リストラがまねいたもの


昨日、ある会社の社長と話しをしていた。
その社長は、テレビなどで全国CMもやってきている有名な会社である。
ちょうど「汚染米」やら「肉の偽装」などの話題になって、「金の亡者になってもしょうがないなあ」という話しになったところで、
『宮崎さんねぇー 数年前にウチでもリストラをやったんですよ。
 50人ほどの予定が、80人も応募があってねぇー
 まあ、45歳以上から重点的にリストラをやったんですが、
 そうしたら、いまごろになって会社内では不良品はでるし、けが人はでる、ウツの社員もどんどんでてきてしまって、ねぇー。
 会社では、何もしなくてもただ居るだけでいい年配の社員も必要なんですよ、
 若い社員が心のよりどころをなくしてしまったんですわ。
 恥ずかしい、話しですが、ね。』
『おいおい、社長さん、
 そんなハナシは、俺30年も前からニワトリを例にして言ってきていることじゃあないですか。
 たしか、おたくの会社で講演を頼まれたときにも、そんなハナシをしたハズだと思うけれど…、ね。』
最近の話題は世間一般が「環境問題」一辺倒になってきているので、組織も動物から学ばなければならないというこうした話題はボクもちょっと忘れてしまっていた。
しかし、会社がリストラをしたことによって、こんなにも効率が悪くなってしまったと聞けば、やはり動物から学ぶべきところはたくさんあるので、こうした話題をもういちどやっていかなければならない、とも思った。
その昔、ボクはたくさんのニワトリ(チャボ)を庭に放し飼いにしていたことがある。
そのニワトリたちがある年に38羽に増えた。
ボスを中心にして、幹部クラスの雄たちが群れの要となって、ニワトリ群は順調に維持されていた。
そんなニワトリを見ていると、会社でいえば部課長クラスの雄グループが、とにかく喧嘩ばかりをしているではないか。
実は、こうした喧嘩は、群れのなかでの順位確認として必要なことであり、喧嘩を通して体を鍛えていたのだった。
それを知らなかったボクは、あまりにも喧嘩ばかりしている6羽の雄グループをごっそり「焼き鳥」にして食べてしまった。
庭を闊歩しているニワトリだから、肉は最高に美味しいと思っていたし、いつかは「食べる」つもりでいたからだ。
そこで、友人たちを誘って、秋晴れのもと「焼き鳥パーティー」と相成った次第である。
さあ、この直後から、わが家のニワトリ群は元気をなくしてしまった。
群れの要となる壮健な雄グループが強制的にリストラされてしまったので、残ったニワトリたちが心の寄りどこを失ってしまったのだった。
ボスにはボスの仕事があり、それを補佐していた要グループがいなくなると、ボス自身も群れを管理しきれなくなってしまったのである。
こうしたニワトリ群の狼狽ぶりをすかさず読みぬいたのが、近所にすむキツネだった。
キツネは、夜な夜な庭にやってきては、バケツの上とか水道の蛇口の上で眠っているニワトリを襲っていった。
最終的には樹上に寝ていたグループだけが生き残っていったのだが、これとて、早暁に樹上から庭へ舞い降りてきた瞬間を襲った。
そして、最後にはボスとナンバー2の雄が2羽残っただけとなった。
群れを失ってしまった2羽の雄はほんとうにみじめで、雨降りの姿などは見るにたえないものがあった。
やがて、この2羽も、半年くらいのうちにキツネにさらわれて、結局わが家のニワトリ群は全滅したのだった。
写真:最近のわが家の庭には、6羽のニワトリが再びいる。左の雄はマーケットで売られていた「有精卵」から生まれたもの。育ての母は、右端にいるが、マーケット雄は母親をもすでに強姦して群れのボスに君臨している。6羽全体で、雄が1羽だけだが、こういう群れは内部でのいじめが強烈で、ナンバー2の雄が必要なことがよくわかる。
ニワトリを飼育してみるとほんとうに面白く、「ニワトリ物語」が書けるほど、たくさんの発見もある。たかがニワトリされどニワトリで、こんな生き物でも人間にさまざまなことを教えてくれる。これらのニワトリの餌は、わが家の家庭残飯である。ここからでも、人間を含めた「環境」が見えてくるから面白い。

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リストラがまねいたもの への1件のコメント

  1. 僕は、ホンデュラス在住のアマチュア写真家ですが、動物写真というと野生動物をイメージしがちですが、家畜というのも面白い写真の素材だと思います。国によって、家畜と人間のかかわりも変わってきます。僕はこのようなネタが好きですが、今回の記事を拝見しまた別の角度から家畜を見るのも面白いかなと思いました。