母の日


いまから50年前のボクは、10歳だった。
クリスマスがやってくると、にわかにクリスマスイブなどとラジオが騒ぎはじめた時代だった。
だから、10歳のボクは母親にクリスマスケーキを食べたい、とせがんだ。
母親もそんなボクの夢をかなえようと、たぶん村中のお店を探したにちがいない。
だけど、洋菓子なんてどこにも売ってない時代だった。
そこで、母親は饅頭を買ってきてくれた。
「マナブ、ほれ、これがクリスマスケーキだぞ!」
そういって、新聞紙に包まれた饅頭をどさりとちゃぶ台に置いた。
目を輝かせて開くも、そこにはケーキでなく、「饅頭」があった。
「かあちゃん、これは饅頭じゃあないか?」
「そうーよ、クリスマスは西洋の祭りじゃから、ここは日本なので饅頭でいいのだ」
ボクは、かなりショックを受けたけれど、それもそうだとナットクしたことを覚えている。
母親は、そんな機転の利くヒトだった。
その母も、92歳。
3日遅れのカーネーションとリンゴパイと血圧計を持って、昨夜顔を見に行ってきた。
まだ、まったくボケてはいないし、普通に世間話もできる。
帰り際には、米をひとつかみ、駄菓子をどっさり、持たせてくれた。
今年、還暦を迎えるボクなのに、母親にとってはいつまでも10歳のままの息子、なのであろう。
ならば、甘えるのがいちばんの親孝行になるのかもしれない。
写真:母の日には、東京都内でピンク色した熱のありそうな豚を撮影していた。

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母の日 への4件のコメント

  1. 豚さんは怖いです! この色だ38℃はありそう・・・
    お母さま、お元気で嬉しいですね。
    そう、幾つになっても子どもは子どもなんですよね。
    好物なんかもしっかり覚えていらっしゃるでしょう?

  2. カーネーションを栽培していたことがあります。ダサイ花らしく年々人気が下がり、年に一度の母の日すら値段がたいして上がらないようになりいい思い出がありませんW。
    東京の一連のスナップ冴えてますね。今日は僕も身を入れて写真を頑張ってきました。

  3. どぶろく より:

    最近すっかりジームンク・フロイトです。
    僕には3つ年上の姉と年子の弟が居ます。当たり前の事ですが幼少時よりの家庭環境は個人の性格に強い影響を与えます。私はシスターコンプレックスと強度の逆マザコンを自覚しています。弟はマザコンです。幼児期から母の愛情はほぼ弟に注がれ僕は邪険に扱われました。早々に僕は母からの愛情を諦めやがて無関心を通り越し、拒絶・反発するに至りました(完全なトラウマで自己中な考えでないことはかかりつけの精神科医も認めている)。この為独立心が強く、社会人になると直ぐに家を出ました。
    「赤貧なのにまともに育ててくれたんだから」と姉は言います。まあグチ云いだしたら切りがないのですが、何にしても母とぶつかってしまう私に出来る唯一の母孝行は、普通の人生を全うすること(既に踏み外しているが)。甘えるのは弟に任せるとして。
    gakuさんのお母様が御健在なのは何よりですよね。息子の還暦祝ができるなんて、さぞお喜びかと。やわらかあたまでおられることはこれまでもうかがっておりますが、この饅頭話に至っては強引。いや、茶目っ気すら感じてしまいます。

  4. gaku より:

    ■森のどんぐり屋さん
    ピンクの豚には驚きました。
    はじめは、トンカツ屋さんかと思いましたが…
    ■飯店さん
    そうですか、カーネーションは人気がないのですね。
    だから、数本しかありませんでした。
    それにバラとかいろいろな花を足して、届けましたよ。
    ■どぶろくさん
    ゆっくり、マイペースの人生ですよ。