台風一過


18号台風が上陸する寸前まで、ボクは愛知県の三河湾にいた。
雨足が激しくなったし、台風の進路を知れば、ここは退散したほうがいいと思い帰ってきた。
その台風が、なんと三河湾に上陸して、伊那谷をモロ通過していったのだった。
台風の通過するころは、ボクはぐっすり眠っていたので強烈さはまったく分からなかった。
朝起きてみれば、けっこう風もあったが、雨は上がっていた。
外へ出てみれば、畑のトマト柵が倒れていた。
サツマイモは大丈夫だったし、ニワトリ小屋も大丈夫だった。
被害といえば、トマトくらい、だった。


そんなところへ、知り合いのリンゴ園の息子から電話がきた。
「おじさーん、台風にやられました
 リンゴがかなり落ちてしまいました、
 畑に埋めてしまうから、要るんだったら、拾いにきて~~」
息子のオヤジは、幼なじみで同級生。
なので、息子とも赤ん坊の頃からずっと知った仲。
24歳で、農業を一生懸命に継ごうと頑張っているとてもいい青年だ。
「よーっし、じゃあ、オレこれから行くからなぁー」
そういって、電話を切り、リンゴ園までの道のりを車で30分間飛ばす。

「陽光」というリンゴが、かなり落ちていた。
コンテナにして、20~30個分。
贈答用りんご箱にすれば、150箱分くらいだろうか。
収穫目前にして、無残な姿に声を失った。
息子もかなり落胆していたが、自然災害のことだから仕方がないと言っていた。
「欲しい人がいたら、全部タダであげるから、持っていってください。
 地方発送までは、手間や運賃を考えればできないから、あと2日くらいでこのリンゴはみんな砕いて畑の肥料にしてしまいます」
そういって、息子は忙しく次の仕事をしていた。
「まあ、自然と向き合って仕事をしているのだから、100パーセントすべてに売り上げを期待してはいけないんだよなぁー
 50パーセントくらいに考えながら、仕事していくと無理がなくていいんだわぁー」
ボクは、そういって慰めるしかなかったが、若い息子も非常に飲み込みが早くて、さわやかな笑顔になってくれたのがうれしかった。

いろいろな撮影を通してこれまでの経験からいえば、台風や大雪などは10年単位に少し大きめなものがやってくる。
そして、50~100年に一度は、かなり試練をしなければならない最大級な嵐がやってくることは確か、だ。
これは、フクロウの巣穴となる樹洞がどうやってできていくのかを調べていったら、この答えにたどり着いたからである。
ボクは講演などでは、そんな自然環境の仕組みとそこに生かされる人間の姿を語っているから、今回の台風なんて動物たちからの視線でみれば、いろんな意味で案外歓迎していることだった、と思う。
写真上から、
1)落下してしまった収穫目前のリンゴ。
2)我が家のトマトはこんなザマ、向こうの田圃の稲はざも少しコケている。
3)サツマイモとニワトリは元気。
4)10個ほど拾ってみたが、味は最高に美味しかった。
5)落下をまぬがれたリンゴだけど、風に打たれてかなりキズもついているから商品価値もさがってしまう。

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台風一過 への6件のコメント

  1. C-NA より:

    痛々しいリンゴの姿。
    今すぐジャムやパイやコンポートにしてしまえば美味しい保存食になるのにねー。

  2. 小坊主 より:

    一年の丹精が、こうして、無に帰してしまうのですね。
    木が若いようですから、木自体の被害は、少ないものと思いますので、来年は、無事に収穫を迎えられるように、祈るばかりです。
    しかし、長期的にみれば、早生のリンゴを織り交ぜるとか、他の果物を組み合わせるとか、リスクの分散を、図らないといけないようですね。

  3. 北割 より:

    風台風だったですね、伊那谷でも北はそれほどに被害が出ず南が大きかったですね。
    南でも被害が偏っていたような気がします。
    リンゴではフジの被害が多かったですがまだ青くジュース、ジャムへの加工も全く出来ないとのことです。
    落下したリンゴは約1割でも木に付いているリンゴもキズが付き商品にはならない物が多いようです、普段の年の3割減かと言われる方もいました。
    何か工夫は無いのかな~と常々思います。
    台風のコースが不可解、伊那谷を北上したのでしょうか?何か飯田市から松川町そして南アを越えたような感じがしますが?

  4. 岳行 より:

    台風たいへんでしたね、9月20日に飯田りんごの里でシナノドルチェ・秋映え・千秋を頂きました、本当に美味しかった。大鹿村、上村を訪れて南アルプスの山里の風景を大いに楽しんだのですが、台風被害がなければよいのですが・・・

  5. あーる より:

    私も昨日、いつもお手伝いに行くお宅のを拾いに行きました。高森町です。
    胸のつぶれるような光景でした。
    木の高いところ、外側、大きい実、贈答用の大玉になりそうなの程落ちていました。
    ヤギ用フジと人間用の中生りんご。200キロほどいただき、もったいないのであちこちに声をかけ、今日、友人達に発送しました。
    シナノスィートやゴールド、あと10日ばかで収穫だったのにな。
    味はまだ90パーセントくらいなんだけど、それでも東京のスーパーで売ってるのよりずっとおいしいはず。
    我が家では朝9時頃、ちょっと風、強くなったな、と思った程度でしたのに。

  6. gaku より:

    2日続けて、リンゴ園まで行ってきました。
    昨日は、パンフレットに載せる家族全員の集合写真撮影でした。
    ■C-NAさん 
     ジャム用に「紅玉」をもらってきました。一年分のジャムができそう、です。
    ■小坊主さん
     稲などでは台風に倒れないような品種改良がかなり進んでいるようですが、果樹も、これからの研究課題でしょうね。
    ■北割さん
     8割被害という農園もあるみたいですね。ほんとうにお気の毒です。
    ■岳行さん
     9月20日にこちらへ来られたのですか?
     こんどは声をかけてください。
     大鹿村、上村…いいコースだったでしょう?
     あのへんも、みんなボクのフィールドですよ。
    ■あーるさん
     200kgとは、スゴイですね。
     いま、ボクの車にも傷リンゴばかりコンテナ9個乗ってます。200kg以上あるのかしら?
    ニワトリに食わしたり、犬に食わしたり…
    ムササビ荘に遊びに来るリスもよろこびますから。