千葉県の房総半島を走っていたら、とんでもない光景に出会った。
なんと、ドラムカンで畑や住宅をぐるりと囲んであったからだ。
獣害対策だとはすぐにわかったけれど、それにしてもドラムカンでフェンスをつくってしまうとはスゴイ。
あまりにも面白かったので、土手に上ったりして写真を撮っていた。
そんなボクを部屋の中から見ていたのか、家からおじさんが出てきた。
ひと通り撮影がすんでいたから、ボクはおじさんに近づいていって話を聞いてみた。
gaku 『こんにちは、すごいドラムカンですねぇー イノシシ対策ですか?』
おじさん 『誰が家を見ているかと思って出てきてみたけれど、写真を撮っていたのかよぅ。
なーに、これは、俺が勤め先からもらってきて、1本ずつ並べていったのサぁ
軽トラックに8本しか乗らねぇから、何回も運んだぜ
上の畑にあるのもいれると3200本、アルぜぇ』
おじさんは、なかなかに得意気だった。
gaku 『風で倒れてしまわないように、ドラムカンには水を入れてあるのです、ね?』
おじさん 『そうよ、雨が勝手に入っていくから、なぁー』
gaku 『使い終わって片付けるのもタイヘンじゃあ、ないですか?』
おじさん 『なーに、そのうちに腐る、さぁ。片付ける前に、俺が死んじまうし、な。』
gaku 『ドラムカンには、マスク着用とか危なそうな絵を書いてあるけれど、危険物が入っていたんじゃあないですか?』
おじさん 『いやー 大丈夫だと思うよ。危険じゃあ、ない。』
gaku 『イノシシなら、このドラムカンでも大丈夫でしょうが、ニホンジカは飛び越えてしまうんでは…?』
おじさん 『そうよなぁー シカは飛んでくるでなぁ、そういうときにはシカの食べない作物をつくって対応しているさぁー。』
gaku 『シカの食べない作物って、アルんです、か?』
おじさん 『あるある、ヤマイモ…、とかな。』
そう思って畑をみても、ハクサイやら菜類が目立ち、それほど作物対策をしているようすでもなかった。
gaku 『ところで、このような動物による被害はいつころからはじまってるんですか?』
おじさん 『そうよなぁー 20年くらい前から目だってきたなぁー
まあ、昔は嫁さんが家にいてくれて、俺は会社に勤めていたけれど、
最近は嫁さんまで小遣いが欲しいから勤めに出おる。
そのぶん、畑なども手薄になるから、動物たちもどんどんワシらの気を読んで横着になってくるさ、なぁー。
そいで、俺たちも、年とって負けていくんさーね。』
昼間の11時ころだったけれど、おじさんの息は酒臭かった。
定年退職をしてのんびりしているようだったけれど、時間をもてあましているのだろう。
撮影させてもらった礼をいうと、『まあ、また通りかかったら寄ってくれー』といった。
獣害がさかんなころに、もういちどこのドラムカンフェンスを見てみたいとボクは思った。
写真上:ドラムカンがこんなにも並んでいるとさすがに異様だった。
写真中:こんな注意書きがドラムカンに貼ってあったけれど、大丈夫?
写真下:「なに! 俺を写したってしょうがねぇーぞぅ」、そういっておじさんは横を向いてしまった。なかなかに、憎めないおじさん、だった。
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3200÷8=400と言う事は、一年以上は掛かりそうです。それにしても何が入っていたのか不思議なドラム缶ですね。余談ですが最近、世界的に屑鉄が高騰していて植物園の鉄製ネームプレートが盗まれ困っています。
私も、ドラム缶の色を見て、中身が心配になりました。
プリントを見ると、揮発性のある有機毒物臭いですね。
ドラム缶単位で大量に使用するもの?僕の頭に浮かんだのは大型船舶用の船底用塗料ですが、真相はいかに?
それにしてもすごい光景です。いろいろな獣害対策を見てきましたが、この方法ははじめて見ました。