南アルプスの泥なめ場


南アルプスには、野生動物たちが集まってくる「泥なめ場」があるといわれている。
その泥には、ミネラル分が豊富に含まれているために、多くの野生動物たちがやってくるのである。
そのような泥なめ場は、たしかに存在する。
これまでにも、何カ所かを教えてもらい観察してきたが、数年のうちに動物たちがなめ尽くして消滅してしまうことが多かった。
そこで、いつか自分の力だけでそのような「泥なめ場」を発見したいと思っていた。
ボクは、これまでにもそうであるが、一から石段を積み上げていくようなことが好きだからである。
そして、目的に向かって完成させていくという、そのプロセス体感がたまらなく楽しいからである。
だから、泥なめ場も人に教わるのではなくて、まったく未知なところから発見したかった。
その「泥なめ場」が、2つ見つかった。
大規模な「泥なめ場」だった。
さっそく無人撮影ロボットカメラを設置した。
これがまた、実におもしろいのである。
まさに、行列のできる「泥なめ場」だったからである。


泥に含まれるミネラル分は、太古の昔に生きた動物たちの死体などがたくさん詰まった場所と考えられる。
南アルプスは2億年前からの造山運動によってできてきた山脈だから、2億年分の生物の「滓」が詰まっているのだ。その滓を現世の動物たちが生きるために必要としているところが神秘的でおもしろい。
しかも現在もなお続いている造山運動によって大地が崩壊し、崩壊することによって「泥なめ場」が出現してくる。
そして、そこにこぞって近隣の野生動物たちが集結してくる神秘さ。
こういうおもしろさに、ボクはものすごく惹かれてしまう。
生命の不思議さをまさに体感できる自分がそこにあるからだ。
だからボクには、自然を賛美するだけの花鳥風月な写真は撮れない。
自分も含めた生命が生きる時間を撮りたいのである。
無人撮影ロボットカメラも、この先あと何年間も設置しつづけて、黙して語らない自然界の妙を記録していくことだろう。
そんなにもして撮影する理由は、自然界の深部までを知ってみたいという好奇心からだけである。
面白いものは、文句なくおもしろいからである。

写真上:南アルプス。
写真中:行列のできる泥なめ場とシカたち。
写真下:なめられた泥の一部。

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南アルプスの泥なめ場 への10件のコメント

  1. たじまもり より:

    >自分も含めた生命が生きる時間を撮りたいのである。
    名言ですね。染み入ります。
    それにしても、すごい写真です。

  2. どぶろく より:

    これも一つのフードチェーンですよね。ああなんと目の眩む永いサイクルでしょうか。しかしgakuさん、これが「プロフェッショナル」の仕事なのでしょうが、ホントにカプセル怪獣は居ないんでせうか。凄い仕事量ですよ。
    話変わって本日ノーベル賞受賞者のニュースをテレビでやってました。ある日本人受賞者は自分を「先生」と呼ばせない。自分の学生時代にもタメだった。その受賞者の学校の伝統で上下関係付けるのはよくないと。私もgakuさんを先生とはお呼びしませんよ。これまでも、これからも。

  3. わさびぃ より:

    泥も水も数億年前のものなんですね・・・そういう考え方した事なかったです。しかも、動物はどうしてまた、泥が必要だと知ってるのでしょうか・・・さすがに味見する勇気もないし・・・。

  4. gaku より:

    ■わさびぃ さん
    人間は、急にラーメンを食いたくなるときってありますよね。
    あれは、骨スープの「燐」を欲しくなるからですよ。
    それと、水場のある山野は空気の匂いがちがいますよね。
    それと同じように、人間を含めた動物たちは体全体にセンサーをもっているからですよ。
    だから、「ミネラル泥」は本能的に分かるのですよ。

  5. わさびぃ より:

    gakuさん、実はせっかくいただいたコメントに対して「意味がわからない」わさびぃです。そこで全文を読み上げて、コメントの意味を妻(という生物)に解釈してもらいました。いわく、「わさびぃこと私は、機械人間なので自然からもっとも遠い、生き物としてはかなり失格な存在なので、理解できない。」が、明らかに「買って来たアイスを食べつくす日」には頭を使い脳みそが必要とする糖分を吸収すべく自然な行動に出ているだろう・・」というコメントが「なるほど・・」とうなずかせたのでした。・・・生命のもつセンサー・・(冷凍庫の香り・・・?)
    ところで、「行列のできる泥舐め場」はラーメン屋に引っ掛けてらしいたんですねぇ・・・(^-^;)

  6. より:

    こんばんは
    これは鉱塩(岩塩)ですね
    鹿やカモシカには必須要素で、ウサギ・タヌキ・キツネなども舐めにきます
    場所は書けませんが、ある地域には、たくさんありますね

  7. わさびぃ より:

    風さん、こんばんわ。
    つまり、「とんこつ塩味」なわけですね・・・。
    味の想像がついて一安心しました。

  8. gaku より:

    ■わさびぃ さん
    単純明快なヒントをお出しします。
    インスタントラーメンなどに「アミノ酸」配合とありますね。
    あのアミノ酸は、生物が生きるための必須蛋白源です。
    そのアミノ酸をどのようにして「採って」いるかと申しますと、人間の髪の毛からがいちばん効率がいいのですよ。
    ですから、つい最近までは伊那谷の床屋さんにも髪の毛を「買い」にきていた業者さんがいましたよ。
    それが、最近では海外の髪の毛になっているのですよ。それも、人口過密の国…
    もう、これ以上ここでは具体的に書けません、が。
    いわば、アミノ酸は発展途上国の民の髪の毛が原料と思っていいのです。
    ありがたくいただきましょう、アミノ酸入りのアイスクリーム、も。

  9. わさびぃ より:

    今夜は、ちょっとやめときますね。
    アイスクリームは・・・・。

  10. どぶろく より:

    アミノ酸等の表示は食品添加物化学調味料が添加されていることをしめします。アミノ酸類は天然食品から摂取できます(だから化学調味料は無用)。なぜか化学合成品は様々な人体へ様々な害を引き起こします。味覚障害、頭痛、手足の痺れなど。また神経興奮毒であり、最近の若者がキレやすいのはジャンクフード、インスタント麺、コンビニ弁当などにより化学調味料過剰摂取が原因ともいわれます。アメリカで中華料理店が化学調味料を過剰に使用したため上述の健康被害が問題となったチャイナレストランシンドロームは余りに有名です。アミノ酸類はタンパク質を組成しています。逆にタンパク質を分解するとアミノ酸類(うまみ成分)になります。コンブのうまみはL-グルタミン酸ナトリウム(○の素)、肉魚からはイノシン酸、シイタケからはグアニル酸など。
    ○の素は「サトウキビから」などとTVCMされていますが様々な製造法があり、木くずや石油からも造られます。石油○の素に対する外部からの発ガン性指摘にメーカーは無回答のまま、工場を閉鎖しました。食品メーカが化学調味料を多量にぶちこむ理由は2つ。低品質な素材のうまみ不足を誤魔化すため(コストダウン、金儲け)、入れた方が売れるから(安い。また化学調味料は麻薬のように中毒的にとりたくなる)。あ、もう一つ「入れないと売れないから」。これが巨大食品メーカに味覚教育された消費者の悲しい現実です。