新宿にアライグマ


2007年12月20日午前3時52分。
ボクは新宿三丁目を歩いていた。
ドブネズミの撮影を終えて、歌舞伎町を背にしながら新宿駅東口方面に向かっていたのだった。
3時52分といえども、眠らない都市東京の新宿の繁華街だから、人通りもまだまだあった。
そんな人たちに混じって歩くボクの視線のなかに得たいの知れない動物が、とびこんできた。
その動物は、飲食店から出されたゴミ袋の山に興味ありげに、ビルとビルのわずかな隙間から顔をだしていたのだった。
そしてボクと、目と眼が合った瞬間に後ずさりして、ビルの隙間に消えてしまった。
っん!?
いまのは、アライグマではないか。
体形は大きめのネコくらいだったし、眼の周りにパンダのような黒い隈取があったから、まちがいなくアライグマだ。
そう思った瞬間ボクは、ゴミ袋の山から5mくらい離れた道路対岸まで行って、待ってみることにした。
アライグマの後ずさりの動き方からして、びっくりして逃げたのではなく、ここは人をやりすごそうといった動作がみてとれたからだ。
5分ほど経っただろうか。
件の動物は、ビルとビルの暗い隙間からそっと顔を出してきた。
こんどは落ち着いて確認すると、それはまちがいなくアライグマだった。
アライグマはそっとゴミ袋に近づき、ビニール袋を口で破って、中の残飯をくわえて後ずさりして再び隙間に消えていった。
こんな繁華街にアライグマがいること事態が不思議だったし、これはぜひ撮影しなければならないと思った。
ちょうど高感度撮影のできるニコンD3を持っていたので、これは繁華街の明かりだけで撮影ができるのではないかと考えた。さっそくISO感度を3200にして、絞りは開け気味のf5,6。シャッタースピードは20分の1秒が切れた。もちろん、手持ち撮影である。
そう思ってカメラの準備をしていると、アライグマは再び現れた。
ゴミ袋を物色していたので、一歩、また一歩とカメラを構えたまま接近した。
最終的には、2mのところまで近づくことができた。
アライグマの動きを見ながら、ボクはD3のシャッターを次々に切った。
シャッター音は渋かったので、アライグマはまったく驚くようすもない。
30枚くらいのシャッターを切ったところで、アライグマは再びビルとビルの暗い隙間に入り込んでいった。
そのご20分くらい待ってみたが、とうとう出てこなかった。
それにしても、新宿の繁華街にアライグマを発見してしまったことは朗報だった。こんな繁華街にも出現しているということは、アライグマは驚くほどの柔軟性をもって日本の自然界に潜伏していることを知った。
アライグマは、北アメリカ原産の動物。
「アライグマのラスカル」というテレビ番組のアニメが流行したことから、日本には愛玩用として大量に輸入された。
その結果、無責任な飼い主がいて、あちらこちらに放してしまったのだ。
それが、野生化して、農業被害や日本の野生動物への生態的弊害も起きてしまっている。
北海道から九州まで、アライグマはほぼ全国的に野生化してしまった。このことは大問題だと思っていたが、そのアライグマが東京都内の繁華街にも悠然と出現してきていたのには二度びっくりだった。
こんな動物だから、もう日本から排除することは不可能であろう。
写真:新宿三丁目で出会ったアライグマ。 

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新宿にアライグマ への7件のコメント

  1. たじまもり より:

    D3は新たな視点を見せてくれる。gakuさんの予告どおり、さっそくの衝撃写真です。新宿のど真ん中にアライグマ、動かぬ証拠がここにありますね。「あっ!」と声の出た写真です。

  2. ちょっとHN変わったからまずはご挨拶ネ!おいかわ飯店になったアルヨ。ヨロシク。
    以前、パプアニューギニア住んでたアルネ。すごく治安悪く、真夜中に歩いたら強盗にあうネ、D3持ってたら間違いないアル。
    あっ!アライグマの話だったネ!東京のど真ん中に生きているとはびっくりあるネ!すごい写真。アライグマといえば、ラスカル。パプアでは、強盗の事、ラスカル言うアルヨ。
    ポートモレスビーではアライグマは、いないけどラスカルはたくさんいるアルネ!

  3. PS
    先日誕生日で45歳なったアルネ。お祝いに若いオネーちゃんにチューされたり抱きあったり、スケベ中年には、嬉しい一日だったアルヨ。誕生日は、幾つになってもイイアルネW。

  4. stma より:

    深夜の新宿はやっぱり面白いですね。
    ペットショップなどでも様々な愛玩動物を販売していますし、新宿などの繁華街に関わる人間模様などを考えると、そのペット事情なども見えてきますから、こういった現象の背景なども理解できますね。
    繁華街を少し離れた公園や住宅街には、タヌキやハクビシンなども棲息している新宿ですが、こういった在来型の野生種が都市型に適応していく場合と、写真のようなアライグマやフェレット、カミツキガメのような逃亡や放置によるペットの野良化や、繁殖による野生化など、在来種、外来種を問わず、都市型動物の生態も人間社会の形態を含めて、いろいろな角度から観察調査していく必要があるようですね。

  5. gaku より:

    ◆たじまもりさん
    D3は、きちんとした目的意識とカメラ撮影テクニックを持ち合わせているプロには、さすがにいい「道具」となります。
    ◆おいかわ飯店さん
    食中毒を起こさない程度に、オイラにも美味しいパプア食を食わせたおくれヤス。
    ◆stmaさん
    新宿は確かに面白いところだけれど、歌舞伎町の奥まったところはさすがにオイラでもカメラ構えられませんw

  6. より:

    20年程前にカナダのバンクーバーに行ったのですが
    夜になると、かなりの数のアライグマが街を徘徊していました
    もちろん、残飯あさりです
    ですから、日本でもまったく同じですね
    ちなみに、巣箱を架けると良く使いますよ
    (これは、多分面白そう・笑)

  7. gaku より:

    風さん、
    巣箱は面白そうですね。
    そのうちに、全国にアライグマ巣箱が普及したりして。