天竜川に沿って走る県道脇に、ムササビの巣があった。
ムササビの巣は、バスケットボールのように見え、それはスズメバチの「巣」と間違えそうだった。
県道は曲がりくねった細い道路なので、運転を誤れば150mほどの絶壁を天竜川にまっさかさまに転落してしまう。その断崖に生えた樹木の枝先にムササビの巣があった。
運転中のボクの目にはチラッと見えたが、これだけの観察で、これは車を停めて再確認をするに値するものだと思った。
そこで、待避所に車を停めてから双眼鏡でその巣を観察してみたのである。
やっぱり、巣にはムササビが寝ていた。
風に吹かれてふさふさとした尾の毛が、揺れていた。
まさに、上半身を丸出しにしたままの姿勢で寝ていた。
こんな無造作な巣でいいのかいな、とも思った。
しかも、絶壁に張り出した不安定な枝に、なんでわざわざ巣をつくったのだろうと不思議でもあった。
このような巣は、ときどき伊那谷の山野では見ることができる。
リスも、同じような巣をつくっている。
これらは、本来は樹洞につくりたいのだが、その樹洞がないとこのような巣となる。
雨が降ればそれこそびしょ濡れになってしまうのに、それでも巣をつくるのだ。
たぶんこれは、住宅難なので仕方なくつくるのだろう。
道路脇なので、車もけっこう通る。
でも、ムササビはそんな車にはまったく無関心だった。
車のエンジン音やタイヤの騒音には、すっかり慣れっこになっているみたいだった。
その証拠に、眠っているのを起こそうと、クラクションを鳴らしても、大声で叫んでも、まったくの知らんぷり。
そこで、木の根元を小枝でカリカリ…っとくすぐってみたら、眠そうに起きてきた。
このカリカリは、テンの爪音に近いものだったからである。
ムササビは、肉食獣のテンが大嫌いなの、だ。
写真上:眠そうなムササビ。
写真下:矢印のところにムササビの巣がある。
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今日は留守でした。
住宅難の背景にはどのようなものがあるのでしょうかネ~、山国信州なのに気に入った家が無いのか気になります。何件もある別荘のうちの一つなら良いのですが。
騒音に慣れっこだなんて現代っ子ですね。
木はあっても、洞がないのでしょうか?
>木はあっても、洞がないのでしょうか?
そうなんです、周辺の林の木が若いから「洞」がないのですよ。
いい「洞」ができるには、100年以上の樹齢が必要になってきます。
ムササビはこんなところにもいるのですね。
以前、ある寺社のライトアップされた桜の木にやってくるとニュースを見かけたことがあったのですが、やはり身近なところも注意深く観察する必要がありますね。