若輩独身ギツネの新築物件


過疎の村の通いなれた道路を走っていたら、山の斜面に巣穴が見えた。
「っえ! あんな場所に穴なんてなかったぞ」
そう思ったボクは、あの穴はキツネの巣で、最近掘ったものだとすぐに判断できた。
通いなれた道だったので、昔から穴があればとっくに目にとまっていたハズ。
2ヶ月ほどのあいだにできた巣穴であることには、まちがいない。
穴はまだ一つなので、これは今年になって独立してきた若いキツネの新築物件である。
乾燥した山砂の斜面だけに、キツネが巣穴にするには最高によろしい立地条件。
しかし、ボクには巣穴が丸見え。
キツネは、村人を騙すことはできても、オイラの目をごまかすことはできない。

斜面伝いにそっと上って行って確認をすれば、巣穴に真新しい足跡が続いていた。
確かに、入居者がいる物件だった。
周囲を丹念に観察するも、キツネ独特の尿臭が感じられない。
ということは、この物件には若い独身娘が独り住まいをしていることになる。
シメシメ、来年の春にはここで子育てをする可能性がある。

巣穴から外界を見渡せば、奥の集落に通じる細い道路が見える。
集落には、一人の猟師が暮らしているから、その道路をいつも通っていることになる。
猟師とは顔見知りだけれど、この巣穴のことは黙っておくことにしよう。
イノシシやシカを駆除している猟師だから、独身娘ギツネに関心はないだろうが、関心をもたせるような情報をいれないほうが今後の観察もやりやすいからだ。
猟師にキツネの関心がなくても、教えてしまえば、ついうっかり茶飲みの席で村人に知らしめることになる可能性がある。
そうすれば、「マナブさが見つけたキツネの巣」ということになり、村中の評判となってキツネの巣穴に視線が注がれてしまう。
そうなれば、キツネもいたたまれずに引っ越しをするだろう。
ボクは、この独身娘ギツネが今後巣穴をいくつも広げていき「肝っ玉かあさん」になっていけるのか、過疎で老人ばかりになってしまっている村で家族を養っていけるだけの食糧確保ができずに衰退していく、のかを観察してみたい。
だから、こういう巣穴は、ボクだけが静かに見守ればいいこと、だからである。
それにしても、一昔前のキツネは用心深かったから、このような丸見えの場所に巣穴を見せることはなかった。
現代人の自然に対する無関心さが、キツネをはじめとする野生動物たちの心理状態にも確実に影響を及ぼしていることだけは確か、である。
写真説明:
上左:矢印のところに巣穴がる。
上右:巣穴はこんな感じ、2つある四角い箱はミツバチ誘導巣箱。
中:昨夜歩いたばかりの足跡が穴の中に続いていた。
下:見晴らしは最高にいい物件。

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若輩独身ギツネの新築物件 への6件のコメント

  1. emi より:

    ここも過疎地です。。でも走っていて巣穴を見つける事はありませんが狐はいます。。鶏についたから。。山にいますから山の写真撮れたらいいなって思いますが。。どのようにこの山を写していったらいいかわかりません
    だからここ興味あります。。よろしくお願いします

  2. 北の狩人 より:

    私も1週間ほど前に新しく堤防に掘られたキタキツネの穴を見つけました。
    土質は砂で、コレなら掘りやすいかもしれないが、長持ちはしないだろうと見てきましたよ。
    以前にgaku さんが、テンの穴に細工をしていたのを思いだし、穴にヨモギを差し込んできましたが、その後は見に行っていません。
    近いうちに確かめに行って来たいと思います。

  3. 北の狩人 より:

    勘違いでした。
    テンではなくネズミでした。

  4. ひよ より:

    これは、狐ですか~~
    散歩コースに昔の砂利採取場があって、崖の途中(上の方)に
    そっくり同じような穴が有るのです。
    ハヤブサの巣ではないし、カワセミにしてはでかすぎるし
    悪ガキが探検ごっこで掘ったにしては小さいし(私ご幼少の頃は掘りました)
    ・・・・ご幼少ではなく、餓鬼です
    崖の上は、寂れたお墓(だから、これ以上砂利を取れなかった)
    何度か上まで行ってますが、カラスが集まっててそれは気味悪い処です。
    ここなら、狐が住んでそうですね。
    注意して見てみます(散歩は、双眼鏡下げてます)

  5. 小坊主 より:

    「女狐」という言葉に表れる通り、実に妖艶な生き物ですね、ホンドギツネ。

  6. gaku より:

    ■emi さん
    >ここも過疎地です。。
    過疎地は、動物の力がぐんと強くなります。そのためにも、地域住民が動物たちのことを知っておくと苦労も半減するかも…?
    ■北の狩人 さん
    ヨモギ作戦の結果はいかに…?
    こういうことって、けっこう楽しみながら動物観察ができるから、オモシロイのですよね。
    ■ひよ さん
    >崖の上は、寂れたお墓…
    オモシロそう、ですね。
    ひょっとしたら、「きつね火」も見られるかも?
    ■小坊主さん
    >「女狐」
    う~~ん、人間の女狐はご遠慮したいです、ねぇー。