先日、ボクが仕掛けたライブカメラ用の巣箱でテンが休憩していった。
巣箱は、4年前に、ムササビ用に仕掛けたものだ。
その巣箱に、ムササビが入居して子育てもしたことがある。
そこに、今回はテンが休んでいったのだから、新たな発見である。
巣箱には、内部をモニターできるようにカメラが仕込まれている。
しかも、そのカメラは常時監視しているなかでも、ちょっとした動きの変化があると、すかさず記録に留められるようにもなっている。
だから、モニター画面に常時張り付いていなくても、記録された映像をチェックするだけで動きもわかるという効率性も仕込まれている。
その記録にテンがチェックされ、なんと夜の8時ころから朝の4時ころまで、巣箱内でぐっすり眠っていったのである。
これはひとつの事件ではないかと、ボクはそう思っている。
テンが寝ていたところは、ムササビが巣材として持ち込んだスギの皮の上。
いわゆる、ムササビの布団をテンがちゃっかり使っていったというワケである。
この布団には、ムササビのノミや寄生虫などもいることだろう。
そこに、テンが長時間にわたって寝ていったのだから、テンにも寄生した可能性がある。
とにかく、このようなちょっとした行動ひとつにしても、私たちはほとんど観察していないし、知る機会も少ない。
だから、自然界を語るには、ほんとうに自分たちの都合のよい「想像」だけがまことしやかに語られ続けていることがいかに多いことか。
また、裏を返せば、野生動物から野鳥、昆虫、細菌にいたるまで、このようなちょっとした動きが絶えず自然界では起きているといっても過言ではない。
そのくらい、私たち現代人は自然界に関心も示さず知らないまま、日々能天気に生きているかということでもある。
そんな、ちょっとした自然界からのサインをボクは知りたくて、このような巣箱を設置しているのである。
この巣箱には、ムササビはもちろんのこと、アオゲラやミソサザイ、ヤマネやスズメバチなども遊びにきたことがある。
地上6mに巣箱はあるが、その高さなどもいろんな意味をボクにこれまで教えてくれた。
このような巣箱が、あと2つある。
こうして、「黙して語らない自然界」を少しでも見て、知っていくことが、ボクの求めている自然観だからである。
そして、昨夜もテンが一瞬であるが、巣箱内に入ったことが記録されていた。
写真上、中:巣箱内で眠るテン。
写真下:テンのおまけ画像
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こんばんは。
ふと疑問に思ったのですが、テンが寝ていた時間、そんなはずは無いと思うのですが間違っていませんか?
テンは夜行性のはずです。
猟場で会ったヤツも、巣穴の前の岩の上でウトウトしてました(担当外なので獲ってません、悪しからず)。
もし夜寝てたなら、たしかに事件ですね‥。
まあ、なにか理由があるのでしょうが。
それから以前記事にされていたドロ舐め場、師匠に場所を聞いていたので、先日見学に行きました。
なるほど参考になりました、今までてっきりヌタ場の類だと思ってました。
ちなみに舐めてみたのですが、塩味はしなかったですね、私の味覚では。
あと、草食獣&肉食獣、すでに買わせて頂いております。
今度は猪についても出してくださいね、また期待しております。
宜しくお願いします。
>テンは夜行性のはずです。
4-5月のテンは、けっこう昼間も行動するんですよ。
なので、夜間にぐっすり眠っている姿を見て、
「昼間張りきりすぎたんだなぁー」と思いました。
>ちなみに舐めてみたのですが、塩味はしなかったですね、私の味覚では。
確かに、塩味はないですよ。
「岩塩」という人がいますが、泥嘗めは塩とは別物、です。
>草食獣&肉食獣、すでに買わせて頂いております。
ありがとうございます。
>今度は猪についても出してくださいね、
ハイ、いろいろと構想は練っておりますので。
ちょっとおじゃまします。
1980年代半ばに放映された「NHK特集:一瞬の野生」主演:宮崎学では、昼間、gakuさんの「観察小屋」に冬毛のテンが訪れるシーンが写ってます。それから、あのフクロウが昼間にも狩りをすることも、確かgakuさんが発信されていたかと。
「通説や人の言うことを参考にはするが、信用はしない」と云うgakuさんのポリシーは正に「百聞は一見に如かず」。だからフィールドワークは止められない。だからフィールドワークをなかなか出来ない一般人にとってgakuさんの仕事は有り難い。
ちなみに前出の番組中gakuさんは(みんなが見たことが無い世界を)「…じゃあボクが、見て来てあげる。そんな気持ちで、やり始めたんですよ」。
これにつきます。
どぶろくさん
的確なコメントありがとう。
今回は、悪酔いしてないね!?