夕方の6時8分前後になると、テンが必ず飛び越えていく倒木がある。
毎日、勤勉に「けもの道」を出勤してきているからだ。
そんな場所をみつけて、ならば、ジャンプした瞬間を写真に撮れないものか、と思った。
できれば、空中に浮いている写真。
このような写真は、以前にリスで成功させているから、テンでも必ずできると考えた。
そして、1ヶ月。
幾多の試行錯誤を繰り返して、ようやく撮影することができた。
プロでも、けっこう時間がかかってしまった。
これには、カメラ機材がもつそれぞれの特徴をつかむまでの「時間」、だったからだ。
使用機材は、ニコンD3、D2x、D80、D70s。
見た目はみんな同じような一眼レフデジタルカメラだが、中身がぜんぜん違うからである。
要するに、シャッタータイムラグというものが、各機種によってみんな違うからだ。
まさに、0.01秒を争う撮影なのである。
センサーを精巧に調節して、テンが空中にきたところで確実にシャッターが切れるようにしてみた。
その結果、すべてのカメラのシャッターは作動するのであるが、テンのスピードにシャッタータイムラグがどれだけついていけるか、ということである。
ニコンD3とD2xは、0.037秒。
D80とD70sだと、0.080秒。
これだけで、すでに、0.043秒の差がある。
実は、この差が画面構成をするときには大きかったのである。
D3、D2xでは、確実にテンが画面内に収まるのだが、D80だと0.043秒の差が遅すぎて、テンの顔が切れてしまうからだ。
D70sに関しては、さらにD80より起動時間が0.02秒遅れるから、テンは同じ狙い方をすれば尻尾すら写らないこともあった。
カメラ機材は、高価なものであるが、高い機材にはそれなりに内部メカニカルにも技術開発が注がれているということである。
それを、安価な機材で超高度な作品を求めることは基本的に無理があるわけであって、撮影する目的に合わせて適材適所の機種を選択しなければならないからだ。
伊達にいろんなメーカーがいろんな機種を出しているわけではなく、それらの機種をどう使い切っていくかという機材選択眼が撮影者には求められるからである。
とはいっても、D70sがこのような撮影ではいくら遅いといっても、第二世代ともいえるこの機種に迫る起動時間も達成できてないメーカーや機種がいまだにたくさんあることに、まずは気づくことが先決なのである。
写真上:テンが空を跳んだ。
写真下:機種と起動時間、シャッタータイムラグの違いがこの3点でよくわかる。
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目がテンに。。。
D2Xで撮れていたものがD90になると撮れないという場面、普段の撮影でも経験します。自動撮影ではよりシビアに効いてきますね。
凄い!凄い!
テンの飛翔。こんなの撮ろうと言う意気込みが こんな素晴らしい写真になったのですね。テンって身軽ですね。
1000分の1秒単位で、センサーを調整し、タイムラグを計測するのですね。
ぶっ飛んでます。
凄いな~、これぞプロの技!
gakuさんの自信が伺えます
しなやかさ圧巻!!です。
(ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ-凄いですね!
やはり、素早いジャンプを撮るには、それなりの機材が必要なんですね。
出来るだけ、安価な機材で済まそうと思っていた僕のさもしい?心が、ぶっ飛びました。。。
てっちゃんと同じく・・・。
普通、この瞬間をその場にいないで撮れるなんて思わないです。
まず決まった時間にテンがいつもここを飛ぶって事を知ることが出来ないですよね。
日頃の努力は無駄にはならないし、努力は実を結ぶと言うことが良くわかりました。
感動です。
ちゃかめさんのおっしゃる通りで、機材以前の段階でほとんど勝負がついてますね。
誰もスタート地点にすら立てませんよ。
拡大してみると、こう、足が「ハ」の字で、胴長の選手がスキーのジャンプしてるみたい。気持ち良いんだろうなぁ・・・