時代からのメッセージ


昨年の暮れには、理論社から「かわりゆく環境 日本生き物レポート」全4冊が完結した。
今年の3月には、偕成社から「森の写真動物記」全8冊も完結した。
どちらも、写真家宮崎学からのメッセージである。
思い返せば、写真をやりはじめて40年の歳月が流れた。
長いようでもあるが、短い40年でもあった。
この間、ボクは一貫して写真とは「視覚言語」であると考えてきた。
一枚の写真に、どれだけの言葉を埋め込められるか。
一枚の写真に、原稿用紙何枚の言葉が紡ぎだせるか。
そんなことを考えて、いつも写真を撮ってきた。
だから、対象物をじっくり見つめ、何が写っているのかを考えて、撮ってきた。
「黙して語らない自然界」のちょっとしたサインを読み解くには、やっぱり自然と語らなければ読めないと考えてやっている。
だから、ハクチョウやタンチョウやニホンザルが餌付けをされて「保護区」といわれているような、そこへ行けば誰でもが対象物を必ず撮影できる場所にはなるべく出かけないようにしてきた。
それよりも、探せばどこにでも生息しているハズの生物の存在を予測して、彼らの生活痕のサインをコツコツと探り出し、出会えるまでのプロセスを楽しみながら、対象物に迫っていくという方法を大切にしてきた。
このような方法論をとれば、絶対に日本の自然の奥深いところまできちんと見届けることができると考えたからである。
そんな40年のプロセスのなかから、今回このような出版物が完結したのである。
だから、これらには、ボクからのかなりのメッセージが込められている。
いわゆる、人まねでない、現在の時代から次世代に向けて、私たち人間が自然界へどう対峙していけばいいのかというメッセージである。
要するに、自然界のいいところだけを花鳥風月的に見つめ美辞麗句で賛美するような写真ではなく、摂理に則った本質に迫る見方でまとめたものである。

まあ、このような写真を理解するには、自然界のことをかなり分かっていないと難しいかもしれない。
しかし、いつまでも花鳥風月的な視点で自然界を甘く見つめていてはダメなので、あえてこのような出版物を著したまでだ。
だから、ボクはこれまでにも、いつも新しい視点に挑戦しているし、そのような出版物を心がけている。
なので、もうすでに、新しい次なる出版物の構想や実践にも入っているから、これらの全集はいまの時代からのボクからのメッセージだと思っていいただければいい。
だから、出版してしまえば、自分にとっては過去のものである。
しかし、数十年たって、いろんな人と出会ったり、講演先などで「あの本を買いそびれたけれど入手できないですか?」と聞かれるのは辛いものがある。
それだけボクは日々進化しているのだから、出版したら「昔の名前で出ています」というようなワケにはいかないので、買ってしまって欲しい。
でないと、あとは、あの世の閻魔さまの土産になるだけだからである。

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時代からのメッセージ への2件のコメント

  1. ブリスパ より:

    お疲れ様です。
    見応えがありそうですね。
    こういった集大成化されたものは、是非、図書館とかに置いておくべきだと思います。
    お金が自由に使えない子供のために…
    「少し難しいかも知れない」と言われていますが、ポケットの大きな子供たちに期待しましょう。
    その時にはわからなくても、実際に目にして「あの時のあれか!」と思い出してくれる、そんな頼もしい子供たちがきっといるはずですから。

  2. gaku より:

    ■ブリスパさん
    理論社と偕成社の12冊で24000円です。
    税別ですが、ビール節約してぜひ買ってください、ね。