これがほんとうの「蝶ネクタイ」


3日ほど、南アルプス南部へ出かけていた。
一日目は、しらびそ峠に泊まった。
なんと、ここは標高1918mもある高原。それゆえに、なかなかに雄大な南アルプスの風景を眺めることができる。
夕方着いたのだが、ロッジには連休の客が入り、いくつかの明かりが灯っていた。
そういうところに泊まれればいいのだが、ボクは簡易テント泊。
まだ残雪のある高原だけに、冬山用の寝袋が暑くもなく寒くもなくて、心地よく熟睡できた。
朝起きて、ロッジ前のステンレスでできたフクロウの彫刻を見ていたら、喉元にガがとまっているのに気づいた。
ガの色も彫刻に似ており、見事に擬態をしていた。
これを、ほんとうの「蝶ネクタイ」というのだろう、と思った。
少し滑稽だったが、ガの身になって考えてみると、
「昨夜ロッジの明かりに誘われて飛来してしまったにちがいない。
 そこで、朝になり、行き場に困り、フクロウの喉元に貼りついてここで外敵をやりすごそうとしているのだ。」
そこまで気づくと、日ごろボクが言っているところの「光害」を再認識してしまった。
いままで、電気照明なんてなかった高原にいきなりロッジができて明かりを使うようになると、周辺の昆虫たちはかなりかく乱されてしまうからだ。
これから夏に向かうが、照明に誘引され死んでいく昆虫たちが無尽蔵にいることだろう。

こういう虫たちを餌にするであろう野鳥たちの声を聞いたが、まだまだ数種類にすぎなかった。
これから数週間のうちに急激に種類も増えてくるだろうが、テントで眠り耳を澄ませながら野鳥たちの声の分析をすることで周辺に棲む捕食層を知ることができる。
そして、こうした野鳥たちの変化をこの先、10年、20年という単位で耳を澄ませていけば、いろんな動きが見えていくことであろう。
ボクの仕事は、万事がこうやって自分だけのデータを積み重ねてきているから、独自の分析ができるというものだ。
ガや大型昆虫を主食にしているアオバズクとヨタカが伊那谷から激減しているが、これも「光害」が大きく関係しているとボクはみている。
自然観察は目で見るウオッチングも大切だが、耳で聞き分けるリスニングも大切だ。
ボクはこれに「臭い」も加えて、自分の五感に訴えて自然観を養っている。
そのためにも、こういう旅は必要なのだ。
写真上:これがほんとうの蝶ネクタイ。
写真中:標高1918mにある高原ロッジの夕景。自動販売機がここでも夜に主張していた。
(共通データ:Nikon D300 シグマ17-70mm)

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これがほんとうの「蝶ネクタイ」 への8件のコメント

  1. ひよ より:

    私も、若いときはテント担いで山に出かけてましたが
    (今は小屋止まりデス=弱体)
    最近は、バードウォッチングを趣味にしたので
    山に登る途中も、登ってからも全てがフィールド
    鳥見しないときは、夜星空を見て
    山の中でも、人工の光の無い所って本当に少ないです
    地平線見れば、町の方は明らかに明るいので
    ちょっと興ざめ
    鳥見を始めて今度は音が気になります(昼間から)
    どんな所へ行っても耳を澄ませばかすかに車の音が
    深山に入っても飛行機が
    人工の音も光もない広いエリアを用意すれば
    良いスポットになると思いますが
    日本人は、スピーカー付けて案内をやらかすのでしょうなぁ
    PS
    テント泊ですか・・・
    実は昨年、テントとシェラフ買ったのです
    古いのはボロボロでしたから
    前夜に鳥見ポイントに入り、テントで朝を迎え
    夜明けと同時に鳥見しよう!と企んだのですが
    意志が弱いので、実現してません。

  2. 蝶ネクタイのフクロウは、最高ですね。
    僕の職場に虫が良く集まる電柱があり夜になるとさまざまな蛾が集まってきます。朝になると鳥が来てそれを食べているようで、沢山の翅が落ちています。種類を調べると、眼状紋がある蛾の翅も沢山落ちており、自慢の眼状紋は役立たずかと思っていました。しかし、考えてみるとこういった人間のエリアに集まる鳥は学習能力(好奇心旺盛)が高く眼状紋もすぐ見破られるのでは?と考えています。自然の森の中であれば眼状紋ももう少し役に立つのかもしれません。

  3. gaku より:

    ◆ひよさん
    シュラフの下には、風呂用スポンジマット。
    これを敷くと、ほんとうに快適に眠られます。
    ◆おいかわ飯店さん
    「光害」でいちばん潤っている野鳥は、ハクセキレイではないかと思います。
    とにかく、明かりの増加と一緒にこの野鳥は増えてきましたし、横着になってもきましたから。

  4. より:

    信州では晩夏、水銀灯や自動販売機に、大型のガが沢山集まり、昼間あちこちにぼたぼた落ちているのをずいぶん見ました。アオバズク好きなんですが信州ではついに見聞しませんでした(ガの減少のためだったんですね...)。むしろ家の周りにフクロウが多いのが?でした。ヨタカは毎年来てました。ハクセキレイは、車のインタークーラー上やタイヤハウス内にしつこく巣を作るので巣箱をかけてやりましたが利用せず。こいつはログハウスよりコンクリート住宅派か!。これからも勢力拡大するんでしょうね。
    ついでにヤマドリ、キジ、シカ、イノシシ、ノウサギ、ネズミ各種、マムシ、サワガニも多い場所でした。どんな環境かはgakuさんご賢察のとおりです。

  5. より:

    ひよさん
    どこぞの高原のホテルかなんかで、時期は初夏。当然早朝から鳥の声がうるさいくらい。宿泊客がホテルの人に「うるさくて寝られないからスピーカーの音(鳥の声)を止めてくれ!」。実話です。

  6. ひよ より:

    <gakuさん>
    背あてマットに、厚さのある浴室マットは快適そうですね。エアマットは、ぐらぐらして好きじゃないのです。
    パンクして酷い目にあったので、以後は4つくらいに折れる薄いマット使ってました(ザックの中では背あてになる)
    これからは、車で行けるところでテントなので、ガサがあっても、風呂マットが快適ですね。
    <昴さん>
    我が家の庭は、雑木なので結構野鳥が寄ってきます
    4月末からは、なんとウグイスがおっきな声で囀って起こしてくれます
    鳴き真似すると、張り合って鳴くのには笑ってしまいます。
    いつか撮ってやる!でカメラは手元におくのですが未だに姿は見えず

  7. わさびぃ より:

    このような、古い記事に今書き込みするのも、・・ですが。(汗)
    光害のキーワードで思い出しました。夜間石油掘削現場に大量(数百羽)の鳥の死骸が落ちていました。(拾っただけで軽く100はありました。)洋上ですから、渡りの最中(?)ということになるのでしょうか・・・。種類は一切判りません。(無頓着)目に付いたのは、雀くらいの小さいものが大方でした。毎晩の累積数にするとひとつの現場で年間にすると数万羽は被害に逢うことになるのかもしれません。死因ですが、当然見たわけでもないのですが、光に向かってまっしぐらに突っ込んだのか、建造物にぶつかったものか想像の域を出ません。もちろん、誰も気にしていませんでした。私も慣れっこになりました。(当時)
    そのおかげでガソリン車、ディーゼル車、その他いろいろなエネルギーの源を得ているわけです。久々に思い出しました。

  8. gaku より:

    ■わさびぃ さん
    すごい、体験をしていますねぇ。
    洋上の石油掘削現場には、新発見がありそうです。
    いつか、詳しくお聞きしたいものです。