がんばれウリ坊


どしゃぶりの16時ころ、近所の林道に用事があってでかけた。
林道へ入る前の舗装道路で、いきなりウリ坊が逃げて行った。
「おや、ウリ坊だ。1匹だけということは、親が先に逃げて、最後の一匹なのだ、な?」
そう思ったが、それにしても親がいればそれなりの行動も見えるハズなので、このようすはひょっとしたら親にはぐれた個体なのかもしれない、とも思った。
まあ、先を急いでいるし、もう二度とこのウリ坊には会うこともなかろう、と思ったのであまり気にもとめなかった。
15分ほどして戻り、同じ場所に差しかかかると、また同じウリ坊が道路を横切って藪に身を隠した。
この2度の出会いで、これは何かあるとボクは直感した。
そこで、車をバックさせて路肩へ停めて様子をみてみることにした。
カメラを出し、雨が降っているが、助手席のウインドーをいっぱい下げて、エンジンを切り、静かに車内で待ってみた。
3分もしないうちに、ウリ坊が出てきた。
ウリ坊は1匹だけで、20mほどのところにあるボクの車を警戒することなく道路を横断して、餌を食べていたであろう道路際の泥土に向かった。
同じ場所にかなり執着しているし、車が通っても一瞬だけ藪に身を隠すあたりがおかしいと思っていたが、このウリ坊はまちがいなく孤児だったのである。
母親が死んだのか、家族とはぐれてしまったのか。
とにかく、一匹だけで行動をしていたのである。

体重は、4-5kg。
まだ、母親のミルクが必要なほどの大きさのウリ坊だった。
そのウリ坊が、独りだけで生きていることのほうが異常であるが、このような個体はたぶん一年以内に死を迎えることは目に見えている。
自然界には福祉や病院などあるハズもないので、このウリ坊を見つけても何もしてあげることはできない。
いや、してはいけないのである。
そう思いながら1時間ばかり、ウリ坊の行動を観察してみた。
草の生えた泥濘地で、さかんに泥土を鼻で掘り起こしながら、くちゃくちゃとなにやら食べている。
ときどき周囲を警戒もするが、黙々と餌さがしをしていた。
しかし、その動作はスキだらけだった。
これなら、クマタカやイヌワシがカンタンに餌食としてさらっていく、だろう。
それが自然界なのであって、さらわれるほどのしあわせはないので、それでいいと思った。
っと、そうは思いつつ、このウリ坊の今後が気になるし、まだ出会えるチャンスがあるのではないかとも思っている。
がんばれ、ウリ坊。

写真上から:
1、道路を横断するウリ坊。
2、このあどけなさには心がいたむが、こんなウリ坊でも手を差しのべれば猛烈に噛みついてくるから大怪我もする。
3、車が来た、それ逃げろ。。

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がんばれウリ坊 への4件のコメント

  1. あーる より:

    自然の中で動物や昆虫たちが自分のハンディを静かに受容して、ただただ生きて行こうとする姿を日々目にして、深く感心する毎日です。
    生活は闘いだ。との思いはなかなか町の暮らしでは実感できませんでした。
    ネコなら拾って来てしまうのに。
    小さいから胸も痛むけれど、それもまた自然のなりゆきなんですね。
    せめて頑張れ、できるだけ。

  2. ブリスパ より:

    子供…特に哺乳類の子供はかわいいです。
    瓜坊、残念だけど、やっぱりどうもしてやれないです。
    人間の感覚も面白いですよね。
    子供はかわいいとか言いつつ、大人の肉はうまいのうまくないの言ってるわけですから。
    待てよ…かわいい肉も非常にうまい(汗)…

  3. 北の狩人 より:

    猟師としても複雑な物がありますね。
    今北海道はエゾシカが増えて、ここでも年間を通じて駆除が行われています。
    しかし、私は3月から8月までの期間シカを撃ちません。
    何故かというと、3月はすでにメスジカには胎児が居てその大きさはこぶし大2つ位で、それを見てからは撃つ気にならなくなった。
    5月頃から出産が始まり8月位までは母ジカが居なくなれば子ジカは生きて行けないと思い撃たないのです。
    でも、8月からは・・・・
    複雑ですね(笑

  4. gaku より:

    野生の姿を奥深くまで見届けていくと、小さな生命にも人間がどこまで介入していいのかということをよく思います。
    傷ついたり、親にはぐれた個体を助けて「自然に返す」ことは、一見キレイごとに見えますが、やはり彼らは自然界に戻った時点ですぐに「さらわれて」いく生命です。
    人間が手助けしたなら、それらの個体は繁殖用とか研究用に使うのならともかく、それができなにのならそっと「元気で、頑張れ…」というのがいちばん自然なのだと、ボクは思っています。