獣害を考える 7 ニホンジカは臆病…


この写真は、南アルプス山中に露出した泥土をニホンジカがなめにきているところ。
ミネラル分が多く含まれるこの泥土をニホンジカたちが生きるために必要としているから、ずっと昔から、ここに集まってくるのだった。
手前のシカは、泥土をなめようとしているところ。
一緒にやってきた後方のシカは、何かに警戒していままさに方向転換をして逃げようとしているところ。
逃げるこのメスジカの耳は、カメラ方向の音をとらえている。
手前の安心しているシカも、耳は後方のシカのただならぬ動きをいまとらえようとしているところである。
この瞬間のあと、0.2秒後には、2頭ともに走り去っていくことが、ボクにはこの写真から読み取ることができる。

左上のシカは、耳の角度と顔の方向から上方を警戒している。
右上のシカは、自分が歩いてきた後方に耳目を立ててさかんに警戒している。
左下のシカは、まさに逃げる瞬間であるが、その耳はカメラ方向にただならぬ不安を感じたからその耳がまだ警戒点を探っている。
右下のシカは、左右の音を探りながら、鼻をつかって前方からの情報も得ている。

左上のシカは、後方の個体は上部を警戒しながら耳はカメラ側を探っている。そして、手前のシカは目で前方を警戒しながら左耳は前、右耳は右側面上方からの音の情報を得ている。
右上の若いオスジカは、耳は左右の音の情報を探り、目は前方を確認している。
左下のシカは、まさに逃げようとしている瞬間だが、後方のシカもこのあとすぐに巻き込んで、遁走したにちがいない。
右下のシカも、後方の音を聞きながら体はすでに逃げている。
このように、無人撮影カメラで捉えたニホンジカの一瞬の姿を分析するだけでも、シカはいかに耳を最大限に使いながら、目と鼻をもくわえて、全身をセンサーにして警戒しながらきわめてデリケートに行動していることがよくわかる。
したがって、超音波までかなりの部分を聞き分け、情報源として日々行動をしている野生ニホンジカの生態がこれでよくわかるというものだ。
しかし、これほどデリケートに行動しながら、ときには大胆にしつこく農作物を荒らしていくニホンジカだからしたたかといえばいえる動物でもある。
で、こんなシカに多くの人々が手を焼いているのだから、ここは獣害としても私たち現代人は真剣に考えなければならないことだろう。

こうして、シカの生態を1年半に渡って無人撮影カメラがずっと捕らえているのだが、シカが写らない写真のコマ間に対策のヒントが相当に隠されているとボクは考えている。
ここに示した写真は、カメラのメンテナンスにボクが行ったときのカットだが、ほぼ1ヶ月間隔で出かけていることが記されている日付でもわかるだろう。
撮影システムそのものがそのくらい優秀であることは、このような撮影に興味のある方ならすでにお分かりだと思う。
が、このカットの中には、シカたちがまったく撮影されなかった時期もあるのである。
シカの姿が写るカットにも期待するのだが、むしろ写されなかった空白の時間のほうが、獣害対策をするのには大きなキーポイントがあると思っている。
「何故カメラの前にシカたちは来なかったのだろう…」、その理由を分析すればいいからである。
ニホンジカはそのくらい、デリケートな動物なのであって、そのデリケートさを逆手にとれば「追い払い」も可能なのである。
しかし、大量捕獲をするとなれば、このデリケートさが邪魔になるから、別の発想での研究が必要であろう。
まさに、「諸刃の剣」のような動物であり、獣害対策コンサルタントをするにはほんとうにオモシロイ日本の野生動物なのではないかといえる。

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獣害を考える 7 ニホンジカは臆病… への2件のコメント

  1. むささび より:

    鹿が写らない時期。。。
    きのこ
    狩猟
    =人の気配?
    そんな簡単な問題じゃないですよね。きっと。(笑)
    我が家の裏山に来る立派な角を持った牡鹿は
    罠にさえかからなければ狩猟の人がこないのを知っていて
    この冬はよく野菜くずを食べに来てました。
    でも、覗きに行くといつも気配を察知されて走り去るので
    姿を見ることはなかなか叶いません。

  2. gaku より:

    ■むささび さん
    野生動物は、ほんとうにしたたか、です。
    まさに、知恵くらべ。
    写真もその知恵を逆手にとってやってますが、獣害追放にも根気がいるものです。
    追放は、カンタンではないですよ。