ツキノワグマの痕跡探しで、最近は精力的に林道などを走り回っている。その過程で、中央アルプスの懐に続く林道を上りつめたら異様な光景にであった。
それは何かのまじないのようなようすだったが、これは植林したヒノキの苗木をカモシカに食われないようにするための防獣ネットだった。
まだ40-50cmの苗木は、頂上部分を食害されるとアウト。
木にとってもっとも大切な部分だから、そのまま成長がとまってしまうか、大幅に成長を阻害されてしまうからだ。
冬になるとこうした食害がノウサギやカモシカによって引き起こされることが多いから、このようにネットで被ってそれができないようにするのだ。
このような作業は晩秋に行い、春になると外さなければならない。
しかも、3年間くらい丁寧に繰り返さなければならないのが実情だ。
カモシカが激増した30年ほど前にはよく見られた光景だが、近年では珍しくなってきた。
今後は、ニホンジカも仲間入りしてくるから、再びこうした光景も増えてくるものと思う。
山の「風物詩」と酔狂なことは言っておれないが、こういう写真からでもそれぞれの時代のなかでの野生動物たちの動きが見えてくるから面白い。
まさに自然界の時代を記録する意味では、必要な写真だからである。
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こちらでは、写真のようなネットはあまり見かけませんが、忌避剤(ヤシマレント)なるペースト状のものをヒノキの苗木に手塗りしております。ニホンジカ、カモシカ、ノウサギ、そしてツキノワグマにも効果があるとのことです。
この薬剤はチウラム25%を有効成分とする殺菌剤で野生動物の腸の中にいる微生物を殺す作用があるそうです。
ちなみにこの作業を先月おこないました。服は汚れるし、一本一本手作業ですので、かなり手間のかかる作業です。
こちらも日がたつと効果が薄れるので、毎年の作業となります。
こういう光景を拝見すると、現代アートの作品に見えてしまいます。
もっちさんに質問なんですが、
>野生動物の腸の中にいる微生物を殺す作用がある
という事は、
1 消化不良などを起こして学習する。
2 危険だと察して食べない。
3 死に到る。
のどれに当るのでしょうか。
クワさん、こんにちは。
この薬剤を塗ったヒノキの食害は塗らないものより明らかに効果があります。やはり、薬剤自体にも臭いがあるし、味も良くないと思いますので、口に入れないで避けているかもしれません。
でも、食痕も見られますので多少は食べられているみたいです。
だから1→2というパターンも有りですね。
毒性はそんなに強くありませんので死に至ることは、まず無いと思います。
有難うございました。
毎年の作業とはご苦労様です。
宮城の牡鹿半島で松の苗木など(他の苗木もあり)に同じようなネットをかぶせてますね。ネットをシカがかじった跡や糞などがあちこちに見られたので効果はありそうです。
調べてみると自分でWEB自然図鑑に画像をアップしていました。(URL部分に対象ページをリンクしました)
もっちさんの所のようにネットを被せないところもあるんですね。