひとつの環境方程式を読み解けるようになるとカンムリワシの巣はいとも簡単に見つかった。
そんなボクを、西表島の食堂で嘲笑した「専門家」がいた。
それは日本を代表する鳥類研究機関に籍を置く2人の研究員だった。
ちょうど昼どきでもあったから、西表島の食堂でボクは「八重山そば」を食べていた。
となりの席に座ったAとTという研究員がボクに向かって、
『カンムリワシを遊びで見つけられては困る…』
と、いったのだった。
ボクは「鷲と鷹」の写真集をつくる夢があったから、遊びでやっているのではない。
ましてや「専門家」という人たちが、カンムリワシは台湾で繁殖しているのではないかとまで言っていた時代だ。
ボクには確信があってのことだから、この言葉には驚いた。
そんな悔しさもあったから、意地でも見つけだしてみようと思ったものである。
こうして16番目の種類となるカンムリワシの巣を見つけたわけだが、一つ発見できればあとは簡単だった。
森の環境を見切り、カンムリワシの動きと声を追っていけば、巣場所がピタリと特定できたからである。
そして、今回久しぶりに訪れた西表島だったが、以前よりまして環境を見抜ける目があったことには自分自身でも感心してしまった。
はじめてカンムリワシの巣を見つけてから27年も経っているというのに、地形をみただけであそことここに巣があると見えてしまったからだ。こうした勘は、若いころに培えば加齢とともにますます冴えてくるものだとわかった。
のんびりしているカンムリワシだが、やはり西表島にはよく似合う野鳥だ。
その昔は、与那国島にも生息していたらしいが、今日では「絶滅」しているとボクは宣言している。
石垣島と西表島、与那国島にカンムリワシは生息していることになっているが、この鳥は海上を飛翔して隣の島へは行けない。
だから、石垣島と西表島では貴重な野鳥なのだから、今後も確かな自然観をもった人の目で見届けていかなければならないだろう。
そのためにも、ときどきボクもでかけていってはカンムリワシと話していくことにしよう。

写真上:27年前の営巣地付近でさっそく出迎えてくれたカンムリワシ。
写真下:青空に独特な声を響かせながら独特な模様をみせて飛翔するカンムリワシの姿はいつ見ても惚れぼれしてしまう。

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西表島といえばカンムリワシ への4件のコメント

  1. クワ より:

    >『カンムリワシを遊びで見つけられては困る…』
    こんな事を言う輩がいるのが信じられナイ。
    自分たちだけが研究する権利があると錯覚してるんでしょうか。

  2. 土生 より:

    研究員だから偉い、私たちの言うことが正しい・・という輩はどの世界にもいますね。
    しかし、ことフィールド調査に関しては、自然なスタンスで見つめることのできるアマチュアの方が優れている場合が多いのです。
    その事実を認めたくない、くだらないプライドが研究員にもあったのでしょう。
    すべての研究員がそうだとは言いません。
    私の知ってる研究者の方々は、非常に謙虚で気さくでとても良い人ばかりです。
    我々アマチュアの声にもしっかりと耳を傾けて、ヒントと解明へ導いてくれます。
    謙虚に素直に事実を受け止めることができず、成果を焦るあまり捏造したり、事実を無視したこじつけの発表をしたり・・・
    そんな心の貧しい人間にだけはなりたくないものですね。

  3. gaku より:

    このときに出合った「A」さんだけど、
    そのごボクが何回かいろんなところで「写真コンテスト」の審査員をしましたが、
    そこにちょくちょく応募してきていました、ね。
    残念だけど、写真も精神も完璧なアマチュアでした。

  4. 石澤 悟 より:

    カンムリワシはどんな鳥なんですか。石垣島に巣を誰が見つけたのは誰ですか名前も書いてください。