夜景を計算にいれている野生動物たち


3月3日、桃の節句だというのに雪が降った。
いや、この時期に、雪はけっこう降るものだ。
1月、2月と、あまりにも暖かい日が続いたので、話題がないのかテレビなどでは東京に雪が降ったことをいっせいに報じていた。
ある民放では、東京の雪を実況中継までしていた。
雪が、そんなに嬉しいのか、困るのか…?
雪の中、昨夜は近所の高原地帯を見てまわった。
温泉地などには、ナトリウム灯などが建物や駐車場をライトアップしている。
このような照明は私たち人間が住みやすい環境を求めて設置してきているものであるが、多くの野生動物たちに影響をもたらしていることも事実だ。
そのことを含めて「光害」をテーマに、ボクは仕事を進めている。
だから、雪の夜でもカメラをもって高原地帯を徘徊しているのだ。
ムササビやタヌキ、キツネ、ツキノワグマ…
彼らの視線で、これら「人工光」を見てみたらどうなるか…?
もう、すべての野生動物たちは、このようなライトアップを学習して自分たちの生活に取り入れていることは確かだ。
私たち人間は、自分たちで作りあげた環境にはすぐに順応するが、まさか動物たちまで影響を受けているなんてまったく意識にないだろう。
野生動物たちはこうした明かりをちゃっかり計算にいれて、実は、したたかに大胆になりながら、現代人を逆に観察しながら盲点をついてきているのも事実だからである。
その証拠に、あらゆる野生動物たちが横着になって、私たちの懐深くまで攻め込んできていることからでもわかる。

実際に撮影中にも、駐車場の脇をすり抜けるキツネの足跡があった。
雪の降り按配からみても、その足跡は数分のタイムラグだけだった。
たぶん、キツネはボクの気配を察知して逃げていったのだろう。
そんなキツネの存在に気づいたのはボクだけであり、温泉客の誰一人ここに野生のキツネがいたことも想像できない。
そうした、現代人と野生動物たちの心のギャップを探るのが面白いから、ボクは雪の中を出歩いたのだが、収穫は確かにあった。

写真上:高原の観光スポットを照らす照明が公園や林の奥深くまで浸透していく。
写真中:キツネが足早に歩いていった足跡が、くっきり。
写真下:観光地だから山小屋風のトイレまで輝いている。左には、鳥獣保護区の標識。

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夜景を計算にいれている野生動物たち への6件のコメント

  1. わさびぃ より:

    雪の上歩いてる動物は、どうしてはだしでも平気なのか、常々不思議です。自分は、ちょっぴり濡れても冷たくてしょうがないというのに。
    感じないわけではないですよね?

  2. どぶろく より:

    お雛祭りですね。
    江戸前では寒ブナ釣りの時期なんですが、釣れないだこれが。
    ♪きょーは釣れないヒマな釣り。

  3. イッシー より:

    ボクが不思議に思っているのは、動物の目が夜光ることです。目から赤外線でも出しているのでしょうか。それとも、別の光でも出しているのでしょうか。それを知りたいと思いながら、ついに歳をとってしまいました。

  4. どぶろく より:

    「猫の眼はなぜ光る」で検索できます。余談ですが人間の眼も緑内障になると「猫眼症」といって光るそうです。

  5. これだけ明るくなって、100年も経っていないのですね。ある生き物は、上手く利用し、あるものは、悪影響を受けている。これからどうなっていくのか興味もでてきますね。
    もう一つ、夜の闇は、恐ろしいものだったのですが、その神秘性もなくなってしまいましたね。その恐怖心というのが、一番の環境保護だったんだと思うのですが。

  6. gaku より:

    おいかわさん、いいお話ですね。
    「夜の闇」って、人間を含めたあらゆる生物の五感を養うには必要なことだと思います。
    現代人は、こうして闇夜を征服したつもりになって傲慢になってしまいました。