獣害を考える 3 「イノシシ」


「春苦く、夏酸っぱく、秋甘く、冬そして脂」
これは、四季を乗り切る哺乳動物が季節を追って摂取しなければならない食べ物だ。
なので、春には山菜などアクの強い食物が美味しいのは、冬に消費しそこなった体の脂をアクが抜いてくれるからだ。
だから、春には体が山菜を欲しくなるのだ。
これは、クマをはじめ、シカやイノシシ、サルなど大型の哺乳動物の嗜好を見てもわかることだ。
いわゆる「旬を食べろ」ということである。
なので、ボクも、春になればフキノトウにはじまり、いろんな山菜を体が求めてくる。
そして、避けて通れないのが「タケノコ」。
タケノコは、ほんとうに美味しい。
だから、毎年楽しみに待っているのだが、初物はほとんどがイノシシに食べられてしまってお終い。
とにかく、ここ10年ばかりは、連戦連敗を記録している。

しかも、イノシシは年々タケノコ堀りが上手になっていく。
昔のイノシシはタケノコが地上に頭を出さないと見つけられなかったが、ここ3年ばかりで土中にあるものを確実に堀当てる術を身につけている。
30年前には、イノシシ自体が少なく、タケノコなんてまったく食害されなかったのに、ここ10年余では年々その傍若無人ぶりも激しくなってきているからだ。
なので、昨年は一計を案じて、竹林にラジオを24時間体制でかけ続けてみた。
そして、イノシシの目線となるところに、荷造り用のビニールテープをゆらりゆらりと揺れるように張ってみた。
イノシシは、新しいものには警戒する習性があるから、彼らが体験したことのないモノを竹やぶに設置してみたのだった。
これで、初物のタケノコはダメだったが、3番物くらいから食べられるようになった。
そこで、今年も同じ作戦をとってみた。
しかし、あっという間に見破られて、初物も2番、3番物までイノシシに持っていかれてしまった。
では、イノシシをモデルにしてしまえとばかりに、カメラを設置して、強力ストロボを浴びせることにしてみた。
さらには、何箇所かにセンサーを張り巡らし、そのセンサーにイノシシがキャッチされると、防犯ブザーがけたたましく鳴るようにも設置してみた。
結果は、上出来だった。
イノシシはえらく警戒するようになり、念願のタケノコをボクは譲ってもらうことができた。
これでボクも今春は、タケノコをたらふく食べることができた。

今年もこうして、やっとイノシシに勝ったんだけれど、初物を奪われたので「勝った」とはいえない。
そして、イノシシは年々学習能力を身につけ、したたかになっていくのだから、この作戦もさらなる工夫がいることと思う。
少なくも野生動物の心理を知っているボクがこれほど苦戦をするのだから、一般の人はまず太刀打ちできないだろう。
イノシシは「ノミの心臓」をもっているのだが、いざ警戒に及ばずと悟ればきわめて大胆不敵になるのが特徴だ。
ここ数年の推移をみても、イノシシの数は急激に増加し続けているので、獣害もますます増加していくにちがいない。
ならば、イノシシ肉をもっと安価に消費できる方法を考えていく必要がある。

写真上から
1)顔を出してきたタケノコ。
2)深夜2時42分に、土中のタケノコを探るイノシシ。
3)今年のタケノコ収穫とフキとの煮込み料理、これが美味い。
4)イノシシ肉は「山の幸」との位置づけをしてどんどん消費したほうがいい。

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獣害を考える 3 「イノシシ」 への3件のコメント

  1. 千草 より:

    あちらの学習能力がすごい?]
    本能プラス技術職プラス学習その他?
    その勢い どこかの国の国会とやらに入れたらどうなる?
    破竹の勢いを襲う猪突猛進!

  2. どぶろく より:

    僕の家は横浜ですが、春には親戚筋からタケノコが毎週運びこまれます。母の料理は僕の口には合わないので、自分でだしベースで料理します。
    アクは灰汁とも書きますね。灰汁は木や藁の灰を水に溶かし込んだアルカリ性の溶液ですが、山菜のアクと灰汁は別物なんです。例えばワラビは灰汁でアク抜きしますが、これはおそらく灰汁のアルカリでアクを中和するんでしょう。アクとはシュウ酸(ホウレンソウ等に含有)他らしいです。こいつらは渋味、強くなると苦味になります。灰汁は古くから洗濯に使われ(アルカリには洗浄作用がある)、江戸時代はかまどの灰は売り物だった。
    インドのガンジス川では、河川敷で火葬してできる天然の石けん成分(人肉の脂と灰が反応してできる脂肪酸カリウム)を使って洗濯業を営む人達がいるそうです。

  3. どぶろく より:

    訂正します。
    中和作用ではなく、例えばシュウ酸に灰汁のミネラルを反応させ、シュウ酸カルシウムと云った、水に溶けない状態とし、舌に感じられなくするようです。干し柿と似た原理ですね。