「おぉーーい、キミさんやぁー これをgakuさんのとこへ届けてくれんか、なぁー
マムシだけれど、これ渡せば、gakuさんのことだから処置知っているから、頼むにぃー
一匹は生きているでなぁー 取り扱いを気ぃーつけてなぁー 」
隣の、そのまたとなりの、さらに隣のとなりの静岡県境の小さな過疎の村の知り合いの村会議員から、2匹のマムシを預かってきたのは義妹だった。
村の中学校で教員をしている義妹だから、小さな村の村会議員の頼みを聞かないわけにはいかない。
「gakuさんねぇー こんなマムシの運び屋なんて、私まっぴらゴメンだからね。
マムシが車の中に逃げ出したら、どうするのぅー?
タダでは、済まないんだよぅーー」
義妹の顔は青ざめて、引きつって、いた。
「悪い、わるいなぁー
確かに、マムシは生きているから、逃げ出したら危険だよなぁーー
よくもまぁー ここまで我慢して運んできてくれてアリガト、ねぇー」
そういいつつ、オイラも一瞬思惑顔。
生きたマムシを運ばされる身にもなってみれば、それはそれは迷惑なコトだ。
村会議員は、そんなこと構ってはいない。
ただ、ボクが喜ぶと思ってのこと、だ。
こんな心が、田舎にあっては嬉しいし、村会議員の精一杯の感謝の気持ちが表れていて、田舎ではこんなこと阿吽の呼吸だからである。
2匹のマムシは、一匹は焼酎漬けになっていた。
もう一匹は、生きているから焼酎漬けにするもよし、焼いて食べるもよし、と村会議員が思ってのことだろう。
マムシの焼酎漬けは、民間療法の名残りなのか、田舎ではとても貴重品扱いをされてきている。
打ち身、捻挫、傷…など、万能薬として信奉されてきている、からだ。
なので、マムシの焼酎漬けは、各家庭に1本は常備されているのが普通と考えられている。
しかし、万能薬であるハズのマムシの「焼酎漬け」は、どの家庭でも使われずにいわば「戸棚の肥やし」になってもいる。
これは、やはり貴重品なのだから、めったなことでは使いたくないという心の表れなのだからであろう。
こうして、いっぺんに2匹ものマムシが届いたのだから、出来あがっている焼酎漬けはそのまま保存しておくとして、生きたマムシは焼いて食うべき、か?
「土用の丑」がきたことだから、ウナギの代わりに明日はマムシの黒焼き、でいこう。
元気がでれば、その結果を村会議員に報告しなければならない。
元気が出すぎても困るけれど、こうして生きたマムシを見ると、どこにでも潜んでいるものであるから、最近はゴム長靴もはかずにスニーカーのまま山歩きをしてしまっている自分の油断を反省するのだった。
自然の豊かなところには、マムシもスズメバチもツキノワグマも普通にセットになっているのが現実、だからである。
写真上:マムシの目は、いつであっても冷たく決して油断してはならない光を放っている。
写真下:2匹のマムシを、さあどうするか…?
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最近疲れ気味です…。マムシ酒が必要かもしれません。
マムシ酒が必要なら、あげますよ。
ユン○ルより、効果があるかも…?